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図書館イベント

◆終了記念イラスト企画「未来写真」

 SINN達が掴み取った平和な未来。
 これは、彼ら自身がその手でつかみ取った愛すべき日常の一場面を切り取ったものである。
 ここに並べられている写真以外にも、きっとSINN達の未来を映した写真はたくさんなるのだろう。
 魔を祓い、闇を払い、悪を滅したSINN達へ今、世界中の人々から、この言葉を贈ろう。
 ――ありがとう。

●憧れの行き着く場所

 かつて大人に憧れた少女は、家を出て世界を見た。
 様々な経験をし、時に人生観を変えるような出来事にも遭って。
 やがて彼女は、己の目標に行き着いた。
 『クレール財閥を私に継がせて』――あの宣戦布告のような一言から、7年。
「この企画はこれで進めて頂戴。この見積りはこの2点の再検討を。こっちの契約は、私が直接交渉しておくわ」
 ウィリディシア・クレール(sj3049)は数々の書類に素早く目を通すと、即座に判断し、指示を下していく。
 彼女は今や、実家であるクレール財閥の傘下企業を数社束ねる、敏腕経営者となっていた。
 経営に関する確かな知識と、類稀な社交の技術を持ち、若くして数々の業績を生み出した彼女の名を知らぬ者は、スイス経済界には一人も居ない。
 人々は彼女の名をこう讃える――『レディ・ウィリディシア』、と。
 かつて少女だった淑女は、翠の瞳で前を見据えて。
 微笑みの戦場を、今日も行く。

●名探偵四葉参上!!

 最終決戦から数年後。
 ディアボルスがらみの事件はなくなったものの、人間が引き起こす事件は今もなお起き続けている。
 今日もどこかで事件発生!その現場に現れたのは――
「ふっふっふ、ここは私の出番ですね!」
 今や若き名探偵としてその名が知られている御剣 四葉(si5949)であった!
 その持ち前の行動力と好奇心、そして誰にも思いつかないような推理で、いくつもの難事件を見事に解決して見せた彼女。
 果たして今回は、どんな華麗な推理を見せてくれるのか!?
「さあ、この事件、この四葉が見事解決して見せますですよ!!」







●彼らの平和な日常

「パパー! おんぶおんぶー!」
 突然背中に飛びついて来た愛娘に驚くカミーユ(sf0920)と、その様子を微笑ましく見守る妻となったアメリア(sh1732)。
『アメリアと暖かい家族が作れますように』
 ローマで松明にくべた願いどおり、家族そろって幸せな日々をすごしていた。
 カミーユも今では癇癪癖もなりを潜め、仕事と家庭ともに充実した日々を過ごしている。
「そういえばカミーユさん、最近タバコの本数増えてない?」
「ん? そうかな?」
「まだまだ頑張ってもらわないと困るんだから、身体壊さないように本数は控えてね?」
「パパー! タバコすっちゃだめー!」
「はは、気を付けるよ」
 癇癪がなくなった代わりに妻と子には頭が上がらなくなったカミーユであった。




●戦いはこれから

 次に呼ぶ患者のカルテを読んだ琴宮 涙湖(sb1982)は、小さく息を吐いて伸びをした。
 神学生としての経験を胸に医大に入りなおした涙湖は、医師国家試験の合格、研修医としての臨床研修を終えて、今ではルークス教系の医療機関に外科医として勤めている。忙しいけれど充実した日々だ。
 ポケットから手帳を取り出し、そこに挟んである写真を見つめる。幼い涙湖と、両親が写った写真だ。
(お父さん、お母さん)
 悪魔が絡んでいた可能性がある事故で、涙湖が幼い頃に亡くなった両親。彼らが医師だったからこそ涙湖は医学を学び、その知識と技術でSINNとして様々な人を助けてきた。
 悪魔絡みという点では平和になった今、涙湖がSINNとして戦うことはもうないかもしれない。
 けど、医師として1人でも多くの人を救うための涙湖の戦いは、始まったばかりだ。
 写真を挟んだ手帳を胸ポケットにしまい直し、涙湖は笑顔を作る。
「はい、次の方どうぞ」

