あれから1年、そして───

担当マスター:真名木風由
開始15/04/04 22:00 タイプイベント オプションお任せオプションEXオプション
状況 SLvS 参加/募集42/― 人
料金1100 分類日常
舞台国ルークス 難易度易しい

◆周辺地図
参加者一覧
栄相 サイワ(sa0543)E地 栄相 セイワ(sa0577)A風 ティファニー・エヴァーツ(sa1133)A水 ニア・ルーラ(sa1439)H水
メイリア・フォーサイス(sa1823)A風 マネハール・ティーテレス(sa2429)H地 プリマヴェーダ・セイニー(sa6269)A水 狼牙 隼人(sa8584)P風
御剣 龍兵(sa8659)P風 ナイ・ルーラ(sb0124)E地 琴宮 涙湖(sb1982)A火 神代 翼(sb3007)A風
東雲 凪(sb4946)P風 アドリアン・メルクーシン(sb5618)P火 ランドルフ・ジョーンズ(sb8085)P火 ジェローム・モローアッチ(sc1464)A水
房陰 朧(sc2497)H風 セルゲイ・クルーツィス(sc4350)A風 郡上 浅葱(sd2624)A風 キャサリン・モローアッチ(sd2653)P火
鷹羽 叶望(sd3665)E地 アシェン・カイザー(sd3874)E火 東雲 燎(se4102)H火 クラリーチェ・ラグランジュ(se5708)A水
リリアン・ミナルディ(se7452)H風 リン・ブレイズ(sf8868)P火 ギィ・ラグランジュ(sf9609)P地 竜造寺 巌(si7760)P火
鷹羽 歩夢(sj1664)P水 スィニエーク・マリートヴァ(sj4641)P風 マイア・イェルワジ(sj7576)A地 文倉 羽留(sn2556)A風
エリーナ・ハーシェル(so3015)A火 神楽坂 凛(sp3316)E風 鷹宮 奏一朗(sp8529)K火 セイディ・ゲランフェル(sp8658)K水
美月 はやな(sp9368)K水 千種 蜜(sp9590)K地 高柳 桜(sp9823)P地 アーク・カイザー(sq0753)K火
アスラン・ノヴァク(sq1286)K地 上随 スウソ(sq1318)K風
オープニング
●1年後、ここに集いて
 『あなた』は、その招待状に目を落とした。
 それは、エルネスト・ブノワ(sz0035)からのもの。
 3月13日という節目に記念パーティーを開くというもので、招待状にはその詳細が記されてあった。
 バベルス・モールでも規模に余裕があるレストランを貸し切り、幾つかの国の料理をバイキング形式で楽しむことが出来る。勿論、デザート方面もしっかりしているそうだ。
 広めのスペースをレストラン側に作ってもらったらしく、懐かしい顔と記念撮影をするスペースは勿論、今日という日を忘れない為の出し物を行うスペースもあるとのこと。
 それらスペースに余力を残しても歓談スペースもそう狭くはないらしい。
 立つのに疲れた者の為に椅子がある休憩スペースもあるとのことなので、歓談に少し疲れたら、腰を下ろして想いを馳せるのもありだろう。
 あれから、1年が経つ。
 任務の日々がなくなれば、今日まで顔を合わせられなかった者もいるだろう。
 今日まで、平和になった世界をどう過ごしてきたか、どう変化しているか。
 そうした話に花を咲かせ、互いの変化を喜ぶのもいいだろう。
 去年の今頃に想いを馳せ、あの時の自分達の心境を懐かしく語るのもいいだろう。
 懐かしい顔、声‥‥久し振りに、この節目で会いに行ってみようか。

●本日の日付
・2016年3月13日18時〜2016年3月14日6:30頃(日の出の頃)

●向かうことが出来る場所
・ルークス市国バベルス・モールにあるレストラン

※上記場所以外向かうことは出来ません。店外への抜け出し不可。
お酒は各種対応。商標登録に関連しない範囲で指定可能。
ただし、高級過ぎる料理や酒は置いてありません。

