◆美術館コラム2

「この先への立ち入りはお控えください」
 私が警備員の横を通り抜けようとすると、警備員は静かでありながらも有無を言わさぬ迫力をその声と眼差しに漲らせて私を止めた。
 私は一介のジャーナリストに過ぎず、彼に対して何かを命令するような権限は持ち合わせていない。しかし、代わりにジャーナリストとして、私は彼に質問する。
「この先には一体、何があるんですか?」
「‥‥‥‥」
 しかし、警備員は微動だにせず、まるで彫像のように直立して沈黙していた。
 世界に冠たるルークス市国の美術館の機密。
 噂ではそこには神にまつわる記録などが保管されているというが、生憎私は真実を追い求めるジャーナリストである。信心はそこまで深くはない。
 しかし、どうやらこの警備員には聞いても無駄なようだ。無駄足を踏んだか。
 世界屈指の美術館が抱える機密情報。一度でいいからお目にかかりたいものである。
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