●私が選んだ道

 魔王ルシファーが滅びてから三年‥‥。
「アレからく、世界は平和すぎますね!」
 うんうん、と自分の独り言に頷きながら。
「そのおかげで今、こうしていられるのですけど」
 私、リリアン・ミナルディ(se7452)は自分の部屋でギターを握り締め、作曲作業に努めていた。
 SINNとして悪魔と戦う事を決意し、代わりに諦めた音楽の道。
 一度は諦めたその道を、欲張りな私は錬金術師という自分も捨てずに歩んでいた。
「どっちも大好きで、大切で‥‥」
 SINNになってからも結局、触れずには居られなかった音楽。
 そして、神の声に導かれてなった錬金術師も、今では私を語る上では必要不可欠。
「あぁ! 気づいたらこんな時間!」
 二つの道はSINNの頃に並ぶ忙しさですが、充実した日々を過ごしています。
「もうすぐあの人の誕生日でしたね。サプライズプレゼント用意しなきゃ‥‥!」
 私の想いが、声となり、形となり、誰かに届けられるのですから。

●栄相 サイワ(sa0543)と栄相 セイワ(sa0577)のその後

 世界が平和になり、あれから大分時間が経った。
 戦いの前に結婚し、東雲セイワになっていた栄相 セイワと東雲 凪(sb4946)には、守るべき愛しい家族ができた。
 栄相 サイワも大切だと胸を張って言える人たちができた。サイワとセイワは双子の為、こうして今も交流がある。
 夜桜見物をし、持ち寄った手作りのお弁当を食し、大切な人達の遊ぶ姿を見る、幸せな時間。
 サイワとセイワも戦いの中成長し、幸せを掴んで医者として皆のために頑張っている。
 ‥‥まだ外見も中身も子供っぽいままだが。
 どちらも幸せなのは、大好きな人達の笑顔が証明してくれるだろう。
 何があっても、きっと大丈夫。
 幸せは、繋がって行く。




●プロポーズを経て

 この二人らしいプロポーズを経て。
 諸々はあれど、目出度く結婚し、現在新婚真っ最中。
 旦那様・叶望(sd3665)は学校を卒業後、神父としての日々を送っている。
 奥様さん・スィニエーク(sj4641)も、パラディンの務めを休止し、それを手助けしている。
 最も、出来る事の数的には旦那様に日々色々と教わっているとも言う。
 旦那様は朝のお目覚めが遅くなり気味。
 毎朝、起きて欲しいけどもあまり手荒にも出来ないとハラハラしている。
 何時もなら早く起こさなくてはいけないけれど、今日はお休みの日。
 何よりも。
(…可愛いんですよね)
 本人に言ったら微妙な顔をされそうだけど、本心。
 どうせ休みの日、少しぐらい寝坊してもいいかなと思う。
 二人で起きたら、せっかくなのでどこかへ出かけませんかと誘ってみよう。
 ――そんな事を考えながら、幸せな温もりにウトウトし始める朝。

●わたしのパパ(sz0033)とママ(sa5546

 わたしはニコ。
 わたしのパパとママはとってもらぶらぶなかよしで、とってもつよいんだよ。
 パパはクマーってしてわるいやつをバンバンやっつけるの!
 ママはしばわんだふるでゴンスケたちをばびゅーんってうごかすの!
 わたしもパパとママみたいになりたいな! なれるかな!
 えへへー、うまくかけた!
 パパとママのわかいころのにがおえ!
 せかいがへーわなのはパパとママと、たっくさんのひとのおかげなんだって!
 あ、ママ!
 みてみて!ゴンスケがわたしのいうことをきくようになったんだよ!
 ほら、クレヨンをとってくれたの! いいこでしょ!





●ある姉妹の電話

「もしもし、おねーちゃん?」
「仕事中はそう呼ぶなって言ったでしょ?」
「失礼しました、社長!」
 電話の向こう、ほんの少し笑みを含んだ姉ティファニー(sa1133)の声に、クローディア(sa0076)は笑って答える。
 あの戦いから10年経つ。
 ティファニーはあの戦いの後、支部でやっていたネットショップの事業を拡大した。今ではそちらの社長としての仕事が彼女の本業だ。
 そしてクローディアは今、その会社のバイヤーとして世界各国を飛び回る日々だ。
 そんな生活だから毎日忙しいし、家族と過ごせる時間もそれほど多くはない。けれど、毎日充実している。
「今どこだっけ? 日本? お土産買ってきてよ、いつものお菓子」
 仕事関連のやり取りと、そんな平和な姉妹としての会話を交わし、電話を切って時間を確かめる。いけない、今からだと飛行機の時間ギリギリだ。
 ポケットに電話をしまったクローディアは、タクシーを呼び止めたのだった。

