【AS08】狂喜王アスモデウス

担当マスター:楽市
開始15/01/29 22:00 タイプ全イベ オプションお任せオプション
状況 SLvC 参加/募集60/― 人
料金600 Rex 分類事件
舞台国日本 難易度難しい

◆周辺地図
   

オープニング
●幸いなるかな、第五の預言
 その痛みは、法王としての祈りを捧げているとき、やってきた。
「‥‥新たなる、福音」
 彼は、法王ヨハネス・ウェイン二世は、そう呟いて、身に刻まれる傷の痛みを甘受する。
 七つの封印、その五つめの目覚めを示す、預言の言葉であった。
 人の身体に刻まれる、主よりの言葉が示される。

『もろばの刃をもつ者へ私は言葉を示す。
 私はあなたの住んでいる場所を知っている。
 そこは魔王の座する場所である。
 そこは夜の灰色に満ちた場所である。
 あなたは私の名を知っている。
 私もまたあなたの名を知っている。
 あなたは月を背に踊るものである。
 誰もがあなたに惹き付けられることだろう。
 踊るあなたへ私は命じる。
 月を夜へと返しなさい。
 あなた自身が月なのだから。
 世界にある者達は私の名を受けし者達である。
 世界にある者達は全て外よりあなたを見る者である。
 あなたの抱く喜びはときに人を狂わせる。
 あなたはそれでも踊り続けることだろう。
 しかしそれではいけない。
 月と太陽は共にはいられないのだから。
 ゆえにあなたは夜へと帰りなさい。
 帰らなばあなたは失うことになるだろう。
 あなたを見上げる炎の星を失うことになるだろう。
 ゆえにあなたは夜へと帰りなさい。
 太陽の下に集う者達を狂わせてはならないから』

●大戦場、アキハバラ!
 東京、ルークス教会秋葉原支部。
「――以上より、市民の方々は東京、特に秋葉原周辺には決して近付かないようにしてください」
 テレビには先ほどから、そのように語る政府の広報担当者の会見がすっと流れていた。
 秋葉原周辺に国際的テロ組織のアジトがあることが判明したため、機動隊が出動する、という話なのであるが。
 ――でっち上げである。
 そんな話は、実際のところはどこにもない。
 これは政府が流した誤情報。
 秋葉原で目覚めた【第五の封印】を奪還するためにルークス市国が政府に働きかけて流させたもの――ではないから、困りものだった。
「‥‥どうして、自分たちから?」
 マリア・アンジェリーニ(sz0003)は、テレビを消して、戸惑いと共に呟いた。
 ルークス市国が働きかけたものではない。そして、実際にテロ組織のアジトがあるなどという話はどこにもない。
 ならば政府が動いた理由は、一つしか考えられない。
「【狂月の軍勢】‥‥」
 それは、総理大臣すらその魅力によってトリコにしてしまったアイドルユニット「あす★らば」以外にあり得ない。
 ――自分でもなかなか信じがたい結論だが、本当にソレしかあり得ないのだから仕方がなかった。
 封印の目覚めが訪れていることは、マリアは感覚で分かっていた。
 その直後にこの放送である、正直、ワケが分からなかった。
 と、悩んでいると、秋葉原支部の戸を叩く者があった。
 来客? 誰もいないはずの、この秋葉原で?
 共にいる数名とマリアは、そろって気をつけながら外に出る。すると――

「「「来ちゃった★」」」

「うわぁ‥‥」
 アスモデウス(sz0014)がいっぱいいた。
 とにかく、いっぱいいた。

「「「エヘ、エヘ、エヘ、きみ、神の子ちゃん? かわいぃね〜、お、おじさんとちょっとご飯食べにいかない?」」」

「うぅわぁ‥‥」
 なんかマモンもいっっぱいいた。
 とにかく、いっぱいいた。

「な、な、な‥‥」
 何も言えずにいるマリアを、アスモデウス群の先頭にいるアスモデウス(多分本物)がビシっと指を突きつけた。
「おいこら、神の子!」
「は、はい!?」
 いきなり呼ばれて居住いを正すマリアへ、アスモデウスが大声で告げる。
「あれを見ちゃうんだぜ!」
 アスモデウスが指差したのは、カフェビル「酒池肉林」がある方向だった。
 そこに、マリアやSINN達が見知った光の柱がある。間違いなく、封印の目覚めを告げる【生命の樹】であった。
「おまえらちゃん達、あれが欲しーんだよな? よな?」
「そ、そうだけれど‥‥。返して、もらえるの?」
「バカ言ってんじゃねー!」
 なんか、キレられた。
「あれが欲しかったら、俺ちゃんたちから奪い取ってみろ!」
「う、奪い取れ、って‥‥!?」
 予想だにしない言葉であった。しかし、続く言葉が、さらにマリアを驚かせる。
「おまえらちゃん、SINNだろうが!」
「そ、そうだけど‥‥!」
「そして俺ちゃんたちはディアボルスだぜぇ〜〜〜〜? 見ろよこれ!」
 自分の分身たちを示すアスモデウス。
「「「え、どれどれ?」」」
 思い思いに探し始めるアスモデウスたち。
「俺ちゃんたちじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
 流れるようなコントであった。
「あ、あの‥‥」
「封印欲しけりゃ俺ちゃんたちに実力で勝ってみろ! さもないと、俺ちゃんが世界征服しちゃうかんね!」
「エヘ、エヘ、エヘ、いいですね〜、経済支配。んっん〜、名言だな〜」
 多数のハゲが揃って自分のあごをなでる。何もかっこよくないけれど。
「準備ができたらさっさと来ちゃえよ! 待ってんぜー!」
 言うだけ言って、魔王とその腹心は去っていく。
 何も言えず、彼らを止めることも出来ないまま、マリアは【狂月の軍勢】を見送るのだった。

●彼らの事情
「‥‥本当によかったんですか?」
 アスモデウスとマモンの群れが教会支部を離れてしばし、出迎えたのは幹部魔将モロクであった。
「だって、せっかく封印がこっちの手の中にあるのに」
「ん〜、クレミアたんったら〜、分かってるクセにィ〜。封印なんかあったって〜、意味ないでしょ〜、僕たちには〜」
「そうですけど‥‥」
 エヘラエヘラ笑っているマモンに指摘されて、モロクも強く出れないようだった。
「でも、だからってSINNにそのまま渡すようなマネ‥‥!」
「違う、違うぜクレミア! そのまま渡すんじゃねぇ、渡すかどうかはあいつらちゃん次第だっぜぃ!」
「‥‥他の軍勢に渡すとか、シャクですけどね。分かりますけどね」
 色々と、板ばさみ状態になっているらしいモロクの背中を、アスモデウスがバシンと叩いた。
「ま、そームクれんなって! おまえちゃんには俺とマモンがついてるじゃーねーか!」
「ソレが一番頭痛い要因なんですけどね‥‥」
 肩を落とすモロクに、アスモデウスは胸を張りながら告げる。
「クレミア! あす★らば最後の大イベントだぜ! 気合入れていこーぜ!」
「えー‥‥、でも、なんでわざわざSINNなんかのためにー‥‥」
「仕方ねーじゃん、俺ちゃんたち、行かなきゃいけねぇ場所あるんだしよー。だからってマイワールドをこのままにゃできねーべ? べ?」
「う〜〜〜〜〜むぐぐぐぐ‥‥」
 そこで、「そんなものはない」とバッサリ切ることができない辺り、結局、モロクもまた俗に染まっているのかもしれなかった。
「‥‥アスモデウス様?」
「なんじゃーい?」
「もし、SINN達がこっちに勝てないようだったら?」
「決まってるじゃーん、そんな腰抜けちゃんたちに俺ちゃん達のワールドは任せられねーな! っつーわけで頑張れあす★らば!」
 どっちにしても疲れるのは間違いないな、と、諦めるしかないモロク。
 ――ま、そんな風にはならねぇんじゃねーかなー。
 アスモデウスは軽く教会の方へと振り返り、そんな風に思っていた。

●秋葉原支部にて
「えー‥‥、ご覧の通りです‥‥」
 偵察を済ませてきた聖戦機関の職員が、作戦室にてSINN達にカフェビル「酒池肉林」周辺の状況を見せた。
「「うわぁ‥‥」」
 それは、彼らをしてそんな声を出させるものだった。
 現在の状況は、下記の通りである。
 カフェビル周辺――ファルスマモン×たくさん。
 カフェビル2階まで(全5階建て)――ファルスアスモデウス×たくさん。
 カフェビル4階まで(全5階建て)――マモンとレンレン。
 カフェビル5階(最上階)――あす★らば♪
「最上階にはおそらく、【狂月の軍勢】がいるものと推測されます‥‥」
「最上階、いかないといけないのよね‥‥」
 マリアが息を呑む。
 ファルスの群れを突破しなければ、どうにもなるまいが。
「敵の方から動く気配はありません。堂々と、こっちの動きを見守っているようです」
「ここまであけっぴろげだと、毒気も抜かれるな‥‥」
 SINNの誰かがそう言った。マリアも同じ気持ちであった。
「とにかく、封印は取り返さないといけないわ」
 マリアが言葉に決意を込める。
 それだけは、確かだから。
 ルークス教に対して敵意はないと言っていたアスモデウス。
 しかし、どうやら激突は不可避であるようで、ならばぶつかるしかない。
 彼らが秘めている事情、考え、それを知るためにも。

■PL情報
・連動シナリオより、敵側の「水月 恋」が政治家を輩出する名家の出身であることが明らかになっています。
・企画イベントより、魔王アスモデウスのSINNに対する心証はいい方に傾いており、普通に会話ができるようです。
・企画イベントより、魔王アスモデウスはルークス市国、ルークス教には特に敵意などは持っていないことが判明しました。

◆登場NPC

 マリア・アンジェリーニ(sz0003)・♀・15歳?・エクソシスト・地・聖職者
 アスモデウス(sz0014)・♂・?歳・?・?・?

