箱庭サバイバル

担当マスター:真名木風由
開始14/05/23 22:00 タイプボイスドラマ オプションお任せオプション
状況 SLvS 参加/募集4/8 人
料金10000 Rex 分類日常
舞台国ルークス 難易度易しい

◆周辺地図
参加者一覧
レティシア・モローアッチ(sa0070)H水 セルゲイ・クルーツィス(sc4350)A風 トッド・ブレイラー(sg2464)A火 珠坂 菜那佳(so7174)H火
オープニング
●ある日の不幸
 今日は、天気がいい日だった。
 初夏の日差しが降り注ぎ、爽やかな風が駆け抜ける中、『あなた』達は倉庫から様々なアイテムを運び出していた。
 ここは、ルークス市国にある、とあるハンドラーの倉庫である。
 この日、『あなた』達はこのハンドラーの倉庫を掃除していた。
 件のハンドラーが高齢である為、力仕事が出来ないと『あなた』達に依頼したのだ。
 『あなた』達は掃除に相応しい、身軽な格好で倉庫内を行ったり来たり。
 倉庫は広く、中に置いてあるアイテムの多くがそのハンドラーのアルケミーによって作り出されたものである。中には興味深いものも置いてあり、『あなた』達はその度に手を止めるが、今はその時ではないと思い直し、アイテムを運搬する作業に戻る。全てのアイテムを運搬し終えたら、休憩を取って、それから中を本格的に掃除して───お願いされた項目を思い返した、その時だった。
 高齢のハンドラーが様子を見にやってきた。
 勿論、彼は気を遣う人であったので、その手には飲み物と軽食がある。
 しかし、力仕事が出来ないからと『あなた』達に依頼した通り、彼は高齢もあってそんなに重いものは持てない。
 よろよろと重い荷物を持った彼が、そのアイテム‥‥小さなコンパクトミラーを誤って蹴ってしまった。
 パカッと開いたコンパクトミラーが、慌てて駆け寄ろうとした『あなた』達へ向かって転がっていく。
 その古びた鏡に自分達が映った、その瞬間だった。
 鏡が、鈍い光を放った。
 光は直線状に伸び、『あなた』達を包む。
 その光の眩しさに『あなた』達が目を瞑り、光の余韻も収まってから目を開くと、そこは世界が違っていた。
 具体的に言うならば、全てが巨大化した───いや、『あなた』自身が小さくなったのだ。
 周囲を見回す。
 しかし、世界が広過ぎる。
 大変だ、と頭上から高齢のハンドラーの声が聞こえる。
 昔アルケミーで作り出したアイテムが誤作動したようだ、と彼は言う。
 彼はとりあえず、このアイテムを研究室で解析し直して、元に戻れる方法を探してくれるという。
 だが、彼は『あなた』達を見つけている訳ではない。
 また、アイテムを解析している間に何か不測の事態が起こらないとも限らない。
 安全を確保しなければ、と『あなた』達が思う間もなく、危険は向こうからやってくる。
 さっきまで爽やかに感じていた風は暴風でこの身を打ちのめし、普段気にも留めていない昆虫さえも巨大な脅威と化す。
 何より、怖いのは───人間である。
 人間に踏まれたら、何かを思う間もなく死んでしまうだろう。
 蘇生や肉体復元という手段があったとしても、好んでなるようなことではない。寧ろお断りだ。
 しかも、運が悪いことに高齢のハンドラーの倉庫の掃除ということで興味を持ったハンドラーがアイテムを見にやって来ている。その足が、いや連れているパペットさえも脅威であることは言うまでもなく。
 元に戻るまでの、必死のサバイバルが始まった。


◆マスターより

こんにちは、真名木風由です。
今回は、ボイスリプレイをお届けいたします。
PCは、高齢のハンドラー(リプレイでは最後に少し登場するだけで、実質的に関わりません)が昔作ったアイテムにより、身長が1/100になっています。(装備も小さくなり、魔法の範囲も狭まります)
このアイテムの効果は時間が経てば終了し、元に戻れますが、PCは当然そのことを知りません。
アイテムの効果時間が終了するまで、皆様は生き残る為のサバイバルをしていただきます。
普段脅威と思っていない脅威、そう‥‥人の足、他人のパペット、犬猫、昆虫などに晒されますので、頑張って自分の安全を確保してください。
OPで触れました通り、掃除をしていた為、動きやすい格好をしており、つまり武装していません。この点ご注意ください。