●背中合わせの信頼

 悪魔は去り行けど、ダニエル・ベルトワーズ(sh5510)とオルフェオ・エゼキエーレ(si1323)の戦いは続いていた。
 神に背き、悪に堕して人を害す者は絶えぬ故に。
 情勢不穏な東欧で異端残党によるテロが画策されれば、潜入してそれを挫き、紛争絶えぬアフリカで虐殺が起これば、銃弾飛び交う戦場へと飛び込んで行く、躊躇うこと無く。
 全ては神の僕として、傷付き、倒れ、苦しむ人々に救いの手を差し伸べる為。
 血と涙、暴力と欺瞞の渦巻くこの世界、二人の歩む道は昏くとも、歩んできたその跡に仄かな灯火は残るだろう。
 ダニエルが遍く人々に救いの手を差し伸べ、オルフェオはその背後で遍く人々を危険から守る。
 向き合うのでは無く、隣り合うのでも無く、背中合わせの関係――それが二人の信頼と友情の証。





●甘いお菓子を

 甘い香りがキッチンに流れる。
 テーブルに広げた焼き立てのクッキー。そして、賑やかな子供の笑い声。
「これは白いお星さま! こっちは青いハートがた!」
「あたしもそのいろつかうー!」
「ほら、ちゃんと順番にね」
 アイシングの取りあいを始めそうな子供達をエルネスト(sz0035)が嗜める。
 その様子に思わず笑みを漏らしたメイリア(sa1823)を、彼が振り返った。
「二人とも上手に描いてるよね。将来はメイみたいに絵が上手くなるかな?
 ああ、でもクッキー作りそのものにも興味があるみたいだし。画家かパティシエか、楽しみだね」
 優しく笑いながらのその言葉はあまりに気が早すぎて。
 苦笑するメイリアを余所に、息子が誇らしげに、娘が嬉しそうに笑う。
「新しいクッキーが焼けましたよー」
 声をかけるメイリアに向けられる笑顔。
 それを守っていくのが、これからの大切な事。

●アーク・カイザー(sq0753)と上随 スウソ(sq1318)のその後

 アーク・カイザーと上随 スウソは
 平和になった後、世界を巡る旅に出た。
 おかしな所へ行ってしまったり、事件に巻き込まれたり、
 結婚したり、事件に巻き込まれたり、娘が生まれたり、
 事件に巻き込まれたりと大忙しだ。
 旅を続けながら、ヒーロー(とヒロイン)として活動もしており、
 今日も何かの事件に巻き込まれたようだ。
 娘を守りながら、今日も皆のために戦う。
 どんなに事件に巻き込まれても、きっとこの家族なら大丈夫。
 何と言ったって、ヒーローとヒロイン、なのだから。






●とあるレクションの合同チーム

「このキノコ‥‥確か、麓の村で食用にしてるんですよね」
 虫眼鏡で、まじまじとキノコを観察しながらイングリッド(sb3753)が呟く。
「そうね。そして、その麓の村では‥‥特定の疾患を患う人が少なくて、患ったとしても軽度な場合が多いの」
 イングリッドの背後から、腕組みしつつ声を掛けるジナイーダ(sa1375)。
 あの戦いから8年後――世界的な複合企業、レクション主導による新薬開発の一環で、欧州のとある森を調査する合同チームの一員として、ふたりはこの森を訪れた。
 ジナイーダはルークス教キルギス支部の要請で、医学者として。
 そして、イングリッドはレクション所属の植物学者として。
 その結果、目の前のキノコを食用としている麓の村では、特定の疾患を患う割合が他地区より少ないことが分かったのだ。
 キノコ本体だけではなく、その発生場所を観察し、生育条件を推察するイングリッド。
 そんな彼女を見守るジナイーダだった。