◆マスターより

こんにちは、楽市です。
これは全体イベント「【AS08】EastEnd」のメインシナリオです。
全体イベントシナリオは、没ありプレイングとして処理され、MVP(物語に重要な貢献をした者)を中心として物語が描かれます。
選択肢をプレイング第1行で【ア】のように記入し、次行より本文を続けて下さい。(複数選択肢不可)
このシナリオは01月29日午前から24時間程度の状況の物語となります。
企画イベント「極東轟嵐」の結果が出た後という扱いになり、その結果に関する影響は出発時に反映されます。
なお、厳戒態勢ということでセキュリティレベルはC扱いとなります。

ア:あす★らばへ突撃
 関連NPC:マリア・アンジェリーニ(sz0003)、アスモデウス(sz0014)
 カフェビルの最上階でアスモデウスとモロクが待ち構えています。
 ここで戦闘になるかどうかはプレイング次第ですが、あす★らばの2人はやる気満々のようです。
 リプレイはこの選択肢の参加者が最上階に到着したところから開始されます。
イ:マモンの群れへ突撃
 カフェビル周辺を警備してるハゲの群れを退治します。ここで敗北した場合、ハゲの群れが他の選択肢の増援になります。
 リプレイはこの選択肢の参加者がカフェビル近辺に到着したところから開始されます。
ウ:アスモの群れへ突撃
 カフェビルの1〜2階で待ち構えているアスモたんの群れを退治します。ここで敗北した場合、アスモたんの群れが他の選択肢の増援になります。
 リプレイはこの選択肢の参加者がカフェビルの1階に到着したところから開始されます。車両は乗り込めません。
エ:マモンへ突撃
 カフェビルの4階に待ち構えているマモン、水月 恋と対峙します。
 ここで戦闘になるかどうかはプレイング次第ですが、少なくとも親衛隊長の方はやる気満点のようです。
 リプレイはこの選択肢の参加者が4階に到着したところから開始されます。車両は乗り込めません。
オ:その他の行動
 どの選択肢にも該当しない行動はこちらとなります。
 内容で判断させていただきますので、他選択肢に割り振られたり、採用率そのものが低い場合がありますのでご了承ください。

リプレイ
●カフェビル周辺:101体ハゲ大行進
 本来であれば活気と賑わいに溢れた町、秋葉原。
 しかし今そこには、一種、妖気めいた雰囲気が漂ってすらいた。
「‥‥吐き気のする光景ですね」
 往来にて、目の前に広がっている光景に、七宵 桜(sf5132)が低く呟く。
「全くじゃん‥‥」
 と、リン・ブレイズ(sf8868)が短く肯定した。
 ここ一番の大舞台で、桜と共に戦うのは久しぶりで、しかしその相手は――
「エヘヘヘ、カワイコちゃんがいるね〜」
「エヘヘヘ、お、おじさんとちょっとカラオケいかな〜い?」
「エヘヘヘ、いやいや、くれ〜んげぇ〜むの方がさ〜」
 とまぁ、ハゲの群れであった。
 普段の道行く人々が全てピンクのハゲになったと思えばいい。
「‥‥まさに地獄のような光景、ですね」
「こんな地獄、イヤじゃん‥‥」
 リンの真顔のセリフも、当然のことではあった。
「しかし相手は魔神。ここを最後の戦場とするくらいの気概を持って望みましょう。そう、この戦いが終わったら結婚するくらいの気概で!」
「なんで無駄な死亡フラグ立てるんじゃん!?」
 それは、ここが自分にとって最後の戦場のつもりだからと、今は言い出せないまま、桜がハゲへと立ち向かう。
 彼女の背中を追いながら、リンは思った。
 ――いつ罵ってくれるんじゃん?
 二人が言葉を交わしている間にも、すでに戦いは始まっていた。
 その場に駆けつけた多くのSINN達が、増殖したピンクのハゲを相手に奮戦を続けているのだ。
「極限まで高めた雷光、受けてみなさい!」
 空から、翼を広げたエテルナ・クロウカシス(sp1494)の雷光が、ハゲ数体を薙ぎ払う。
「見えた、し、白!」
「エヘヘヘ、ピンク、薄いピンクだよ僕ゥ〜」
「え〜、薄い水色でしょ〜、僕ゥ〜」
「受けてみなさい!」
「「「ありがとうございます!」」」
 直下に集まったハゲ共へ、顔を赤くしたエテルナのニ発目の雷光が炸裂した。
「この、女の敵めー!」
 と、さらにそこへメーコ・カトウ(sh3828)が稲妻のブレスを吐く。
 ハゲ共がこれに薙ぎ倒されて、しかしすぐに立ち上がった。そのしぶとさに、メーコが嫌そうな顔をする。
「「「エヘヘヘ、お姉ちゃん可愛いね〜。ケモミミとかし〜げきてき〜」」」
「むむっ、気持ち悪いのですよ!」
 本気でそう言って、御剣 四葉(si5949)が聖水の詰められた手榴弾を投げつければ、南郷 龍馬(sq3216)はまだ起き上がれないでいるハゲ一体を拳銃でブチ抜いていく。
「い〜た〜い〜!」
 と、ぶりっ子ぶるハゲに、龍馬は「無駄にしぶとい!」と、毒づく。
「「「エヘヘヘ〜」」」
「うあああああ、絶対来る場所間違ったああああああ!」
 迫り来るハゲへと、絶叫と共に矢を叩き込みながら、ラミア・ドルゲ(sg8786)は嘆いていた。とても嘆いていた。
「こんな増えて、誰得だァ!」
 村正 刀(sf6896)、憤怒のイグニス。
 一般人のいない秋葉原の往来に、ド派手に紅蓮の花が咲く。
 ハゲが焦げる。だが起き上がる。
「無駄に不屈じゃのう‥‥」
 真幌羽 鈴鹿(sh5555)が冷や汗混じりに呟いて、パチンと指を鳴らせば、すでにハゲの群れの足元に仕掛けてあったパペット数体が一斉に爆裂する。
 パペットボムの連続起爆に巻き込まれ、ようやくのこと、ハゲ数体が消滅した。
「‥‥し、しつこかった」
 戦いが始まってまださほど経っていないのに、すでに肩で息をしているラミアと刀。
「「「お、かわいこちゃん見〜っけたぁ〜」」」
 だが無常にも、おかわり入りました。
「うわあああああああああああああ!!?」
 少女たちの悲鳴が、昼間の秋葉原にこだまするのだった。

●「酒池肉林」下層:アスモたんと遊ぼう
 カフェビル「酒池肉林」二階。全五階建てのそこは、このビルでも最も大きなカフェがある場所だった。
「「「よく来やがったなご主人様!」」」
 で、緊張感を伴ってドアを開けると、そこにいたのはピンクのメイド服に身を包んだアスモデウス。
 数、いっぱい。
「お、おう‥‥」
 最初にそこに入った房陰 朧(sc2497)は、その光景に、短く声を出すことしかできなかった。
「えっと‥‥、一応‥‥」
 と、彼に続く形で入ってきたマイア・イェルワジ(sj7576)が、同行する仲間へとサナティのチャージを施した。
 必要あるのかな、という、かなり現実的な疑問を心に抱きながら。
「アスモさんが、こんなにいっぱい‥‥! ここが、ヘヴン!」
 いきなり騒ぎ始めたのは、十文字 翔子(sf7297)であった。
 彼女は、愛用のデジタルカメラを手に取ると、「あ、これ、戦闘開始前の状況確認用だから」と、やたら見え透いた口実を述べて、アスモデウスの群れへと寄っていく。
「ハイ、チーズ!」
 と、彼女がカメラを構えれば、動き出すのは全てのアスモ。
「「「チーズ!」」」
 と、全員が全員、全く違ったポーズと表情をしてカメラの枠内へと収まって見せた。
 見事なのは、その瞬間に全てのアスモデウスがカメラに自分が写るように擬態したこと。そして、一つとして同じポーズはなく、その全てが可愛らしいということだった。
 キャーキャー、と、翔子がカメラの画面を見てひとしきり騒いで――
「じゃ、撃つね」
 フルメンをブッパした。
「「「しぃげきてきぃぃぃぃ!」」」
 吹き飛ぶアスモデウス×いっぱい。
 擬態しているので能力を使えない魔王の分身たちは、しかし雷光を浴びてなお、ポーズを崩さない。
 戦闘には全く関わりないことだが、凄まじいプロ意識であった。
 その様子を眺めるバイオレット・エアレイダー(sa7966)の眼差しが厳しくなった。
「来るぞ、備えろ!」
 彼女の声に、SINN達は咄嗟に身構えた。
「「「俺ちゃん達のおもてなしを喰らえェェェェい!」」」
 強烈な雷光を浴びて、ちょっぴり焦げピンク気味のアスモの群れが、反撃とばかり持ち出してきたのは――
「くっ、あったかい‥‥!?」
 パイだった。
 しかも作り置きではない、出来立てほやほやの生クリームたっぷりのヤツ。
 拳銃や刀剣を手に、飛び交うパイを迎え撃つ歴戦のSINN達。
「シュールにも程があるんじゃないかねぇ!?」
 ファミリア・サミオン(sb0511)が、パイ投げを避けるために虎の子の身体加速を発動させる。避けられて、アスモデウスがハンカチを噛んだ。
「にょああああああ、あったらねぇぇぇぇ!」
「ドンマイドンマイ、まだまだパイはあるって!」
「そうだぜアスモたん! 今日負けても明日勝てばいいんだって!」
「やれるやれるお米食え!」
「オッケェェェェェ、俺ちゃんやるぜぇ、やったるぜぇ!」
 アスモデウスを激励するアスモデウス。
 そして立ち直るアスモデウス。
「邪魔くさい」
「‥‥これだけいるといい的だわ」
「「「ニョアー! やーらーれーたー!」」」
 しかしジュラルディン・ブルフォード(sn9010)の操るパペットにボコされたり、赤城 圭(sg9025)の拳銃をまともに浴びたり、戦況は明らかに魔王の群れにとって不利であった。
 それでも――
「イケるイケる立ち上がれアスモたん!」
「そうだよ、熱いパトスがヒートでクールだよ!」
「いくないよ、そこで倒れちゃうのいくないよ!」
「うおおおおおおお、俺ちゃんの辞書にドミノ倒しという言葉は削除済みィィィィィ!」
 再びアスモデウスを激励するアスモデウス。
 そして立ち上がるアスモデウス。
 正直、暑苦しい上にしつこい。
 こんな調子が延々続くのであれば、時間ばかりがかかりそうだと、げんなりするSINN達である。
 しかし思いがけず状況を動かしたのは、ちょっと遅れてやってきたアウグスト・ソウザ(sa2367)であった。
「ふ〜、ようやく追いついた‥‥」
 彼はそう言って一息つくと、店内にいる全てのアスモデウスに向けて告げた。
「さぁ、やってやるぜ。この中で一番ラブリーなアスモと戦ってやる、どいつだ!」
「「「それは俺ちゃんです!」」」
 アウグストの問いかけに、即座に、そして一斉に答えたアスモデウス達が、互いに顔を見合わせる。
「おいおいお〜い、ラブリーなのは俺ちゃんだろ〜」
「何言ってんだ、俺ちゃんに決まってんだろ〜」
「やるか!」
「やらいでか!」
「そういうことになったらぁ!」
 始まる、アスモvsアスモvsアスモvsアスモvsアスモvs‥‥‥‥
 アウグストは呟いた。
「俺、凄くないか?」
 凄いと思います。

