◆美術館コラム1

 今、私が歩いているのは塵一つ無い、素晴らしく磨き抜かれた通路である。
 目線を下げれば自分が映り込んでいるその通路は、ルークス市国内にある美術館の一般開放された一通路なのだが、ここまで管理の行き届いた建物を私は他に知らない。
 オペラハウスにも似た外観を持つこの建物は、しかし、その全てが開放されているわけではない。奥には一般人が決して入ることの出来ない領域があるのだ。
 どの組織にも機密はある。
 しかしこの美術館は未だテレビ取材はおろか、新聞の取材にも応じたことがない。
 ただの美術館であるのならそこまで秘密にするようなことはないと思うのだが、その私の考えに反して、各所に設置されたカメラにそこかしこに立っている警備員と、この美術館の警備は場所によっては異常なほど厳重だった。

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