●幸福の日

 玖月絢紅(sh4500)本日花嫁となる。
 ‥‥本来なら、彼女が旦那様・日向蒼伊(so6943)に嫁入りするはずだが。
 彼の方が、婿に来てくれる事になったので苗字は変わらない。
 戦いの後、家族と芸能関係者に認められ、同棲を始めていた。
 きちんと学業に区切りをつけるのを待っていてくれた彼に、彼女は感謝する。
 そして、彼女は四年間の学業を終えた。
 入籍自体は卒業後に済ませ、スケジュールの調整をつけ、目出度く本日を迎えた。
 同棲から始めていても、入籍は済んでいても、やはり結婚式は特別。
 何時ものようにお姫様抱っこをされれば、今日は彼女の方からキスをする。
 そして、やや頬を染めながら小声で精一杯囁く。
「実は、サプライズがあるのだぞ。」
 女の子と男の子、最低一人ずつという希望を前に聞いてはいたが。
 はてさて、最初の一人はどっちだろう。
 子守唄が響く日は、そう遠くない様子、
 ――そんな、温かな予兆のある輝ける日。

●望んだ未来

 俺、神代 翼(sb3007)の大切な人、マーネル(sa2429)と
 その子供達と迎える朝。
 いつも通りの日常。
 前に夢に見た光景が、今「日常」としてここに在る。
 それが何よりも嬉しい。
 振り返ると、割と波瀾万丈な数年間だったと思う。
 今まで空想の存在だと思っていた悪魔達によって両親を喪い、SINNとして活動を開始し、人知れず世界を守る戦いに身を投じてきた日々。
 その中で彼女と出会い、恋に落ち、絆と想いを深め合い、愛を交わしあい、そして正式に夫婦として結ばれ、子を成し、今では彼女の故郷の国で共に暮らしている。
 波瀾万丈って意味では今でも現在進行形だ。
 それでも、彼女への想いはずっと変わらない。
 出会った時から今でも。そしてこれからも。
 だから、この日常が俺の居場所であり、俺の望んだ未来なんだ。

●とある映画の最高潮

「どうして……、貴女がこんなことに……」
 泣きながら、棺に縋り付く未亡人のような色香漂う女性。
 その棺には、白百合に埋め尽くされ、まるで眠るような親友の姿が。
「ウェディングドレスを着るのを――あんなに楽しみにしてたのに」
 女性の瞳から零れ、煌めく一滴は白百合を伝い、儚く露と消える。
 銀幕に魅入る人々は涙を誘われるだろう――。
 全米が泣いた感動巨編、2020年4月1日、日本初公開!
「良いねえ蓮華ちゃん、以久ちゃん!いい絵が撮れたよ!!」
「ぶっつけ本番で、一発OKですからね! さすがですよね」
「早くアイルランドに戻らないとですし?」
 と返すは、親友役の蓮華(sa0014)。
 数年前に、聖職者と結婚してから、歌手としても女優としても円熟のときを迎えて。
「旦那様が待ってますもんねっ」
 と軽口を叩く以久(sq2919)も、音楽から女優業と活躍中☆

●眼差しの先に

 夏。とくれば、定番(?)のビーチ。
 愛子(sb0512)は今困っていた。所謂ナンパというものに遭遇したのだ。
 海で無くしてはいけないと思い結婚指輪を外していたのが不味かったのだろうか。
 困ったように対応していると、彼女にとって世界中で誰よりも頼りになる声が後ろからした。
「俺のワイフに何か用か?」
 振り返り、姿を見てホッと胸を撫で下ろす。
 指を鳴らす夫ジョニー(sa2517)の肩では、息子が夫と同じくらいの意気込みでナンパしてきた不届き者を睨みつけている。
 不届き者は慌てて退散していき、漸く愛子は息をついた。
「油断も隙も無いな」
「ないー!」
「ありがとうなんだよ、二人とも。それじゃあ、そろそろご飯にしよっか?」
「ごはんー!」
 息子と夫が同じタイミングで笑顔になるものだから、少し笑ってしまった。
 そして三人でご飯にする。
 暑い中、お互いの眼差しは、お互いへと注がれながら。

●エティエンヌ・マティユ(sj6626)とマリク・マグノリア(sp3854

 フランス某市郊外、静かな喫茶店の窓際席で、マリクはスマートフォンに意識を向けていた。
 悪魔王との戦いから数年。
 彼はフランス企業の研究室に就職し、大学院で学んだ『トイドールの多目的利用』の研究開発を続けている。
 休日は休日。分かっていてもつい、思いついた事があればこうしてAIプログラムや、構造部分の見直しに夢中になってしまう。
 料理を運んで来た事にも気づかない様子の友人の様子に、エティエンヌはくすりと笑い、そして、無情にスマートフォンを取り上げた。
「あ、ちょ、何すんですか」
「今のマリクさんに必要なのは、仕事では無く、食事だよね? 大丈夫、済んだら返してあげるよ」
 聖職を辞し、今は喫茶店に務めるエティエンヌとマリク。その交遊は、変わらず続いている。
 その生活は、何時の日にか錬金装置を通して垣間見た、未来想定図によく似ていた。