●「酒池肉林」上層:魂を篭めて
 歌唱の極意は声に魂を込めることだと、彼の師匠は言っていた。
 彼はその教えを胸に、発声や音のズレは考えず、ただ、歌に愛情と熱と魂を込めた。
 カフェビル「酒池肉林」四階、最新鋭のカラオケセット一式が設置されているその階は本来、メイドと客が一緒になって遊ぶことができるライブステージであった。
 今、そのステージ上でマイクを片手に熱く熱く歌い上げる青年が一人。
 アイドルユニット「あす★らば」の親衛隊長、水月 恋であった。
 有名政治家一門の出身で、優秀な頭脳を持った彼であるが、その本質は結局のところ、「あす★らば」に魂を捧げるレベルの、生粋のアイドルオタである。
「‥‥ダメだ!」
 歌い終えて、大型モニターに表示された点数を見て、恋の顔が苦々しげに歪む。
 点数は低くはなかった。しかし、自分自身がどうしても納得できない。彼は自身の歌声に、まだまだ魂が篭っていないと感じていた。
「悪くはないね。以前に比べれば、随分と熱を増しているじゃないか」
「し、師匠‥‥!」
 この広い店内で、唯一、彼の歌を聴いていたマモンが、眼鏡のブリッジを指で押し上げて、冷徹な瞳で青年を見る。
「だが、悪くない、という程度でしかない。まだまだ、精進が必要だね」
「う、うう‥‥」
 自分でも思っていたことを、改めて言葉にされると、心は深くまで抉られた。
 そう、まだまだ自分の歌は足りないものだらけで――

「出だしのコントでどんだけ文字数使ってんだキィィィィィック!」

 ここで御剣 龍兵(sa8659)が窓を蹴破ってダイナミック入室!
「‥‥まさか、SINN!?」
「そのまさか以外に何かあるのかよ!」
 今まさに次の曲のコードを入力しようとしていた恋が、驚きとともに龍兵を見据えた。
 その隙にマモンが、自分の歌いたい曲を代わりに入れていたことに、恋は気づいていなかった。
「だが、まだたった一人‥‥!」
「おいっすー!」
「ずっといましたよ?」
「なんだってェ!?」
 碇矢 未来(sp5129)、荒井 流歌(sp5604)の挨拶に、恋は討論会で見せたような余裕など微塵もなくして絶叫した。
「お、マモンの旦那はそれを歌いなさるんですか、渋いチョイスですねぇ」
「エヘ、エヘヘ、いいでしょ? 最先端よりいぶし銀だよねぇ〜、エヘヘヘヘ」
 先ほどの師匠ヅラもどこへやら、マイクを握り、小指おっ立てたマモンと茂呂亜亭 萌(so4078)がなにやら談笑し合っている。
「し、師匠、気づいてください。SINNですよ! どうして、ここに‥‥」
「お金払ったら入れてくださいましてね〜」
 のほほんと述べるシム・ラーケン(sp5986)の返答に、恋は確かな頭痛を感じた。
「え〜、だってレンレン、今日別に定休日じゃないんだよ〜? お客さんなら入店拒否なんてできないでしょ〜、もぉ〜♪」
「東京全体が定休日ですよ!?」
 SINNから受け取った代金を数えているマモンに、恋はついに頭を抱える。
 こういうとき、常識的価値観を持つ者ほど、その、なんだ、辛い。
「いやはや、あたしゃイカレポンチなファン筆頭の顔を見に来たんですが、やっぱりシケた面してらっしゃいますね」
 こめかみを押さえて、この場の空気を耐え凌ごうとしている恋へ、萌が露骨な挑発をカマしてくる。
 恋の顔つきが一変した。
「‥‥戦端を開く前に、口プロレスですか、落語家さん」
 眼差しと、その声に、怒気と殺気とを含ませて、親衛隊長は萌を睨む。
 さすがに威風堂々とした佇まいである。
 魔王と契約し、人であることをやめるという選択をした者。
 半魔。そう呼ばれる存在の、頂点に立っている者として威厳を、彼は確かに持っていた。
「言いたいことは山ほどあるけど、言葉より行動で示しましょうか」
「それがよさそうだな」
 流歌と龍兵が、それぞれ武器を構えた。
 まだ、会話が成り立つのであれば、口プロレスも続いただろう。
 しかしSINN達は悟る。会話は無駄だ。行動するしかないのだ、と。恋が放つ殺気。それをまともに浴びながら。
 ただ一言、萌は、これだけは言わねばと思っていたことを、彼に告げる。
「傍迷惑なファンなんて、アイドルには苦痛ですよ」
「遺言としては冴えませんね。‥‥まぁ、いいでしょう」
 言葉では流しつつも、恋から放たれる怒気が大きく膨れ上がる。
 それは同時に緊張感を場にもたらす。だが――
「お〜、こりゃあ魂篭もってますな〜」
「おじさ〜ん、次、私です」
 小指を立てて熱唱するマモンと、聞き惚れるシムに、自分の歌いたい曲を見繕っている未来。
 カラオケセットを巡るもう一つの争いが、そこにはあるのだった。

●最上階:狂喜王の御座
 七つの大罪が一つ、色欲。
 人の色情と愛欲を司る悪魔として、アスモデウスの名は伝わっている。
 実際、魔王であるアスモデウスの力は人を熱に狂わせる。まさに狂いの月、【狂月】の名を冠するのに相応しい、偉大にして醜悪なる力である。
「‥‥今までは、そんな力、使ってるところは見たこともなかったけど」
 カフェビル「酒池肉林」最上階、かつて招かれたその場所に、マリア・アンジェリーニ(sz0003)は再び訪れていた。
「アスモさん、いるのかな?」
 言いながら、栄相 サイワ(sa0543)が最上階のVIPルームに続く両開きのふすまを開けてみた。
 するとそこには、一見しただけでお金をかけていることが分かるシックな喫茶店風の空間。ピンクは多めだが、さほどその主張は強くはない。
「あ‥‥」
 と、栄相 セイワ(sa0577)が小さく声を挙げる。
 気づいたのだ。その空間のど真ん中、最も目立つその場所に、どっかりと腰を下ろしている小柄な体躯の存在に。
 狂える月の頂――魔王アスモデウス。
「‥‥‥‥」
 アスモデウスは、いつもとは全く違う、厳しい顔つきでジッと前を見据えていた。
 腕組みをして、唇をしっかりと結んだその姿は、格好こそいつものピンクではあるが、見る者にどこか鬼気迫る空気を感じさせた。
「‥‥なんか、マジっぽいな」
 栄相姉妹に同行してるアーサー・ラヴレス(sa4830)が、空気を感じ取って小さく呟く。
 思いがけない雰囲気であった。アーサーも知っている。これは戦場の空気にも似た質を備えている。
 アスモデウスは、本気でSINNと対峙するつもりである。と、いうことなのだろうか――マリアもまた、戸惑いにも似た気持ちを抱いて‥‥