●このシナリオで出来ること
・世界が平和になってからの1年を楽しく話す、思い返す

・去年の今頃について懐かしく語る、想いを馳せる

・記念写真撮影
※出来れば、他の方に配慮し、店が用意したスペースで撮影をお願いします。

・勝てば良かろう、食べる

・出し物をする
屋内に適しているもの、公序良俗に反しないもの(野球拳と王様ゲームは指定内容によって変化するのでアウト)、店に迷惑が掛からないものであれば、自由とします。
パペットによる劇、歌、演奏、踊り、手品、パントマイム、皆を巻き込んでゲーム‥‥何でもOK。
尚、出し物スペースは料理スペースと離れており、店員から出し物スペースがよく見えない為、アルケミーをOKとします。

●NPC情報
・エルネスト・ブノワ
主催。結婚を機に髪の色を戻し、カラコンを外した為、印象が違うかもしれません。
近況:ホテルマンの仕事継続。現在の自宅がある国で勤務している。

下記NPCのみ、プレイングでお誘いがあれば登場いたします。
下記NPC以外のNPCは登場せず、参加していないPC共々明確な描写をせず暈した描写となる場合があります。
※絆に合わせた対応となります。

近況:
・聖 望美
近況:聖は旧姓。氷上 大樹と2015年7月に結婚し、日本で家族3人暮らしている。妊娠7ヶ月。大樹、勇実も指定あれば一緒に登場します。飲酒NG。
・アーシア 琴
近況:来月から短大生。必要あれば佐東 行宏(2014年12月末にエンジェリングとして覚醒してSINNになっています。来月から大学生)も登場可能。共に飲酒NG。
・アーシア 凛
近況:アーシアは旧姓。大学卒業後、父親が社長を勤める大手商社営業部に就職。社長の娘と伏せつつも営業部の影のボス化。
・春崎 ライア
近況:ルークス教の協力者が設立している支援団体で音楽を通じた奉仕活動をしている。ただし、経歴が経歴である為、海外で芸名を使っての活動である模様。飲酒NG。
・ランディ・ヴェンツェル
近況:大学生として勉学に励む傍ら、ボランティア活動をしている模様。

●注意・補足事項
・年齢制限行動(性交渉は籍を入れても明確な描写はされません)・合意なき恋愛行動・アイテムプレゼントプレイングにはお応え出来ません。
・自由設定やプラリプに記載していない設定を反映させることは出来ません。設定されていない家族の存在を出す必要があるといった、どうしても描写が必要な場合のみ家族の描写は必要最低限行う場合もありますが、設定されていない方の家族関連の描写は汎用的なものとなります。
特に、『存命していない』等事情がある家族がいる方は、設定されていない場合の描写は困難であると思ってください。
・飲食店につき、動物の入店はNGです。
・パペットコントロール、出し物としてのアルケミー、プロデジョム、アクアリオ以外の魔法使用描写は、基本的に行いません。
・後日談シナリオの性質上、『こちらに全てお任せ』はご遠慮ください。
・プレイング以外でも絡み描写を行う場合があります。描写上問題ないかこちらでチェックを行いますが、基本的に任意となります。ご了承ください。
・強行してプレイングを作成されても、採用されない等不本意な描写となる場合もありますので、ご了承ください。

◆登場NPC

 エルネスト・ブノワ(sz0035)・♂・31歳・パラディン・火・信者

◆マスターより

後日談シナリオ:2016年3月14日までのSINN達の姿を描いたシナリオです。

こんにちは、真名木風由です。
今回は後日談シナリオ、2016年3月13日を描きます。
私がSINNでお届けする最後のシナリオでもあります。
このシナリオが終わったとしても、皆様のお子様はSINNの世界でずっと生きていきます。
その未来が明るいと確信出来るシナリオをお届けできれば、とても嬉しいです。
皆様のお子様にお会い出来るのが最後と思うと、寂しいですが、いつかは旅立ちます。
その一歩を、見送らせてください。