●お後がよろしくて

 あれから10年の歳月が流れました。
 今じゃこの私、茂呂亜亭 萌(so4078)も女流落語家の重鎮となり、人気長寿番組の司会進行役にも抜擢されています。
 噺家『苔のむすまでと賭けまして、萌師匠の芸道と解きます』
 萌『その心は!?』
 噺家『芸の道に精進しすぎて、いけず後家まで生えました』
 萌『わはははははっ、座布団、全部持ってって!!』

 茂呂亜亭萌33歳、嫁にも行かず、後輩の噺家に行かず後家ネタで弄られながらも、芸の道に精進する日々であります。
 ケッ。








●一途な愛はこれからも

 この日をどれだけ待ち望んでいただろう。
 純白の衣装を身に纏い、ファミリア(sb0511)は幸せ一杯に微笑んだ。
 視線の先には、愛する人――ミゲル(sz0049)の姿。
 一度は行方不明となった彼が、あの最後の戦いの後に発見されたのは、本当に奇跡としか言いようがない。
 だから、この結婚式に込める感謝には多くの物が詰まっている。
 彼を見上げると、優しい笑みで返してくれて、それから彼女を抱き上げた。
「ミゲル、あたし、幸せだよ」
「俺もだよ、ファミリアちゃん」
 笑う彼に、キスを一つ。目尻に浮かんだ涙は嬉しい感情。
 愛しい人へ捧げる愛。二人で紡ぐ幸せは、これからもきっと、続いていく。
 ――そして、やっぱりこの二人とくれば、これなわけで。
「「乾杯!」」
 ビアジョッキの音が会場に響いた。

●笑顔の幸せ

 息子の頭から兎の耳が出ている。だがそれは別に一三(so2674)と仁(sp6375)の間では珍しくは無い。
 クレスニクの仁と人間の一三。その間に生まれるのは人間かクレスニクかのどちらかで、そして息子はクレスニクとして生まれてきた。ただそれだけだ。
 髪型は母親、目は父親に似て生まれてきたこの子が、とても愛おしい。
「ママ、だっこ!」
「ああ。お安い御用だ」
 子供というのは興味がすぐ移る。
 先程まで玩具の車で遊んでいたかと思えば、今度は母親に甘えてきて。
 足元に転がったままの玩具を壊さないように拾い上げて、仁が二人のそばまでやってくる。
「もうすぐご飯だぞ」
「うん! わかった!」
 元気いっぱいに返事する息子を、一三は目を細めて見つめる。その視線は温かい。
 仁の方も、視線は温かい。それだけでなく、微笑む顔も見せるようになった。
 夫婦の笑顔につられるように、息子も笑った。
 そんな、夜の一幕。

●春の陽気、行進の寄り道

 陽光に誘われる様に、彼らは外へ出ていた。
 今日は二歳になる娘を連れて、ピクニックへ行こうと出てきたのだ。
 途中で、視界に薔薇の姿が入る。陽気と合わせて、今が春なのだと彼らに教えてくれた。
 娘が笑う。何に笑ったのかは分からないから、予想するしかないけれど。
「薔薇を見て笑ったのかしら?」
「かもしれねえな。いい笑顔してるしよ」
 そう言って抱き直す夫(sg4313)に微笑みかけてから、娘へ指を伸ばす。額を撫でるとくすぐったそうに笑った。
 彼女(sa0070)の左手で光るリングが、右手に抱えたバスケットの重みが、幸せを教える。
 肩に乗せたぷてらも笑っているようで。
 娘を抱き上げている彼も、腕の中の重みに幸せを感じとっていた。
 平和になった今、噛みしめるこの幸福感。
 春の光の下、笑顔と共に、親子三人で――