 チーン。

 軽快な音がした。
 それは、インスタント食品を食べたことがある者であれば誰もが知る家電の音。
「鳴ったか‥‥」
 低く呟くアスモデウス。
 そして、厨房へと続く奥の通路から、一人の少女がひょっこりと顔を出して、
「アスモデウス様〜、ピザトースト焼けましたよ〜‥‥って、SINN!!?」
「あれ、もう来てたん、おまえらちゃんってば?」
 モロクの声でやっと気づいて、マリア達の方を振り向いたアスモデウスからは、すでに先刻までの緊張感は消えうせて、要するに、アスモたんだった。
「いいところに来ちゃってくれたな! よし、ピザパーチーな! ピッツァピッツァ!」
 途端に騒ぎ出すアスモデウスを見て、東雲 凪(sb4946)は軽く眉間を指で押さえた。
「‥‥どこまでが遊びで、どこまでが本気なんだ?」
「わかんない‥‥」
 マリアも、困惑と共に首を横に振って、
「ま、ピザ食べようぜ!」
 アーサーは軽く言うと、アスモデウスの近くの席へ歩き出した。
「冗談じゃないわ!」
 と、モロクが肉体構成を解いて雄々しい角を露にすると、強く拳を握ろうとする。
「来なさい、SINN。アスモデウス様が戦わなくても、この私が――」
「じゃ、遠慮なく!」
 ここで、デミル・ウルゴスティア(sd9633)が元気よく挙手をしてモロクの間合いへと飛び込んでいった。背後から。
「おりゃー! あ、白!」
 デミル渾身のアッパー。そして舞い上がるもろくのスカート。
「にゃああああああああああ!!?」
 絶叫と共に、轟と燃え盛るモロクの拳が、デミルの顔面を思い切りブチ抜いた。
「我が生涯に一片の悔いなしぃ!」
「ひゃ、百遍死ねェェ!」
 顔を真っ赤にし、涙目になってその場に座り込むモロク。
「泣くなってクレミア! いいじゃねーか、白! 清潔感重要よ、めっちゃ重要! さわやかイメージじゃん、白おぱんつとか!」
「やーめーてェェェェ!!?」
 アスモデウスのフォローになってないフォロー、モロクはもうボロボロだ。
「あ、あの‥‥、私も、白、いいと思うから‥‥」
 おずおずと、サイワもまたアスモデウスに続いた。
「黙れって言ってるのよォォォ!」
 最上階に、モロクの絶叫がこだました。

●カフェビル周辺:駆除だ、とにかく駆除をしろ!
「ディーフェンス! ディーフェンス! ディーフェンス!」
「おっけ〜おっけ〜、相手ビビってんよ〜!」
 と、控えのマモン達が口々に囃し立てる。
 ここは秋葉原駅前。
 かつてバスケットコートがあった場所で、ナタク・ルシフェラーゼ(sa2677)がバスケットボールを弾ませている。
 彼女と相対しているのは、マモンの中でも特にディフェンスに定評のあるマモンだった。
 今年の新入マモンの中でも特に活躍が期待されるマモンである。
 キュッ、キュと、口でバスケシューズの音の真似をしているそのマモンは、一見すると確かに隙がないように見えた。
 だが相対するナタクはスポーツ万能。一瞬垣間見えた隙を、彼女は的確に突いた。
「そこ!」
「なんだってぇ〜!?」
 ナタクが、マモンを真正面からブチ抜いた。
 そのまま彼女はゴール代わりの、電柱にしがみついているマモン(バスケットのゴールとほぼ同じ高さ)へとシュートをして、ゴールを決める!
 審判のマモンが、ゴールを告げるホイッスルを吹き鳴らした。
 ディフェンスのマモンが崩れ落ち、控えのマモン達が天を仰ぐ。
「えい! やあ!」
 それはそれとして、紺野 きつね(sp9415)がマモンをブン殴っていた。
「ナタクさんもバスケはいいから手伝って欲しいのですよ〜!」
「え、もうワンセットやってからじゃダメかな?」
「気づいてー! さっきからこのマモンさん達、ナタクさんの胸にしか視線が行ってませんですよ〜!?」
「ん?」
 今さらながら、彼女は激しい運動によって揺れる自分の胸部に集まる視線に気づいたのだった。
 そのバストは豊満であった。

 ――さて、マモンの群れについて、最も効率がよい駆除のしかたをご存知だろうか。
 これを実践している者達は、他のSINNよりも多くの獲物を仕留めることに成功している。その様子を、ご覧いただこう。

 秋葉原のちょっと上空。
 琴宮 涙湖(sb1982)とセルゲイ・クルーツィス(sc4350)。
 二人のエンジェリングが魔法によって空へと上がり、今さっき、涙湖がサンクトゥアリィで世界を隔絶したところだ。
 眼下にはピンクのハゲがうろちょろ。
 俯瞰してみると、その数がよく分かる。一匹見たら三十匹いると思え、的な。
「お財布」
 と、涙湖が取り出したのは言葉通り、お財布である。
 中には紙幣から両替した硬貨が詰まっているので、見た目からしてパンパンである。
「知ってるぞ」
 セルゲイが涙湖にそう返すと、涙湖はもう少しだけ付け加えた。
「せーちゃんのお財布」
「それも知ってる」
「これを――」
 涙湖は、手に持った財布の口を開くと、
「こう」
 それを、下に落とした。
「さようなら、俺の財布‥‥」
 セルゲイの声には、若干の哀愁が混じっていたという。
 口が開いたままの財布は、当然、その重みによって地面へと落ちていく。
 そしてヂャリン、と、それが道路に当たって音を立てた瞬間に、

「「「お金ひ〜ろった!」」」

 マモン共が一斉そこに群がってきやがった。しかもあくまで拾得物であるという主張を、その第一声に込めて。
「うわぁ‥‥」
 ハゲの群がる様に、セルゲイ、ドンビキ。
「可愛くないわね」
 やった当人の涙湖も、これには苦笑を禁じえない。
 だがそれはもう、いい的でしかないので、セルゲイは雷光を、涙湖は爆裂を。
「よし、撃とう」
「ええ、撃ちましょう」
 そういうことになった。

 二人のエンジェリングがハゲを焼却し終えて、片や満足げに、片や哀愁と共に現実空間に戻ってきた頃、一台のバイクが道路を疾走していた。
「気味が悪い景色だな」
 アクセルを全開にし、ハゲの群れへと向かっているのは、九面 あずみ(sn7507)である。
 日本の街並み。そこにたむろするピンクを、彼女は厳しい声でそう評する。
 片手に持ったバッグは口が開けられておりそこからは札束めいた紙片がチラリチラリと覗いている。
「「「ヒャッホ〜! 諭吉さぁぁぁぁぁぁっん!」」」
 ハゲがこれに飛びつかないわけがなかった。
 こっちはバイクで走っているのに対し、マモンの群れはただの駆け足。
 しかし速度の上で全くバイクに負けていないのは、ひとえに金銭への執念と、金銭に特化した能力ゆえ。
 ぶっちゃけハゲの群れは、その脚力を十倍にもして、あずみを追っていた。
 涙湖がやった時点で分かっていたことだが、金満漁法、恐るべし。入れ食いである。
 ――まぁ、そのバッグの中に入っているのは実際、札束でもなんでもなく、それっぽく印刷した紙束でしかないのだが。
 仮に、この場に分身ではないマモン本体がいたならば、それを見破ってきただろうが、哀しいかな、それが分身の限界でもあった。
「では、狩らせてもらう!」
 あずみが、バッグの中から愛用の鉈を取り出して、雄々しく笑ってバイクを反転させた。

 道路を一本ずらす。
 カフェビル「酒池肉林」がある大通り。
 今は車一台通っておらず、歩行マモン天国になっているそこを、マユリ・バルギース(sp0231)の操るパペットが走っていく。
 その首に、小銭の入った子袋をぶら下げて。

「「「銭じゃー!」」」

 追いかけるマモン。
 追いかけるマモン。
 追いかけるマモン。
 追いかけるマモン。
 全部マモン。
「‥‥‥‥効果ありすぎだろう」
 その光景を目にしたカーク・ルッフォ(sc5283)の呟きは、至極真っ当な指摘であった。
「目に痛いな、これだけピンクだと」
「蛍光じゃないだけマシかなぁ‥‥」
 と、車の助手席に座る九朗 或(sd4780)が零し、それを受けて酒匂 博信(sh4156)が首を捻る。
「いい具合に集まってきてるわね。そろそろイケるんじゃないかしら」
「そうだな、行くか?」
 後部座席にマユリとカークが乗り込む。
 博信がうなずいてキーを回すと、彼が持ち込んだGTが低く唸りをあげた。
「準備は?」
「全部終わってるぞ。こっちはマギアもかけた」
「ああ、イモータレムも終わっている。フォンスつきでだ」
 博信の問いに、カークと或が続けて返答する。
 二人が魔法をかけたのは、自分たちが搭乗しているこの車。
 カークは、アイテムの力も借りて車体に魔力を伴わせ、或は神の加護によって車体が壊れないようにした。
 そうして出来上がったのが対悪魔専用完全無敵必殺轢殺自家用車であった。
「じゃあ、いくよー」
 博信が、アクセルを踏み込む。
 発進する車が数秒で加速して、フロントガラス越しに見える、ピンクのオッサンの群れ。
「どいたどいたーっ! って、別にどかないでもいいねー!」

 そして博信の活躍(と書いて「れき★さつ」と読む)が始まった。

 マモンを追いかける。
 マモンを追いかける。
 マモンを追いかける。
 マモンを追いかける。
 マモンを追いかける。
 そして轢く。
 ドゴメキグシャベキョと、伝わってくる手応えが、何故こんなにも生々しいのか。
 だが普段は加速もできないような東京のど真ん中での車の加速。ちょっとイケナイことしてる気分にもなってしまう。
 絵ヅラだけ見れば、ちょっとどころじゃなくイケナイことではあるけれど。
「エキサイティンッ!」
 珍しくテンション高めの声を出しつつ、轢殺はさらに続いていった。
 かくして、ピンクのハゲは駆除された。
「‥‥長く苦しい戦いだった」
 そうでもなかった。