それでは、お待ちしております。
リプレイ

「エリーちゃん、お久し振りですーっ!」
「リリーちゃん、会いたかったですーっ!」
 リリアン(se7452)とエリーナ(so3015)が、久々に顔を合わせるとハグを交わす。
 元気だった、なんて言葉を交わしていると───
「2人共お久し振りーっ!!」
 歩夢(sj1664)が、そんな2人へ飛びつくようにハグ!
「あ、お久し振りです‥‥! 改めて結婚おめでとうございます‥‥っ!」
「んむ! リリアンも元気そうだな。エリーナは支部が一緒だし、がらん堂経由で色々知ってるから、久し振りって程でもないが」
 リリアンが歩夢の夫である巌(si7760)にも気づき、2人にお祝いの笑みを向けると、巌はリリアンの元気な様子に嬉しそうだ。
「結婚しても変わりなくて安心しましたよ‥‥」
「メールで見てはいたけど、エルネストさんの変貌はびっくりしましたよね」
 リリアンの言葉にエリーナが続き、4人は参加者の受付をしているエルネスト(sz0035)を見る。
 結婚を機に本来の姿へ戻したということは、結婚報告のメールで知っていたが、やはり実際目にすると違う。
 勿論、中身に変わりある訳がなく、リリアンに「淑女行為したら吊るす」と笑顔を向けているのだが。(同年代で親しいからなのか、彼はリリアンに割と容赦がない)
 参加者の皆に挨拶ハグをするという歩夢と巌が会場内に消えていく。
「1年ってあっという間なのに、皆色々変わってますね‥‥」
 そう笑うリリアンは、音楽活動を始めたらしい。
 錬金を良い方向で発展させたいとアトリエで研鑽する日々も変わらず、大忙しだったそうだ。
「私は料理教室を始めて‥‥少しずつ生徒さんも増えてきたんですよっ」
 今日はお勉強とばかりに各国の料理を皿に盛るエリーナ。
 あーんしたりされたり‥‥それは何も変わらない。
「好きなこと出来る生活はやっぱり楽しいですねー‥‥♪ いつかエリーちゃんを特等席に招待するライヴを開けるように頑張りますよ!」
「やっぱりリリーちゃんは私の自慢の親友です」
 リリアンに笑うエリーナは、記念写真スペースへと向かう。
 自慢したいから、とリリアンとの写真を教室に飾りたいのだそうだ。
「飛び切りの笑顔で!」
 きっと、未来まで色褪せない笑顔の写真が教室を輝かせる。

「しかし、1年というと早いが、充実してたな!」
 きっと今年もあっという間に過ぎていく予感を感じつつ、巌が笑う。
「そういえば、任務で世界各地に行ってたから有り難味なくて忘れてたけど、まだ新婚旅行行ってないね」
「なら、ダチの所巡って世界一周しちまうか! 有り難味感じるように、転移装置は使わずに」
「もーっ、私が提案する所だったのにっ!」
 悪い、と笑う巌に釣られ、歩夢も笑う。
 ゆっくり楽しみたい新婚旅行、その為には皆に近況を聞かないと。
 2人は笑って、会場を見回した。