●リーデレと瑞玉・その冒険の日々

 轟音が遺跡を揺るがした。
 振り返れば坂の上、巨大な丸石が通路を転がり始めている。
 どこで罠を発動させたのか、迫りくる質量は瞬く間に眼前に迫り
 侵入者が血だまりの運命を避ける術はもはや消え失せていた。
「スゴいヨ瑞玉、スゲー有名なワナだヨ!」
「また一つ夢がかないましたわね、リーデレ様」
 それが普通の人間であれば、だが。
 決死の質量がかすめるのを合図に
 侵入者の二人――リーデレ(sc2612)と瑞玉(sd3404)は紫電の速度で遺跡を疾駆する。
 その顔に浮かぶのは終始笑みであった。
 リーデレと瑞玉は世界を巡っていた。
 秘境を、遺跡を、謎の基地を。
 楽しそうな(危険極まりない)場所を自由奔放に巡っていた。
 SINNの仕事が減ったせいかといえば、
「ロマンって必要なんですのよ」
「ネー☆」
 この二人が少しだけ腰を落ち着けるにもこれより数年の時が必要であった。

●その愛は砂糖菓子のように‥‥

 あの決戦から五年後。
 ルークス市国に有る聖堂では、静謐な空気の中、とあるカップルの結婚式が行われていた。
 カメラマンの卵から一流のプロへと成長した翔子(sf7297)。
 己の技能を私立探偵として活かすことにしたリュカ(sk3006)。
 SINNを離れそれぞれの道を歩き出した二人だったが、その愛を絶やすことはなく、順調に深め育んだ。
 そしてお互いの仕事が落ち着いたのを契機に、ついにゴールインを迎えたのだ。
「僕に愛を教えた天使を、もう何処にも行かせるつもりはないよ。この腕にいつまでも抱き留めて、放さないからね」
「うん。僕…いえ、私は貴方だけの愛の天使よ。私の愛は永遠に消えはしないわ」
「寧ろ僕が消させないさ。可愛い翔子。翼を携えた、僕だけの大事なお姫様」
 愛の言葉を交わしながら、お互いだけを見つめる二人。
 その砂糖壺のような甘い雰囲気は、耐えきれなくなった神父が声を掛けるまで続いたという。

●繰り返される、日々

 日本、京都の路地裏にある、職人達の集まる町屋長屋界隈に累(sq2012)が店を構えて4年。
 アクセサリーや財布や小物入れ、シュシュや根付など、布小物全般を雑多に取り扱う店は、開店する日数は少ないまでも、それなりに軌道に乗っていた。
 デザインを考え、布を染め、裁断し、形にする。
 そうして作られた小物は全て一点物であり、同じものは存在しない。
 穏やかに繰り返される日々。
 他人からすれば味気ないといわれるかもしれない。
 しかし、自分にとっては充実した日々である。
 今日もまた、玄関先に暖簾を掛ける。
 今日は、どんな客が来るだろうか。





●喫茶店での邂逅

「元気そうやねぇ」
「元気も何もこないだ会ったばっかだろ」
 ひらり、と手を振った浅葱(sd2624)に、朽葉(sp4469)は溜息をついた。
 大学卒業後、母校の地学教師に採用されて3年。
 部活の副顧問も任され、忙しくも賑やかな日々を過ごしていた所の呼び出しと来た。
 そもそも浅葱もつい数か月ほど前に結婚したばかりの新婚である。その癖仕事が忙しく中々互いの時間が取れていないようであるが。
 新婚の癖にと呆れつつ、式の写真を渡す。浅葱は中身を確認すると、満足そうに笑った。
「‥‥流石。任せて正解やったねぇ」
「そりゃどーも。‥‥んじゃ、先行くわ」
「ん、ありがとね〜。‥‥頑張れ?」
 にんまり笑う従姉を置いて、朽葉は店を出た。
 待ち合わせの時間には十分に間に合う。
「いい加減、素直に言わねぇとな」
 緩やかに育っていた気持ち。友人以上の曖昧な関係が続くのも悪くはないが、そろそろ腹をくくるべきだろう。
 そう思い、足を進めた。