最後に。
ボイスリプレイですので、リプレイは台詞が多めとなります。
プレイングには言いたいセリフをいつもより盛り込むとよいでしょう。

それでは、お待ちしております。

■ボイスリプレイとは
 このシナリオは「おでっくす2014特別企画」の一つである、「ボイスリプレイ」です。
 予約・参加を行うには、「おでっくす2014」に来場された方に配布したパスワードを関連付けする必要があります。
 ボイスリプレイは、ショートシナリオのリプレイに加え、STARSボイスアクターによるボイスドラマが作成されます。
 プレイングには、PCに行わせたい行動内容と共に、第三希望までのSTARSボイスアクター名、声や発音に関する補足などを記入してください。レクシィ株式会社の担当者が希望順に直接打診を行い、担当声優を決定します。希望クリエーターへの打診が承諾されなかった場合、希望クリエーターがいない場合は、担当者が選出します。
リプレイ
全編通して再生(※重いです)




オープニング





「わーっ、わーっ、何これー!? 菜那佳達、ちっちゃくなっちゃったの!?」
「おいおいおいおいおいおいおいおい‥‥ふ、ふざけんなこんにゃろー! どうしてこうなった!! 俺まだ死にたくねー!!」
「これって、豆粒姫? どうしよう、あんまり響きが可愛くないかも‥‥」
 セルゲイ・クルーツィス(sc4350)は、ズレまくった珠坂 菜那佳(so7174)の言葉を聞くや否や、頭を抱えた。
 違う。
 そうじゃない。
 でも、言っても通じない気がする。
 そんな言葉が頭をぐるぐる駆け巡っていると、この男が悲鳴を上げた。
「お、俺様は、夢でも見ているのであろうかっ! いきなり小さくなっていたのであるっ!! 凄まじく恐ろしいものの片鱗を味わってるなうであるぞ!! がががっ!!」
「本当よねぇ。先輩ハンドラーのお願いだったし、手伝いに来てみれば‥‥」
 トッド・ブレイラー(sg2464)が一気にまくし立てるのに対し、レティシア・モローアッチ(sa0070)は、半ば呆れたような口調。
 ハンドラーであるレティシアは、この事態を冷静に分析していた。
 錬金アイテムである限り、その効果は永遠ではない。いつか、元に戻れるだろう。
 問題は、誤作動したアイテムの効果時間がいつまで続くのか、というだけで。
「うーん、効果時間が全く読めないわ。ま、遅くとも1週間以内には何とかなるでしょう」
 1週間!?
 最低、1週間もこの姿でいなければならないのか!?
 それは、ちょっと、かなり困る!!
 その間に死なない保証がどこにあるというのだ!?
「ここはひとつ、安全な場所へ退避するであるぞ〜っ!! ぬぅんっ!! トッドフライト!!」
 説明しよう! トッドフライトとは、神の力を借りて空を飛ぶトッドのとっておき移動手段である! ‥‥ぶっちゃけサンミカエルなのだが、ほら、気分って大事だし。
 それに続くようにして、セルゲイもサンラファエルを成就、上空へ舞い上がる。
「踏み潰されてアッサリ死んで蘇生されるなんてみっともない最期、今までの戦いで命を落とした先輩SINNの皆様に申し訳ないわい」
 だが、2人とも思い出して欲しい。
 レティシアも菜那佳も空を飛べないということ。
「いっかーん!! か弱い女性を置いて俺様達だけ安全な場所にいるなど許される訳ないではないかっ!! がががっ!!」
 先に気づいたトッドが叫び声を上げ、慌てて地上へ舞い降りると、セルゲイもあとに続くようにして舞い降りる。
 幸いにして、レティシアも菜那佳も無事だったが、菜那佳はぷんすか怒っていた。
「2人だけ飛んでっちゃうの、ずっるーい!!」
「皆でまとまって行動した方がいいわよ」
 怒る菜那佳を宥めるレティシアが言うには、今の自分達にとってはたんなる虫でも悪魔以上の脅威。まして、人間の足などもってのほか、一発で死亡確定だろう。薄い紙のようにペラペラになった自分を想像したくない。
 この身が元に戻るまで、皆運命共同体、助け合わなくてはならない。
「まぁ、なっちゃったものは仕方ないし、楽しみましょ」
 あっけらかんと言い放ったレティシアにセルゲイがこけた。
「どうしてそうなる!? 疑問を持て、この状況に疑問を持てー!!!!!」
「そうだよねっ。菜那佳、芸のカカシにしてがんばるっ!」
「肥やしだー!! ‥‥何か頭痛くなってきた」
「風邪であるか?」
 セルゲイは、思った。超思った。
 俺は、色んな意味で、無事に帰れるのだろうか、と。