「サイワ、セイワ、久し振りーっ」
 スウソ(sq1318)は、サイワ(sa0543)とセイワ(sa0577)の姿を会場内で見つけ、声をかけた。
「久し振りー‥‥元気?」
「アーク(sq0753)と巡る世界は楽しいよっ」
 サイワに笑うスウソの後ろでは、アークがセイワの夫である凪(sb4946)と凪の弟である燎(se4102)に挨拶をしていた。
 近況を交換し合うのは、それだけ長く顔を合わせていない証拠。
「変わりないのが一番ではあるけどな」
「一応、名前を呼び捨てし合えるようにはなったかな」
 燎がそう漏らすと、アークが「この1歩は人類にとっては小さな1歩だが、2人にとっては大きな1歩である」と義姉達に言われた変化について苦笑を浮かべる。
「俺達は俺達のペースでこれからって所かな」
「2人で世界中の色んな所を冒険するんだよねっ」
「手紙位は寄越せよ?」
 アークとスウソの言葉に燎が笑う。
 いつぞやは何だかよく分からない奥地から連絡されたが、生存確認はしておきたいらしい。
「ギアナ高地に郵便局ってあるかなぁ」
「最寄の街で出せばいいだろ」
「サリサリニャーマに無断で立ち入らなければいい、もう」
 スウソとアークが失念しそうなことを燎が言っていると。
「そ、それは本当か、セイワ!!」
 凪がやけに動揺した声を上げていることに3人は気づいた。
 そういえば、セイワは食欲がないからとオレンジジュースを飲んでいるだけだったが。
「うん。赤ちゃん、出来たよ? ‥‥双子だって」
 嬉しい、と笑うセイワとは対照的に凪はセイワの体調や予定日等々ありえない位動揺している。
 体調が良くなさそうだった理由を察したサイワは、セイワに微笑を向ける。
「おめでとう、セイワ。私も嬉しい。伯母さんになっちゃうけど」
「ありがと、サイワ。家族が増えるって嬉しいね」
「しかも双子なんて! どっちを先に抱っこしようか迷いそう!」
 サイワの祝福にセイワが笑っていると、スウソが加わり賑やかなものとなる。
 進学した今、充実している勉強を中断する必要はあるけれど、セイワは家族が増えていく幸せが繋がると感じているようだ。
「私も‥‥幸せになるよう頑張らないとね」
「繋がってるなら、それこそなれるだろ」
「アーク、いいこと言う!」
 サイワがセイワと同じ歩調ではないにせよ、そうした幸せを願えば、アークとスウソが励ましてくれる。
 幸せが繋がっていくなら、きっと幸せを諦めなければ、必ず掴めるだろう。
 医師を志す気持ちもまた、誰かも幸せになるなら、セイワも諦めないだろうし、サイワも少し早い道の先でセイワを待つだろう。
「兄貴、落ち着いたか?」
「あ、ああ」
 取り乱した凪を見かね、お茶を渡していた燎に彼の兄は頷いた。
 お茶も飲み、幸せそうなセイワの姿を見て、やっと落ち着いてきたようだ。
「‥‥俺が、父親になるのか‥‥」
 何だか世界の趨勢を決めたあの戦いよりも緊張する。
 実感がまだ漠然としていて、恐ろしくもある。
「これから、2人でお父さんとお母さんになろうね、凪兄!」
「ああ。2人で親になっていこう」
 セイワに笑顔を向けられ、凪はその決意を固めた。
 守る相手は、セイワだけではない。
 夢の中で先取りし、出会った子供達も守っていかなくてはならないだろう。
「兄貴ならいい親父になれんだろ」
「案外親馬鹿になりそうかなぁ」
「案外じゃないだろ‥‥」
「凪兄、結構甘いよね‥‥」
 燎の横でスウソが首を傾げると、アークが呆れ、サイワがアークに同意する。
 息が揃った意見に凪は絶句したが、やがてセイワと笑い合う。
 だから、幸せは続くんだ。


「あゆちゃん、皆にハグして回ってるのね」
 涙湖(sb1982)は、歩夢のハグ行脚を見て微笑する。
「あいつらは平常運行だよな‥‥」
「かなちゃんのアレはさておき、あゆちゃんのハグも受け止められないなんて‥‥せーちゃん、ちょっと怠け過ぎてない?」
 セルゲイ(sc4350)の言葉に、涙湖は遠慮ない笑顔を向けた。
 歩夢のハグで白目を剥いたセルゲイは気を取り直そうと料理スペースへ足を向け、そこでメモを取り捲る叶望(sd3665)のブレない姿を見てきたばかり。
「やっぱり、お野菜が重要よね」
「ほぐあっ」
 涙湖がセルゲイの口の中にチンジャオロースの中にあったピーマンを押し込む平常運行。
 皆新しい道に進んでいるだろうし、実際そうだから、懐かしい顔の近況を聞くのは楽しい。
 無論、2人共、幼馴染の近況は熟知している。
 神学生としての経験を胸に大学に入り直した涙湖は医者を本格的に目指していることもセルゲイが科学の研究をする為に研究室に残りつつ、趣味の演劇に没頭していることも彼らの間では周知の事実。
「ここにいたのか」
 スィニエーク(sj4641)を伴い、叶望がやってきた。
(叶望のアレを見てもドン引きしない彼女!)
 セルゲイは勿論、涙湖も期待する中、まず叶望が2人をスィニエークへ紹介する。
 任務でも顔を合わせたこともあるが、こういう形の対面は気恥ずかしいと思いつつも、スィニエークは微笑んで会釈した。
「で、こちらがスィニエーク。俺の嫁になる人だ」
 間。
「‥‥え、あの?」
「あ、まだ申し込みをしていなかった。スィニエーク、俺の嫁になってみないか」
 2人へ紹介にスィニエークが真っ赤になって硬直していると、失念していたらしい叶望が向き直ってきた。
「ちょwww おまwww」
「かなちゃん、それはないわ☆」
「私もないと思う」
 セルゲイと涙湖、それからいつの間にか来ていた歩夢が叶望の唐突なプロポーズに容赦ない評価を下す。
「そんなにないことなのか?」
「俺はアユにプロポーズした時はちいと気は遣ったな」
 叶望が首を傾げていると、歩夢と一緒に来た巌が笑いを噛み殺しながら、「それよりも答えを聞いてやれ」と促す。
「ふ、不束者ですが‥‥」
 脳内処理を何とか完了させたスィニエークは深々と叶望へ頭を下げる。
 すると、セルゲイが頭の後ろをかき、スィニエークに向き直った。
「らしいって言えばらしいけど‥‥こいつ、こういう奴だけどさ、見捨てずに末永く仲良くしてやって。こいつが幸せなら、俺も嬉しいしさ」
「私が末永く仲良くしたいとお願いしたい位ですよ」
「叶望には勿体ないな」
 セルゲイとスィニエークの会話に対し───
「そういうことは、もっと野菜食べられるようになってから言え」
「どのお野菜から食べる?」
 叶望と涙湖が山盛りの野菜料理を持って立っており、セルゲイは泣いた。