●最上階:狂喜王の挑戦
「ピザうめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
 SINNと魔王が、テーブル囲んでピザパーティ。
 お隣の上海では絶対にあり得ない光景である。
「コンビニスゲーな! こんなウメーピザ売ってるとかさすがじゃっぱ〜ん!」
「そーですか。そーですね」
 ピザトーストをもぐもぐしながら喝采挙げまくりの魔王と、その隣で憮然としながらみょ〜んとチーズを伸ばしているモロク。
 テンションの温度差がひどかった。
「お二人はー、今後どうされるんですか〜?」
 と、ピザパーティ中にシャムロック・クラナド(sp9296)が思いきってアスモデウスに問いかける。
 すると、ピザトースト(3つめ)をごくりと飲み込んだアスモデウスが、キョトンとして、

「ん? 魔界に帰るけど?」

 何気なく放たれた爆弾発言であった。
「ま、魔界に‥‥?」
 場のSINN達が一斉にどよめいた。
 魔界。
 ディアボルスが住むという、この世ではないとされる世界である。
 ルークス市国でも幾つか情報はあり、アンカリオがあることから、実在することは確実視されている世界ではあるが、その実情や詳細については全く知られていない。
「だって帰らねーと魔界消えちゃうしなー」
 爆弾発言に重ねての、さらなる爆弾発言であった。
「消えるって、どうして‥‥?」
「魔界ってさー、俺ちゃん達が創った世界なんよねー。けどほら、俺ちゃん達ってば全員、こっち来ちゃってんじゃん? だから消えるよなー」
 さも当たり前のように、アスモデウスは説明する。
 しかしSINN達が理解するには、あまりに不足している部分が多く、聡い者でもまだ完全には理解できない。
 ただ、この魔王が言う「俺ちゃん達」とは、きっと仙級ディアボルス達のことなのだろう、というくらいは分かった。
「‥‥えっと」
 誰もが、何かを言おうとして、言葉に詰まる。何を言うのが正しいのか、分からずに戸惑う。
「こちらに協力してもらうことは、できないのか?」
「無理に決まってるじゃない」
 凪の言葉を、モロクが即、切って捨てた。
「あんた達が私たちをどう思ってるかは知らないけど。‥‥悪魔なのよ、私達」
 当たり前のことではあるが、しかし、重くもある言葉だった。
「あ、ところでモロクこの間の一件のお詫びの意味を込めまして、私、こういったものを用意しましたの」
 しかし媛 瑞玉(sd3404)がここで絶妙に空気を読まない。
 彼女は、モロクにそう告げると、お詫びの品とやらを彼女の前に差し出した。
 ――豊胸ブラだった。
「燃やしてやるから灰になれェェェェェ!」
 差し出された品をひっつかみ、モロクが絶叫する。
 しかしその手にブラがある以上、興味がないわけではないのだと、全てのSINNが気づいていた。
「クレミアー! ピザおかわりー!」
「冷蔵庫にあるから自分でどうぞ! ‥‥って、もーなんかどーでもいいやー」
 ピザ食べ終わったアスモデウスへ、モロクの返事には疲れ切った投げやり感が漂っていた。
「悪魔と言う割に、随分と人間臭いね」
「やかましいわよ!」
 ダニエル・ベルトワーズ(sh5510)の冷静な言葉が、モロクの心をささくれ立たせる。
「クレミアー! ピザなくなってるんだけどー!?」
「じゃあないです、っていうか我慢してくださいこの庶民派魔王が!」
「庶民派いいよね! イヤミがなくて俺ちゃん的にも好感触!」
「クソッ、皮肉も通じねェ!」
「‥‥‥‥本当に、人間くさ――」
「黙れ! 分かってるから黙れ! お願いだから黙れ!」
 ベルトワーズの二度目の指摘を、モロクは何とか遮った。泣きそうである。
「これが幹部魔将‥‥、こ、個性的ですね‥‥」
「あきらかにひいてるクセにオブラート包んでるんじゃないわよ!」
 SINNにおける常識とはなんなのか、半ば見失いそうになっているオルフェオ・エゼキエーレ(si1323)に、同じ思いをここまでの幾星霜抱き続けてきたモロクが叫んだ。
「よーし、食った食った! 腹ごしらえしゅーりょーちゃん!」
 アスモデウスは満足げに頷くと、VIPルーム内にあるステージ上へと移動し、
「じゃ、勝負すっか!」
 両手を腰に当てて大きく胸を張るのだった。
「‥‥勝負、って」
 再びのSINN達の戸惑いであった。
 アスモデウスの動きがフリーダムすぎるのもあるが、ここに到るまでで、戦意を薄れさせている者も多くいた。
「封印を、こちらに渡してくれる気はないの?」
 マリアが、アスモデウスに問うと、魔王は軽く首をかしげて、
「神の子ちゃんよー、そんなんじゃーあかんぜ、全然あっかーん!」
「な、何が‥‥!?」
 魔王の叫びに驚きながらも、問い返すマリアに、叫んだ魔王は雄々しく腕を組んで、
「俺ちゃんパーフェクト可愛いだけど魔王ちゃんだぜ! おまえらちゃんが世界を救いたいなら、俺ちゃんに勝って手に入れろやー!」
 その声は雄叫びのようであり、戒めのようでもあった。
 知っているのだ。この魔王は、自分が手にした箱の中に何が入っているのかを。その上での、今の言葉ならば――
「何で、勝負するつもりでありんすか?」
 アスモデウスの本気を受け取り、アシェン・カイザー(sd3874)が話に踏み込んだ。
 魔王がニヤリと笑った。そして――モロクの方を見る。
「なんですか?」
「え、どーしよっかなーって‥‥」
「考えてなかったんですか!?」
「てへぺろ♪
「そのウインクが腹立ちますね!」
 ノリ優先で行動するとあかんことになる。
 そのいい見本であった。
「戦闘だけはないですね、これ」
「そうどすなぁ‥‥」
 ナイ・ルーラ(sb0124)が言うと、アシェンも構えようとしていた武器をひいて、「あす★らば」の様子を眺めた。
「よし、じゃんけんにしよーぜ!」
「世界の行く末を決めるのがじゃんけんとかしょっぱすぎますって」
「ケーキ早食い大会!」
「口に甘くても中身しょっぱいのは変わってないです!」
「じゃーどーすんだよー!」
「そもそも大一番なのに何で考えてないんですかー!」
 アスモデウス、キレる。
 モロク、キレる。
 一触即発(同志討ち)の危機が訪れようとしている中、しかし、救いの手は意外なところから伸びてきた。

「だったらアイドル勝負と行こうじゃないか!」

 何やら大きな箱のようなものを抱えて、アントーニオ・インザーギ(sa5938)がVIPルームに飛び込んできた。
「よぉ、マリア、アイドルやらないか?」
「え、え!?」
 挨拶も短かに、いきなり言われて、マリアは面食らう。
「それに、そっちの日本アイドル三冠王のお二人さんも」
 ドカっと、彼は持っていた箱をステージの上に置いた。
 するとそれは途端に光り輝いて、人が数人乗れる程度に大きくなる。
 アンントーニオが錬金術によって練成した、魔法のお立ち台であった。
「いいね、アイドル勝負!」
 気に入ったのか、アスモデウスがバシバシとお立ち台を叩きまくる。
「よーしそしたらおまえらちゃん! こいつが俺ちゃん達のラストステージ、見事越えてみるれろら!」
 魔王との勝負(コンサート風味)が、幕を開ける!