 小さくなった身で大きくなった世界を歩く。
 今まで想像もしたことがない世界は、命の危険があるという一点を除いては非常に興味深く、楽しいものだった。
 菜那佳などは、パペット達と一緒に周囲をきょろきょろ見回し、鼻歌さえも歌っちゃってる。
 菜那佳と一緒に騎獣パペットへ跨るレティシアも興味深げな様子だし、トッドも2人の前向きな姿勢からか、安堵しているようだ。
 セルゲイとしては、もう少し危機感を持った方がいいと思うが‥‥。
「あ!! そうだ!!」
「どうしたの、菜那佳」
「パペットに今日のラッキーアイテムを占ってもらってたのっ!」
「ほぉ、どんなアイテムがラッキーであるか!!」
「コンパクトミラー!」
「嘘だー!!! なら、何でこんなことになっているんだー!!!」
 セルゲイは全力でツッコミした。
 ラッキーアイテムがコンパクトミラーなら、何故今この事態なんだと預言者パペットのうらさんに聞いてやりたい所だが、レティシアとトッドがなるほど、なんて納得なんかしちゃったりしてるから、頭痛覚える所。
 その時だ。
 優れた聴覚を持つセルゲイは、何かが地中から迫ってきているのを捉えた。
 何かが近づいてくる。
 今の自分達では、対処し切れない敵かもしれない。
 セルゲイに注意を促されたSINN達が、ごくりと息を呑む。
 その正体は───
「ミミズー!!!!!」
 が、ミミズは特に関心もなく、SINN達をスルーして土の中へと消えていく。
 そのことに安堵するSINN達は、ほーっと安堵の息をつく。
 しかし、それは束の間の平和だった。
 と、地面がいきなり暗くなった。
 咄嗟に上を見上げたセルゲイがトッドを突き飛ばす。
 直後、大きな人の足が力強く下りてくる。
 どうやら、高齢のハンドラーが今まで作った錬金アイテムをSINN達が見学に来たようだ。
 認識されなければ、踏み潰される可能性がある。
 しかし、認識されれば安全な場所へ誘導してもらえるかもしれない。
 認識してもらう高さまで飛んでフルメンを叩き込むのは、聊か現実的ではない。最悪虫として処理される恐れがある。アイテムに撃って、破壊音で認識させるという手もあるが、レティシアが誤作動の危険性を唱え、やめた方がいいと言う。
「菜那佳のスピーカーパペット、スピちゃんで声を流しても気づかれないかもね」
「そうね。パペットも声も小さくなってるから、ちょっと難しいわね」
 那奈佳の考えにレティシアが頷く。
 目の前では、トッドがセルゲイを力強く抱きしめていた。
 そう、命の恩人セルゲイに思い切った感謝の気持ちを感涙と共に伝えていたのだ!!
「セルゲイ殿ぉぉぉぉ〜!! 俺様は今猛烈に感激しているのである!!」
 でも、セルゲイ、白目剥いて気絶しちゃったので、トッドの感謝の気持ちなんか耳に届いてない。
「あー、死ぬかと思ったぜ」
 今回の苦労人は、間違いなくセルゲイである。




 SINN達は、安全確保の旅を続けていた。
 途中、何度も人の足が下りてくるが、小石の陰に入ってやり過ごしつつ、一番安全そうなアイテムの陰を目指す。
 アイテムが置かれている場所に辿り着くと、どこが一番安全かを求め、きょろきょろと見回す、
 アイテムの隙間だろうか、それともその上だろうか?
「こうして見ると結構面白いよねっ! おったからおったから〜♪ あ、ダヨさん、その暗い場所、照らしてみてっ」
 菜那佳がダヨーさんパペットを暗い場所に向けた、その時だ。
 暗闇から、巨大な‥‥ゴキブリが現れた!!
「ぬぉぉぉ! 非常にピンチ、トッド・ピンチであるぞっ! この状況いかに切り抜けるかっ! 俺様、3択で一つだけ選ぶである! 1! グッドガイなトッドは突如反撃のアイデアが閃く! 2! 仲間が来て助けてくれる! 3!助からない現実は非常である!!」
「混乱している場合じゃないでしょ、とにかく自衛しなきゃ!! それにもしかしたら、こいつの仲間がいるかもしれないじゃない!! ニンジャパペットで暗闇を中心に捜索させるわ!!」
 実は精神力が数値化すると3程度のトッド、巨大なゴキブリを前に混乱しまくった。
 その混乱を叱咤し、レティシアはニンジャパペットで捜索し、その脅威がこのゴキブリだけかという情報収集を始める。
「ゴキブリ、可愛くなーいっ」
 超イヤソーな菜那佳は、全てのパペットを集結させ、向かってくるゴキブリに対応させる。
「援護するわ、菜那佳!! 動きを鈍らせてから、セルゲイとトッドのグレイスで勝負を決めましょう!!」
 カンフー、アサシン、ファイアパペットで格闘パペットを強化した菜那佳、他のパペットは援護に動かす。
 それをフォローするのがレティシアのじゃんぷてらパペット。
 ゴキブリの背後へ転移すると、フリーズパペットで強化された嘴を突き出す。
 動きがあからさまに鈍るゴキブリに向かって、菜那佳のパペットが殺到し、殴りつける。
「俺の命を脅かす奴は、死ねー!! 今すぐ死ねー!!」
「任せるのであるっ!!」
 セルゲイのフルメンが、トッドのイグニスがゴキブリに放たれる。
 雷と炎の競演は、ゴキブリを消滅させるに相応しい威力だった。
 しかし、ほっとしている場合ではない。レティシアのニンジャパペットは、他のゴキブリが餌と勘違いしてSINN達を狙って集結していることに気づいていた。
 セルゲイが火のついていないタバコのフィルタをガシガシ噛む。
「いや、今は何とかしたけど、魔法は無限じゃない点を考えると、結構やばくね? 何とかして伝えないと‥‥」
「待って。何か、変な感じしない?」
 レティシアが周囲を見回す。
 釣られるようにしてSINN達も周囲を見ると、世界がどんどん小さくなっているような気がする。いや、自分達が巨大化しているのだろう。徐々に背丈が伸びていき、ビックリしたような顔のSINN達がこちらを見ている。
 どうやら、自分達は元の世界に戻ってこれたようだ。
 顔を見合わせ、SINN達が安堵していると、遠くから高齢のハンドラーが自分達を呼びながら走ってくる。
 その手にはコンパクトミラーが握られており、どうやら彼の方でも解析は済んだようだった。
 恐らく、レティシアが導き出していた結論で問題なかったのだろうが、彼もまた心配してくれていたのだろう、その表情は安堵の明るさで一杯のようだ。
 SINN達は、彼に応えるように手を振った。