 エルネストへの挨拶を済ませたセイディ(sp8658)はそんな彼らの光景を微笑ましく見ていた。
「ああいう絆も悪くないな」
 アスラン(sq1286)がそう微笑めば、セイディも頷く。
 世界が平和になり1年経過すれば、新しい道を歩んだ先を意識するようになる。
(アスランさんの音楽が世に認められたら‥‥)
 セイディが、そんな将来を夢見ていると。
「ところで、来年の6月5日なんだが‥‥結婚しないか? 6月5日は私達が出会った記念日だし」
 アスランは、さらっと申し出た。
 そう、この日、2人はゴーコンで出会ったのだ。
 だから、この日に結婚をと思うアスランが分からなくはない、が。
「え、あ、結婚‥‥!?」
「世界は本当に平和になったのか。セイディが吸血鬼やクドラクのことから離れて私と人生を楽しめるのか見てきたが‥‥もう大丈夫だと思ってな」
 真っ赤なセイディへアスランは、嫌か?と問う。
「い、嫌とかではなく‥‥どうしてあなたはいつも、そうやって先へ先へと‥‥でも、そういうあなたが私は好きなんですね」
 セイディは観念し、「よろしくお願いします」と嬉しい気持ちで答えを返した。
「今年の記念日は、婚約指輪を買いに行こう。6月の花嫁は幸せになれるらしいし、焦る必要はない」
 彼らしい『Miluji te』を受け取った時から、全て分かっていたような気がするから、セイディも幸せそうに微笑むのだ。


「へー‥‥中々面白ぇことになってるじゃねぇか♪」
「まーなっ」
 隼人(sa8584)に近況を話した龍兵(sa8659)は、ちょっと得意げ。
 あの決戦から1年経つと、滅多に合わなくなるからか、こうした近況の交換は楽しい。
 結婚報告をしてくれた隼人もパーティーを盛り上げるべく、会場へ消えていく。
「皆元気そうで何よりだなー。あ、ナイ(sb0124)は一応、聞いてるぜ? 防衛記録更新中だっけ」
「はは‥‥SINNで知ったこの競技、世界が平和になってからも続けるとは始めた当初は想像もしてませんでしたよ」
 龍兵が話を向けると、ナイが苦笑して応じる。
 久し振りと言葉を交わす者も多い中、ナイはその道の者には有名人である為、割と情報は入手しやすい。
 アシェン(sd3874)との間に誕生した娘の為、悪魔がいなくなっても人が誰しも抱く負の感情と向き合い、少しでも力になれるべく修行する為、あの競技の世界王者でい続けるのだそうだ。
「その娘は?」
「兄に預けておきました。今頃命懸けで子守をしているかと」
 龍兵が問うと、アシェンがそう答える。
 どういう依頼をしたか気になったが、龍兵は妊娠、出産まではセコンドではなく、その競技のトップアスリートだった彼女だから、きっと凄いのだろうな、と触れないでおく。
「今日は楽しもうぜ」
 龍兵の先に、楽しそうに笑う皆の姿がある。