●詩馬光之助(si7745)・エルマ(sj0377)の8年後

 結婚して8年。日本に居を構え、2人の子宝に恵まれ家族4人で幸せに暮らしている。
 子供は男女の双子で男の子を光太、女の子を絵理香と名づけた。もう8歳になる。
 エルマは家事を習得し、よき妻よき母として家族に寄り添い、光之助は剣道の道場を開き、門下を取り家族を支えていた。
 有事に備え、SINNとして2人とも修練を怠らない様にしているが、
 父として、光之助が天神無影流を長男に見せ、教えているのに対し、母として、エルマはその姿を子供に見せないようにしていた。
「絵理香、ちょっとそれ取って☆」
「光太、落とさぬようにゆっくり運ぶのだぞ」
 両親の呼びかけに元気に答える我が子の様子は、とても暖かく、愛おしかった。
 周囲の平穏、そして家族の幸せを、エルマと光之助は今日も護っている。



●あなたと、永遠の約束を

 イギリスの天気は、変わりやすいという。
 しかし、初夏ともなれば晴れる日も多い。
 その日も、朝から青空が覗いていた。
 イギリスの片隅にある小さな教会では、結婚式が行われていた。
 そこは、レイヴェンス(sq2046)が過去、世話になっていた教会で。
 今回、蜜(sp9590)と式を挙げることを告げた時には、神父は大層喜んでいた。
「汝らは、健康なときも、そうでないときも、互いを愛し、互いを敬い、互いを慰め、互いを助け、その命の限りかたく節操を守ることを誓いますか?
「「誓います」」
 教会で、誓いの言葉を交わし、結婚誓約書にサインを行う。
 そうして教会を出ると、レイヴェンスは蜜を抱き上げた。
「愛してるよ、蜜」
「あたしも、愛してるわっ!」



●visage angelique endormi

 ルナール(sp6369)はふと、つい先ほどまでリビングから聞こえていた声が、途切れていることに気がついた。何かあったのかのだろうかとひょいと覗き、ため息をつく。
 リビングのソファで、アンナリーナ(sp9596)と双子が寝ていた。
 アンナリーナは双子に挟まれた状態で。そして双子、熊の弟は母であるアンナリーナに抱きつくように、梟の姉は絵本を抱きしめるようにして眠っていた。
 妹か弟かはまだ分からないが、お腹の子に聞かせてあげるのだと双子が取り出してきた絵本だ。この様子だと、読んでいる途中で寝てしまったようだが。
 起こさないように気をつけつつ、体を冷やさないようそっとブランケットをかける。
 一緒に寝るのも良いが、この三人の幸せそうな寝顔を眺めるのも悪くないな、と思いながら。




●しっぽは巡る、この広い世界を

 何処かのアパルトマンの一室、壁には統一感の無い写真の数々。
 例えばそれは何処かの遺跡、或いはネオン煌めく都会、はたまた遠く高山を臨む異国の色をした空であったり。
「さっすが、世界最大規模のアミューズメントパークだったよね、人がいっぱいで賑やかで!」
「何処もえらい行列で、飯も高かったがな」
「もう、テンション低いんだからっ」
 純白の毛並みの狐耳をぴこんぴこんしながら、うっとりと反芻するオリヴィエ(sp7597)に対し、アンリ(sp6723)は面倒くさそうに旅行雑誌のページを繰る。
「ま、ここにも吸血鬼の気配は無かった、と。平和でいいこった」
(暫くはオリヴィエの『社会勉強』に付き合うのも悪くない)
(アンリ義兄さん、やることがないと燃え尽き症候群になっちゃうもんね)
「さ、次の『調査』は何処にしよっか?」
 ――闇の住人の残滓を探す名目で、義兄弟狐の『調査』は続いている。


●ひだまりの庭にて

 2020年、6月6日土曜日。
 昨日はヒメコ(sq1409)と陽平(sa0038)の真ん中バースデイでした!
 それでとっても良いお天気の今日、新しくお花の苗木を植えることにしたのです。
「ここなら日当たりも良いし、この苗もきっとぐんぐん育って大きくなるっスよ」
「はいなのです。お日さまの光をいっぱい浴びて…お花が咲く日が楽しみですね」
 この春から、休みの日がくる度に一緒にお花の苗を植えてきたのです。
 ‥‥離れていた間の時間を埋めるみたいに、色んな事をお話しながら。
 おかげで、少しずつお花が増えてきましたね。
「―それに、ヒメコさんっていう太陽みたいな人が居るっスから」
「ヒメコにとってのお日さまは、陽平なのですよ…えへへ」
 ちょっと照れながら、笑い合って。
 そうやって過ごす時間は、とてもあったかい気持ちにさせてくれるのです。
 ふたりの庭に、たくさんの花と笑顔が咲きますように。
 いつまでも、いつまでも。