 手伝いも終わり、SINN達は平謝りする高齢のハンドラーに別れを告げ、家路へと着く。
「今日は大変な目に遭ったのである」
「ああ、本当にヒドイ目に遭ったぜ。恥ずかしい死を迎える所だった」
「私もそれは遠慮したかったけど、貴重な体験が出来たんだし、その辺にしておきましょうよ」
「そうだよ〜、おじいちゃん謝ってたんだし、楽しかったんだから、あんまり言っちゃダメだよっ」
 ぼやくトッドとセルゲイにレティシアが軽く笑って嗜める。
 そもそも善意の差し入れで起こった事故、彼を責めることは出来ない。
 あの申し訳ない顔を思い出したら、許すしかないだろう。
「まぁ、わざとじゃなかったから、じいさんは悪くないと俺も思うが、重たい差し入れ運ぶなら、呼べっての」
「あら、手伝った私達に少しでも早く食べてほしかったのよ」
「うんうん。きっとそうだよ。だって、重たいもの無理して運ぶくらい感謝してくれたんだから」
「手伝った甲斐があったのであるっ!」
「それに関しては賛成だな」
 セルゲイの言葉にレティシア、那奈佳、トッドが笑うと、セルゲイも最終的に笑う。
 そもそも責めるつもりはなかった。
 ただ、彼は高齢のハンドラーに重いものを持たせたくない、つまり心配していたのだから。
「でも、ちょっと惜しかったな〜、菜那佳、デジカメとか持ってれば、あの世界を撮影して、タンスの肥やしにしたのに」
「芸の肥やしだろ、それ」
 残念そうな菜那佳にセルゲイがツッコミする。
 そうだっけ、とばかりに首を傾げる菜那佳は天然のなせる業である。
 その点に関しては、もうツッコミするだけ無駄と割り切ったセルゲイだった。
「私も何かの研究に役立てたいわね。貴重な体験だったもの」
「俺様もそういう前向きな考え方は良いと思うであるぞっ!!」
「ま、ネガキャンよりそっちのが前向きだよな」
 レティシアもちょっと悪戯っぽく笑いながらそう言うと、トッドがその考えを認め、豪快に笑う。
 確かに今日起きたことを悔やんでばかりはあまり健康的とは言えない。
 結局、振り返れば楽しかったので、笑うしかない。
 セルゲイはそう考えながら、タバコに火をつけた。

 初夏の風が頬を撫でる。
 箱庭で感じた暴風とは違う、優しい爽やかさに満ちている。
 住むべき世界は、やはりここがいい。



●スタッフ


レティシア・モローアッチ(sa0070):雨月れん
セルゲイ・クルーツィス(sc4350):葵はづき
トッド・ブレイラー(sg2464):ななみー
珠坂 菜那佳(so7174):鏑木はる
ナレーション:Lana

音楽:魔王魂 他
原作:真名木風由
編集:成瀬 健(REXi)
企画:才川貴也(REXi)
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