●「酒池肉林」下層:安心と信頼の――
「う、うーん‥‥なんなんだろう、この光景は‥‥」
 エレオノーラ・フリートラント(so1032)が、今も続くアスモデウス同士の大乱闘に前にして、こめかみを押さえた。
 相手は曲がりなりにも魔王の分身。
 幹部魔将にも匹敵するほどの格の持ち主であると、覚悟を決めてきたのだが、それにしても愉快すぎる。
 先ほどから、覚悟が行き場を失って路頭に迷ってしまっている。
「ハッ、随分とカワイイ見た目してるのは認めてやるがよ、俺の恋人に比べりゃあ大したことねぇな!」
 と、大乱闘スマッシュアスモデウスへと、鷹宮 奏一朗(sp8529)が笑い混じりにそう煽る。
 するとどうだ。いきなり乱闘はピタリと止まって、全てのアスモデウスが彼の方を向いたではないか。
「「「俺ちゃんの方が可愛いに決まってんべ?」」」
「あァ!?」
 一転、奏一朗の顔から笑みが消える。
「上等だぜ、なァオイ?」
 彼はその姿を狼の獣人へと変えると、拳をゴキリと鳴らしながら、アスモの群れに躍りかかっていった。
「元気なものだな」
 もはやドタバタコメディと化している大乱闘に、ヴェルンハルト・ラヴィーネ(sp3868)は関心なさげに呟いた。
「同意ですね」
 ブリギッタ・ブライトナー(si7746)が、ヴェルンハルトの声に頷き、担いできた対物ライフルをその場に下ろした。
「うわー、なんかすっげーことになってるなー!」
 しかし弟のユリウス・ブライトナー(si7758)は、大乱闘を見るなり目を輝かせた。
 隣では、ユリウスと同い年のギルベルト・ブライトナー(si7759)が、「うわぁ」という顔をしていた。しかし、彼は露骨にワクワクしているユリウスを見るなり、何かを思いついて錬金素材を手に取った。
「俺も混ぜろー!」
 我慢しきれず、自ら乱闘へと飛び込んでいくユリウス。
 ――が、いっぱい。
「‥‥ギルベルト?」
「あ、な、なんとなく、だから‥‥」
 ブリギッタに視線を向けられて、ギルベルトはなんだか気まずそうに顔を俯かせた。
「おー、すっげー! 俺がいっぱいいるー!」
「ファルス? ファルスユリウス!」
 賑やかさが倍化した。
 ギルベルトが施した錬金術によって、ユリウスの分身が大量に発生したのだ。
「このアルケミー、どのような意味が?」
「‥‥あんまり、ない、かな」
 姉に問われ、素直に白状するギルベルト。
 彼自身、この雰囲気に呑まれて、つい、ノリでやってしまったところであった。
「どなたか、サンクトゥアリィを」
 弟にそれ以上何かを言うことはせず、ブリギッタは対物ライフルを設置すると、周りにいるSINN達に要請する。
「あ、はい、そうですね」
 マイアが応じて、すぐさま世界を隔離した。
 何も変わらないこの場だけが騒々しい特殊空間内、アンネリーゼ・ブライトナー(so1524)が手に握ったCROSSにローレムを付与する。
「お姉様、準備できましたわ」
「それでははじめましょう」
 ここからがブリギッタによる蹂躙の始まりであった。
「そこです」
 銃声が一度響けば、発射された魔力入りの弾丸はユリウスの脇スレスレをかすめ、アスモデウスに命中する。
 『第1回チキチキ一番可愛い俺ちゃんを決めるあっちむいてホイ大会(特別ゲスト:奏一朗、ユリウス)』開催中だったアスモデウスの群れが、この一発に一斉に彼女の方を向いた。
「この弾丸をくらわせたのは誰だ!」
 と、どこかの美食家のように叫ぶアスモデウスAであったが、ブリギッタは一切その怒鳴り込みに構うことなく、トリガーをひき続ける。
 数度、銃声が響けば、アスモデウスAの姿が霞みのように薄れて消えた。
「アスモたぁぁぁぁぁぁん!?」
 絶叫するアスモたん。
 弾丸を撃ち尽くし、空になった弾倉で呼び弾を補充しているブリギッタが、仲間達へ告げる。
「チャンス、なのでは?」
 その言葉に、数名がハッとした。
 アスモデウスのテンションと、この場所が持つ戦場とは一線を画する空気に流されていたが、そう、今は戦闘中なのだ。
 流されず、自分の任務をひたすらに全うしようとするブリギッタが、淡々とアスモデウスを狙撃していった。
「俺ちゃんが相手だー!」
 撃たれた。
「俺ちゃんが相手だー!」
 撃たれた。
「俺ちゃんが相手だー!」
 撃たれた。
 もはや完全にFPSのノリだった。
「姉ちゃんだけズルい、ズルい、ズールーいー!」
 騒ぎ出したのが、ユリウスである。
「俺もドカーンってやりたい! やーりーたーいー!」
「やればいいではないですか」
 ワガママを抜かす弟へ、姉はいつもどおりに冷静に言う。
 ギルベルトとアンネリーゼは、すでにこの後の展開を確信し、そそくさと姉のそば、ローレムの結界内へと避難していた。
「今から弟がイグニスを使いますので、皆さんもこちらへ戻られた方がよいかと」
 ブリギッタの助言を受けて、まずヴェルンハルトが結界に入る。
 それを皮切りにSINN達は次々、彼女の方へと集まって、アスモデウスの一体が問いかけてきた。
「何が始まるんです?」
「大惨事で大変です」
 律儀に答えるブリギッタ。案外存外、ノリがいい。
「うおー! 俺の一撃をくらえー!」
 張り切るユリウスの背中に輝く光の翼。
 マイアのサンクトゥアリィが終了するまで残り30秒、炸裂したイグニスの爆裂が、結界越しにSINN達の視界を紅蓮に染めた。
 カフェビル「酒池肉林」の二階で繰り広げられた、アスモデウスの群れとの戦い。
 その結末は、安心と信頼の爆破オチだった。

●「酒池肉林」上層:それでも僕は――
「じゃあ、みんな、僕のために殺し合って!」
 ステージの上に立って、両腕を大きく広げた恋がそう告げれば、場は一気に殺戮の戦場と化した。
「レンレェェェェェェェン!」
「レンレンのために死んでくださぁぁぁぁぁい!」
「うおおおお、レンレンは俺が守るぜェェェェェ!」
 戦っているのは、萌、流歌、龍兵ら、つい先ほどまで恋と向かい合い、敵意と殺気をぶつけていたSINN達であった。
 しかし彼女たちは今や、その心を恋へと捧げて、恋の言葉をそのまま神のお告げ、天からの預言のように受け止めて、互いに刃を向け合った。
「他愛のない‥‥」
 恋が、つまんなさげに呟いた。
 彼が使ったのは、魔王の眷属となったことで手にした力。
 魔王アスモデウスのみが使うことができる己の世界を作り出す力を、限定的ながら使用しているのだ。
 この場に、心の領域を展開できる者が一人でもいれば、この惨状はきっと起こり得なかっただろう。
 しかし、それがないならば、訪れる結末に選択肢は存在しない。
 全力で、『恋のため』に傷つけ合うSINNとSINN。
 ステージの上、銃声、剣戟の音を聴きながら、場を俯瞰する恋は、軽く肩をすくめた。
 弱く、脆い。魔法を使う、鍛え上げたSINN達も、今の自分には取るに足らない存在でしかないと感じる。
 そのまま殺し合え。
 そのまま死に尽くせ。
 つまらない人間たち。醜く、あつかましく、浅ましい人間たち――この世界に、太陽は一つでいい。
 アスモデウスという、世界で唯一つの太陽。大いなる光。彼にとっては真実、神と呼ぶに相応しい存在。
 その確信を、ずっと抱いているはずなのに、どうして‥‥
「師匠、僕は‥‥」
 SINN達が同士討ちに倒れた頃、恋が答えを求めるように、マモンの方を見る。
「オラ、拾えよ、恵んでやんよ」
「エヘヘヘヘ、お、お金お金おっかね〜♪」
 マモンは、淀屋 ケイ太(so8112)が床にばら撒いた一円玉を、その場に跪いて拾い集めているところだった。
 その姿は醜く、あつかましく、浅ましい。
「師匠ォォォォォォォ!?」
「うるっせぇイケメン、腹パンすんぞコラ!」
「な、なんて醜いんだ! 働き盛りの中高年のお父さんに、何てことを‥‥! 間違ってる。親父狩りが横行するようなこの社会は、やっぱり間違っているんだ!」
「このハゲ、ディアボルスだけどな」
 ケイ太の冷静なツッコミ。だが恋には効果がないようだ。
「そこの君は、もう僕の虜だよ。さぁ、自害せよSINN!」
 怒りと共に恋は、ケイ太へと魔王の力を向ける。それはケイ太自身の能力に関係なく、恋への熱狂となって現れてしまう。
 自らを傷つける彼を見て、恋の顔は一瞬優越感に浸るも、
「哀しそうな顔をしているのですね」
 一瞬浮かんだ表情のかげりを、その声の主は確かに見抜いているようだった。
「どなたですか‥‥」
「これは申し遅れました。私はイーノク。一介の神父です」
 と、やっとこの場に到着したイーノク・ボールドウィン(sd3868)が、自己紹介をする。
「勧誘でしたら間に合っていますので、必要ありませんよ、神父様」
「そう見受けられますが、しかし、迷いもお持ちのようですね」
「‥‥だったら、なんですか。僕にはすでにアスモデウス様という神に等しい方がいる!」
 気がつけば、恋は叫んでいた。しかしイーノクは、青年の叫びを受け止めて、
「それでよいのですか? アスモデウスは魔の存在。消えれば、あなた自身も消えてしまう。それでも、よいと‥‥?」
「そのくらいのこと、すでに、覚悟は決まっている。あの方に、僕の魂を捧げたそのときから、僕の命は、あの方のものだ!」
 言いながら、恋自身、何故叫んでいるのか分からない。
 戦闘が起きたならば、もはや自分とマモンの勝利は揺るぎないだろう。
 イーノクも歴戦のSINNなのだろうが、彼一人で何ができるというのか。焼け石に水、程度にもなりはしないだろう。
 しかし募る焦燥が、恋の胸を焼き続ける。神父の瞳、それに貫かれて。
「僕に迷いなんてない。僕には‥‥!」
「ならばどうして、そんなにも苦しそうなのですか」
 イーノクの言葉に、恋は唇を強く噛んだ。
「あなたはどうしたいのですか? 例えハーフブリードでも、迷いを持つならば導きましょう」
「そんな必要は、ない‥‥!」
 はずなのに、どうしてここまで揺らぐのか。
「レンレンってば〜、アスモちゃんに残ってほしいなら言えばいいのに〜ん」
 ハゲが口をはさんでくる。
「残ってほしい、とは‥‥?」
「あ、僕達ね〜、も〜すぐ魔界帰っちゃうの〜ん」
 その言葉はイーノクにとっても意外。
 しかし思いつめたような顔をする恋を見ると、どうやら冗談でもなさそうだった。
「ならば、思い切りぶつかればよいではありませんか」
 イーノクは、悩める若者にそう説いた。
「あなたの悩みや苦しみは、あなたにしか分からないもの。しかし、わずかなりとも道を示すことは、私にもできるでしょう。さぁ、迷える子羊よ、あなたの悩みを、聞かせてください」
 こうなると、もはや聖職者の独壇場であった。
 俯いていた恋が、ポツリポツリと語り始める。
 それを聞きながらいちいち頷くイーノクをマモンが見守るという、一種異様な光景がそこに成立する。
 一方、レンレンをめぐる仁義なき争いを繰り広げていた面々は、めでたくネタ重傷というありがたくない栄誉を与えられたのだった。