●門出を迎えて

 2020年、春の日に――。
「陽平、卒業おめでとうなのですよ」
「ありがとっス、ヒメコさん。それに今日は来てくれてありがとっス」
 今日は、俺、志島 陽平(sa0038)の大学の卒業式。ヒメコさん(sq1409)は式を見に来てくれてたっス。
 ヒメコさんは、あれからイタリアでSINNの活動を続けながら、たまに日本に遊びに来てたりしたっス。
 俺の方は大学を目指して合格。色々あった大学生活っスけど、その中で見つけた目指したい目標にも手が届いて――。
「陽平、とっても嬉しそうですね」
「へへっ、無事卒業できた事と、こうやってヒメコさんと一緒にここまでこれたって思ったらつい」
 そんな風に言うと、ヒメコさんも笑顔で、こう返したっス。
「ここまでも、これからも一緒なのですよ」
 そんな太陽みたいな笑顔に頷きながら、
「そうっスね、これからも一緒に、っスよ!」
 そう、これからも、共に未来をこの手で。

●そのカップル成人につき

「あ、ナタリー君アレなんか良くない?」
「うん、良い感じだね。値段も手頃だし」
 イギリスのとあるホームセンターで家具を見て回る一見仲の良い恋人に見える二人組。
 端から見ると背伸びする未成年に見える為、微笑ましい視線が周囲から注がれている。
 ‥‥真逆二人が立派に成人‥‥しかも子持ちとは夢にも思わないだろう。
「このカップなんて可愛いね。あの子の分と合わせて三つ買っていこうよ」
「うん、可愛いけど…引っ越し用の家具を買いに来たことを忘れちゃだめだよ」
 カップを手に目を輝かせている妻にやんわりとナタリ−は釘を刺す。
 あの決戦から幾歳月。
 ナタリー(sz0045)はパティシエとしての道を順調に歩み、そしてミリーナ(sa0081)はそんなナタリーを支えつつ時々SINNとして活動していた。
 そうして貯めた資金で新居も構えまさに順風満帆だった。
「ところで二人目は双子が良いよね♪」
「…え゛っ!?」
 妻に振り回される夫を除けばだが。

●梅を仰ぎて

 カーク・ルッフォ(sc5283)が、門構えをくぐると、日本家屋が見えた。
 約束より時間がかかっただろうか、そんな事を思いながら庭先へと足を向ける。
 庭先には走る黒柴が一匹。そして面した縁側に、友人、叢雲 柊(sz0086)の姿があった。
「少し待たせたか」
「‥‥いや、丁度良い頃合いかと」
「なら良かった。椿も変わらず元気そうだな」
 その言葉に、勢い良く黒柴が答える。カークが頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めた。
「‥‥ローマの方はどうだっただろうか」
「ああ、一年を迎えるに相応しい賑わいだったな」
「‥‥そうか」
 詳しい話はこれからゆっくり、そう言うとお茶の用意を始めた。
 梅を眺めながらお茶と菓子を味わう。穏やかな、春の日差しが縁側に注ぐ。
「柊、おめでとう」
「‥‥カーク殿も」
 互いを見て、短く言葉を交わす。
 脅威が去って初めて迎える二人の祝い日。今日は心ゆくまで、ゆるりと。

●veterinarian

 珠里(sb3536)は看護師から受け取ったカルテを確認しつつ、手早く診察の準備を済ませていく。動物たちに余計なストレスをかけてしまうから、時間はかけてはいけないのだ。
 とはいえ、今回はそこまで慌ただしい様子はなかった。病気というわけではなく健康診断だったし、何より今回の患者は生まれた頃から知っている子だ。自分に懐いてくれているし、元々人懐っこくて良い子だから。
 診察室に居たのは知人と、白い長毛と青い眼の子犬だった。
 10年は前に出会い、長い間一緒にいた雑種の犬。相棒の伊勢、彼の子孫だ。
「あなたは、特にそっくり、だよね」
 ふふ、と伊勢のことを思い出しつつも、今目の前にいる子犬が可愛くて仕方なくて、そっとその白い毛並みを撫でた。








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最終更新:15/07/31 21:48:29
更新者:カーク・ルッフォ(sc5283
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