●最上階:歌えばいいのさ
「私、アスモさん達のこと、大好きでーす!」
 VIPステージ、輝く大きなお立ち台の上に立って、両手でマイクを握り締めるのは須経 蘭華(sb0118)であった。
 そのいでだちは全身甲冑。背中には旗のついた槍を背負っている。
 演劇で使われる小道具ではない、甲冑も槍も、『マジモン』だ。
 しかしそれが彼女の、今この場での舞台衣装。大一番に選んだコスチュームであった。
「人と悪魔が相容れないものだとしても、分かり合うことはできる。そう教えてくれたから‥‥!」
 蘭華は思い出す。
 これまで、短い間とはいえ、「あす★らば」を過ごしてきた時間のことを。
 そしてマイクを握る手に一層強く力がこもり、彼女は観客席を見つめた。
「みんなに幸せになってほしい‥‥。私の願いです。その願いを込めて、歌わせていただきます!」
 曲のイントロが流れ始める。
「聴いてください――『37564(ミナゴロシ)』!」
「ちょっと待てェ!!?」
 イントロから分かるハードなロック。そして叫んだタイトルに、思わず神代 翼(sb3007)が叫んでいた。
 しかし叫んでからふと彼は思う。
 ――いや、タイトルはアレだが、中身はまともなのかもしれない。そうだ、この大一番で選ぶような曲なんだから!
「ころせーころせー逆らうやつはぶっころせー♪ 積み上げた屍は昨日までに37564体〜♪」
「アウトだこれー!?」
 二度目の翼の悲鳴。
 ちなみにこの曲、最近日本で放映された、熱血独裁者と冷血軍人ロボット操縦士の日常を描いたアニメの主題歌であるとのこと。
「ジャパンじゃ変わった歌が流行ってんだな‥‥」
 ギィ・ラグランジュ(sf9609)がポツリとそんな感想を漏らした。
 彼自身、東洋の言葉は分からないが、曲の雰囲気と翼の反応などから、蘭華が歌っている内容が世間一般の基準から大きく外れているものだということは分かる。
 しかし、と、彼は隣の席に座っているマリアに目をやった。
 何かとジャパンのものに興味を示すこの神の子は、はたして、蘭華の歌に如何なる反応を見せるのか――
「‥‥神よ。理解が及ばない私をお許しください」
 マリアは神に祈りを捧げていた。
 神の子の価値観が真っ当で、心から安心するギィだった。
「しかし、こんなことをする必要があるのかな?」
「ダニエル‥‥?」
 マリアの一列後ろには、ダニエルとオルフェオが座っていた。
「相手はディアボルスなんだよ。わざわざ、合わせる必要はあるのかな」
「一理あるとは思うがな」
 ギィが答える。彼にとってディアボルスとは、その刃にて切り伏せる存在に間違いないからだ。
 しかし、マリアは首を縦には振らず、
「これは試練よ。私は、そう受け取ったわ」
「試練、ですか‥‥?」
「そうよ。戦いだけが、魔を祓う手段じゃないわ‥‥。なんとなくだけど、私はそう思うの」
 静かながら、しかし言葉にこもる力は強く、ギィは、彼女に小さく笑いかける。
「だったら試練ってことだぜ、マリアちゃん。マリアちゃん自身が、そう言うならな」
 ギィは世辞ではなく、本心からそう言うと、マリアは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございましたー!」
 蘭華の、すこしだけ気恥ずかしそうな声が聞こえてくる。歌が終わったのだ。
「あ‥‥、ちょっとしか聴けなかったわ‥‥」
 ちょっとしょぼんとするマリア。
「アスモさん、私、アスモさんがいなくなっても、世界征服、諦めませんから!」
「よく言った! 感動した! だが世界は渡さないかんね!」
 蘭華とアスモデウスの会話を聞きながら、そのやり取りが少し微笑ましく感じられた。
「‥‥なんつーか、やけに舞台慣れしてるっぽかったわね〜」
 蘭華の、モロクからの評価がそれであった。
 嫌々とはいえ、これまで、メイドとしてもアイドルとしても経験を積んできたモロクだからこそ、分かることではあった。
 蘭華の出番が終わる。そうすると舞台に誰もいない状態となり、数秒、十数秒、時間が過ぎていく。
「じゃあ、次はマリアの番だな!」
「へっ!?」
 沈黙が、気まずい空気を帯びる前に、蘭華からマイクを受け取ったアントーニオが、マリアを指差した。
「わ、たし‥‥? え、でも、あの‥‥!」
 あたふたするマリアの肩を、ギィが叩いた。
「行って来いよ、マリアちゃん」
「そうですわ〜。私も一緒に行きますから、歌いましょう?」
 いつの間にやら瑞玉も、マリアの手を軽く引っ張る。
「試練なのでしょう、マリア様? でしたら、貴女の力が必要ですわ」
「なんや、大変みたいやけど、見てみたくはあるなぁ〜」
 と、ラティーファ・アミン(sq2900)もどこか間延びした声で告げた。
「う〜‥‥」
 自ら、試練であるとは言ったものの、人前で歌った経験などほとんどないマリアである。すぐさま決断できるほど、その精神は図太くは出来ていなかった。
 ――何が神の子だか。ただの小娘じゃないの。
 と、軽く後ろを振り向いて、様子を眺めていたモロクが、バカらしくなって前を向き、頬杖を突く。
「アスモちゃーん! いなくなっちゃうなんてやだー!」
「泣くなよ、そんな泣かれたら俺ちゃんだって泣きたくなるだろー!」
 アスモデウスは、レイメイ・ウィンスレット(so0759)と抱き合ってオイオイ泣いていた。この魔王に感情のタガとかそういうのは付属されていないので、まぁいいか、とか思いつつ、眺める。
「つまらなそうだね」
 モロクに、声をかけてくる者がいた。
「あんた‥‥」
 翼だった。
「ツッコミお疲れ様」
「気づかれて最初の反応がそれっていうのもおかしいよね?」
「で、何か用かしら? 馴れ合うつもりはないんだけれど」
 素っ気無いモロクの反応に、翼は申し訳なさそうな笑みを浮かべると、一転、唇を決意に引き締めてから、
「フィーからだよ‥‥」
「‥‥‥‥え?」
 モロクの声は、間の抜けたものだった。
「忘れているものを思い出させてあげる。捨てても拾ってあげる。何度でも、私が拾う。って――」
「‥‥‥‥な」
 しばしの沈黙ののち、震える唇から出た声は、唇よりもさらに、動揺に震えていた。
「‥‥なん、で、あんた、なんかが」
 翼は、答えなかった。ただモロクを見守って、そして、
「確かに、伝えたよ」
「う‥‥‥‥」
 モロクは、何かを言おうとして、いつの間にか伸びた手がアスモデウスのハートのカバンを掴んでいた。
「何か知らんが、オウ!」
 アスモデウスは威勢よく振り向くと、軽くぺふぺふとモロクの頭を撫でるように叩く。
「神の子ー! 神の子ー! 歌ってちゃーん!」
「えええええええええ!?」
 マリア、逡巡しているところに、魔王からの直々のご指名であった。
「ほらほら、行きますわよ、マリア様」
「マリアちゃん頑張ってー!」
「しっかりやんなよー」
「あうあうあうあう‥‥」
 瑞玉に引きずられ、舞台に上がるマリアへ、レイメイと厳島 雪花(sp0998)が声援を飛ばす。
「フッフッフ、果たして神の子ちゃんは俺ちゃんのベリーハードお試しセットを乗り越えることがヘルウォール!」
「さすがに魔王でも分からないことってのはあるものね」
 と、何やら自身ありげに、雪花が言う。
「アスモちゃん、クレミアたん、あなた達は魅力的だけど‥‥、でも、足りないものがあるわ」
「なんですとぉ!?」
「なるほど‥‥、そういうことですか‥‥」
 甲冑姿の蘭華も、雪花の言葉に納得したようにうなづいて、
「それを、これから、マリアが見せてくれるでしょうね」
「ほっほぉ、見せてもらおうじゃな〜い!」
 アスモデウスは不敵に笑うと、ステージを真っ直ぐ見据える。ものすごい眼力だった。
「私、何したらいいの‥‥? 分からないよ‥‥」
 舞台に上がりはしたものの、どうしたものかと悩むマリアへアントーニオが言葉を贈る。
「神の子とか言われてるけど、アイドルみたいなものだと思えばいいさ? ルークス・クライストだって多分スーパースターみたいなものだったんじゃないかと俺は思うね」
 ジャパンのチョーさん、みたいな、と、彼は付け加える。
「あ、アイドルって‥‥」
 マリアは鼻白むが、そのアントーニオの言葉は、ルークスの信者ではない彼だからこその視点でもあった。
「分かった‥‥」
 と、彼女は意を決する。
 自分ひとりだったら、こんな決断はきっとできない。
 アントーニオや、瑞玉や、ギィや、この場にいるみんなが、背中を押してくれるからこその、
「曲はどうする、神の子ちゃん!」
「その前に――」
 マリアはマイクを両手で祈るようにつかみ、皆へ、訴えた。
「お願い、一緒に歌って欲しいの」
「マリア‥‥?」
「私一人じゃ、きっと歌えない。だから、お願い、みんなの力を、貸して――」
 その訴えは、至極当然のものだった。心構えも出来ていない小娘が、たった一人で全てを背負うことなど、できはしないのだ。
 だから――
「は〜い、では私はバックダンサーいただきですわぁ」
「俺も下手だが、一緒に歌わせてもらうぜ、マリアちゃん!」
「もう、歌い終わったばっかりなんですけど、そこまで頼まれたらしょうがないですね〜」
 瑞玉が、ギィが、蘭華が、次々、舞台へ上がっていく。
「本当に常識から外れているよ」
「歌はあまり得意ではないのですけどね‥‥」
 ベルトワーズやオルフェオも、苦笑しつつも席を立ち、
「ハハ、こりゃ、終わったらマリアを胴上げだな!
「じゃあ、俺も行こうかな」
 アントーニオに、続けて翼も舞台へ。翼はチラリと、モロクを見る。
 モロクは、その視線に気づいて、目を逸らした。
 ありがとうと、皆に呟き、神の子は、皆と歌い始めた。
 選んだのは、讃美歌だ。きっと、誰もが知っている曲。ずっとずっと、はるか昔から歌い継がれてきた曲だった。
「‥‥‥‥この歌」
 マリアの歌唱力は、そう大したものではなかった。
 練習もしておらず、舞台に上がることなど今までなかった少女の歌。実際、高が知れている。
 それを皆が助ける。
 それを皆が支える。
 大合唱だった。それは、日本におけるアイドル像とはかけ離れてはいても、しかし、歌声は確かに、この場の皆の心を繋いでいた。
「‥‥アスモデウス様」
「おう、なんじゃいクレミア」
「本当に、魔界に帰るんですか‥‥。こんなやつらに、封印渡して」
「俺ちゃん嘘つかんよ! まー、テストに合格したらだけどねー!」
 と、答えはするものの、アスモデウスの中ではもうハラは決まっているに違いない。モロクにはそれが分かっていた。
「どうして、どうしてSINNなんかに‥‥!」
 強く感情を露にするモロクを、アスモデウスはぺふぺふ撫でる。
「あいつら見てみろよ、クー」
「え‥‥」
 言われて、モロクは舞台を見る。
 マリアと、SINN達が歌っていた。その歌い方は一生懸命で、下手なくせに、音だって外れてるくせに、一生懸命なだけで上手くもなんともないクセに――
「俺ちゃん、ああいうの好きよ」
「‥‥‥‥嫌いだなんて、言ってないです」
「よし、じゃー歌うぞ!」
「えっ」
「えっ、じゃねーよクレミア! おまえアイドルだろーが! 自覚もたないのいくないよ!」
「や、やりたくてやってるわけじゃ‥‥!」
「オラオラー! 俺ちゃんも歌わせろコラー!」
 モロクが反論するまでの数秒の間に、アスモデウスはさっさと舞台へと走っていってしまう。
 勝手だ。本当に、勝手な上司だ。そう、ずっとこんな調子で、あのハゲも、この俺ちゃんも――
 モロクは視線を上げて、天を仰いだ。天井が見える。そして一言だけ、呟いた。
「あんたのところになんか、行かないわよ。私は‥‥」
「オラー! さっさと来んかーい、クレミアー! 遅刻いくないよー!」
「そうそう、遅刻はいけないんだぞー! クレミアたん!」
「たん言うなー!」
 アスモデウスとレイメイに叫び返し、モロクも舞台へ上がっていく。
 そして、人と悪魔の大合唱――「あす★らば」の引退コンサートが、始まるのだった。

●明日に恋して
 聖櫃を開けてみると、中には、輝きを放つ封印の器が入っていた。
「これが‥‥、第五の封印‥‥」
 そっと手を伸ばして、マリアは器を持ち上げた。暖かなぬくもり、力強い光。彼女はそれを確かに感じ取った。
「じゃ、それ任せたかんな! しっかりハッピー運ぶんだぜおまえらちゃん! あ、この箱はもらっておくぜー!」
 聖櫃を小脇に抱え、アスモデウスはブンブンと腕を振っている。
 カフェビル「酒池肉林」。
 その屋上で、空間は歪み、真っ黒な次元の穴が生じていた。
 魔界へと通じる次元の穴である。アスモデウスが直々に作り出したものだ。
「フッフッフ、さすが俺様ちゃん! 魔王スゲーな!」
「そうですね。ここまで清々しい自画自賛もなかなかないですよね」
 モロクのツッコミは辛辣だった。彼女の顔つきは、どことなし、スッキリしているようにも見える。
「本当に魔界に帰るんだな、あんたら」
「‥‥ちょっと、残念っていう気もするね」
 アントーニオと翼が、勢ぞろいした【狂月の軍勢】に言うと、マモンが、エヘラと笑って、
「魔界で経済の概念を作っちゃえば〜、僕ってば伝説に残っちゃうしね〜」
 いっそ潔い名声欲である。
「魔界にだってディアボルスはいるかんね! 俺ちゃんがしっかり支えてやんなきゃいかんよね! 魔界の明日は俺ちゃんが守る!」
「‥‥本当にディアボルスなのか?」
 アントーニオが、誰もが思ったことを代弁した。
「‥‥残念ながらね」
 モロクは心底残念そうだった。
「アスモデウス様、僕も行きます。あなたに魂を捧げた、僕も‥‥!」
 悩み、考え、出した恋の結論に、アスモデウスは「オッケーィ! 俺の背中について来い!」と、当たり前のように言った。
「ヘイ、神の子ちゃん! この世界の明日は、おめーらちゃんがしっかりやれよなー!」
「魔界が消えるかもしれないのは、この世界が危ないからよ。その意味を、しっかり考えることね」
 アスモデウスの激励と、モロクの叱咤。
 そして別れのときはやってきて、まずは恋が、次元の穴の向こうへと消えていった。
「そこのあんた」
 モロクが穴へと向かう前に翼を呼び止める。
「何かな?」
 応じると、モロクはしばしの沈黙を置いて、小さく告げた。

「私は、クルムよ」

「オーイ、モロクー! いっくぞー!」
「こっちに置いていくわ。あとは、好きにして」
 アスモデウスに呼ばれて、彼女は小走りで駆けていく。
「エヘヘ、エヘヘ、さ〜、あっちでもいっぱいお仕事がんばっちゃいましょうか〜」
「じゃあね、あんた達! 私達のこと、別に覚えてなくてもいいんだからね!」
「じゃーなーおまえらちゃーん! しっかり明日も恋しろよなー!」
 【狂月の軍勢】の三体が、次元の穴の向こうへと去っていく。
 こうして、人類史上もっとも被害の少ない魔王との決戦は終わりを告げて、ルークス市国は五つ目の封印を入手した。
 そして「あす★らば」は伝説となった。
 その伝説を後世へと語り継げるかどうか。
 世界の行く末は、今、SINNに託されたのだった。


「じゃーねー! ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァブッ!」

MVP
アントーニオ・インザーギ (sa5938
♂ 人間 ハンドラー 風
神代 翼 (sb3007
♂ 人間 エンジェリング 風
琴宮 涙湖 (sb1982
♀ 人間 エンジェリング 火
酒匂 博信 (sh4156
♂ 人間 パラディン 地
ブリギッタ・ブライトナー (si7746
♀ 人間 パラディン 火

参加者一覧
栄相 サイワ(sa0543)E地 栄相 セイワ(sa0577)A風 アウグスト・ソウザ(sa2367)P火 ナタク・ルシフェラーゼ(sa2677)P風
アーサー・ラヴレス(sa4830)P火 アントーニオ・インザーギ(sa5938)H風 バイオレット・エアレイダー(sa7966)P火 御剣 龍兵(sa8659)P風
須経 蘭華(sb0118)E地 ナイ・ルーラ(sb0124)E地 ファミリア・サミオン(sb0511)P風 琴宮 涙湖(sb1982)A火
神代 翼(sb3007)A風 東雲 凪(sb4946)P風 房陰 朧(sc2497)H風 セルゲイ・クルーツィス(sc4350)A風
カーク・ルッフォ(sc5283)E風 媛 瑞玉(sd3404)P風 イーノク・ボールドウィン(sd3868)A火 アシェン・カイザー(sd3874)E火
九朗 或(sd4780)E水 デミル・ウルゴスティア(sd9633)E地 七宵 桜(sf5132)P風 村正 刀(sf6896)A火
十文字 翔子(sf7297)A風 リン・ブレイズ(sf8868)P火 ギィ・ラグランジュ(sf9609)P地 轟 琳瑚(sg2457)P火
ラミア・ドルゲ(sg8786)P風 赤城 圭(sg9025)P火 メーコ・カトウ(sh3828)K風 酒匂 博信(sh4156)P地
ダニエル・ベルトワーズ(sh5510)A水 真幌羽 鈴鹿(sh5555)H火 オルフェオ・エゼキエーレ(si1323)P地 道摩 歌留多(si1427)A地
御剣 四葉(si5949)E水 ブリギッタ・ブライトナー(si7746)P火 ユリウス・ブライトナー(si7758)A火 ギルベルト・ブライトナー(si7759)H火
マイア・イェルワジ(sj7576)A地 九面 あずみ(sn7507)P水 ジュラルディン・ブルフォード(sn9010)H風 レイメイ・ウィンスレット(so0759)A地
エレオノーラ・フリートラント(so1032)P火 アンネリーゼ・ブライトナー(so1524)E火 茂呂亜亭 萌(so4078)A風 淀屋 ケイ太(so8112)E地
マユリ・バルギース(sp0231)H火 厳島 雪花(sp0998)E風 エテルナ・クロウカシス(sp1494)A風 ヴェルンハルト・ラヴィーネ(sp3868)E水
碇矢 未来(sp5129)P火 荒井 流歌(sp5604)A水 シム・ラーケン(sp5986)E水 鷹宮 奏一朗(sp8529)K火
シャムロック・クラナド(sp9296)K風 紺野 きつね(sp9415)K火 ラティーファ・アミン(sq2900)E水 南郷 龍馬(sq3216)A風
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