「美味しいものを食べたり飲んだりするんだぜ!」
「久し振りに会うのも悪くねぇな」
 リン(sf8868)に呼び出されたらしいランドルフ(sb8085)が、食べる彼女を見ながらそう言う。
「そっちはどうなんじゃん? おいらは用心棒やボディーガードとかしてるけど」
「商売上がったりだな。ま、訓練だけは欠かしてねぇぜ」
 リンが話を向けると、ランドルフは平和が続く保証を確信せず、そう返す。
 どMのリンは、守る仕事(その為に負傷する)は案外向いているかもしれないが。
 リンが見つけた顔に向かって歩いていくのを見てから、ふとランドルフは思う。
(この際、クラリーチェ(se5708)の奴を最初から鍛え直す良い機会か‥‥)
 視線の端にいるクラリーチェの背に天使の翼が広がった。
 店員に魔法才能を持つ者がいるとは思えないから問題はないだろうが、どういう目的で使ったのかは何となく分かるので、その根性は鍛え直さねばなるまい。
「おい」
 ランドルフが声をかけると、クラリーチェはビクッとなった。
 聖職者として復興に尽力していたクラリーチェ、相手がラスボスだろうと想い人ではある。
 近況を確認し、その上で身の振り方について聞いてみた。
「一緒にいたいですから、どんな場所でもついていきます。いつか下克上し、参ったと言わせますからお覚悟あそばせ」
「ほー」
 日常も未来もあなたと共にあると言ったクラリーチェにランドルフがすーっと目を細める。
「なら、まずはその根性を鍛え直さないといけねぇな?」
 サナティをチャージしていたことに気づかれていたことに気づいたクラリーチェ、ランドルフに鍛え直されが決定した。

「どこにでも戦場はあるものだね」
 ジェローム(sc1464)は、クラリーチェの悲鳴を聞きながらしみじみと語った。
 先程までニア(sa1439)と近況交換していた彼は、妻のキャサリン(sd2653)と共に世界中を巡っている。
 人々を癒すのが、ジェロームのライフワーク。
 護衛でもあるキャサリンが一緒の今は、昔より若干楽しい。
「時間の経過は早くとも、個人の平和はって所なのかしらね」
 キャサリンもクラリーチェの悲鳴を聞いているが、結局クラリーチェはラスボスだ下克上だと言っても、ちょっと逝きそうになっても幸せなんだろうから、止めはしない。
「こうして、皆と談笑するのもいいわね。悪魔がいなくなってもやることは沢山あるから、少しでも良くする為に頑張ろうっていう気になるもの」
「生きるという旅は、続くからね」
 キャサリンにジェロームが微笑む。
 これからを生きる子の為、これからも頑張っていこう。


「おっひさー。おぼろんもイアちゃんもリンリンも、元気してるー?」
 挨拶回りをしていた羽留(sn2556)は、見つけた顔に声をかけた。
 真っ先に反応したのが、マイア(sj7576)。
 カフェの店長を続けているマイアは、味を知り、自分のものにすべく色々な料理に挑戦しているようだ。
「お久し振りなのですよ、元気そうで本当に何よりなのですっ」
「元気そうで安心したんだぜ!」
 抱きつくマイアを受け止めた羽留がリンと朧(sc2497)を見ると、笑顔を浮かべるリンの隣で朧は軽く手を挙げた。
「おぼろんは、どうよ?」
「おれは、世界各地を放浪してた」
 羽留が話を向けると、朧は好奇心の延長と称してこの1年をそう語った。
 あの戦いを経て、世界は何がどう変わったのか自分自身の目で見、考え、その上でこの世界で自分自身がどう生きるかも見定めるという思いがあってのことだが、羽留はその辺りを踏み込まない。
 興味がないのではなく、朧が朧の答えをちゃんと持っていればそれでいいというスタンスだからだ。
「おぼろん的には、どーだった?」
「個人の結論としちゃ、世界は救われたが、良くも悪くも何も変わっちゃいねぇかな」
 タダメシだからか、珍しく煙草ではなく食事の羽留は通常運行、聞いてみた現在の状況もまぁまぁで、絵を描く毎日らしい。
「姉さんは相変わらずだな」
「あ、でも、たまにボランティアやったりするよー」
 羽留はボランティア活動として、子供達と接しているようだ。
 悪魔がいなくなっても、理不尽な目に遭う子供がいなくなった訳ではない。
 忘れるつもりもない羽留は、今日も絵を描くそうだ。
(ケビン‥‥あんたにさ、ミャンマーの緑を教えたかった)
 だから、絵の世界で、あんたに知ってほしい。
「戦いが終わって1年経過したのが、夢みたいですけど‥‥絆は永遠なのですよっ」
「イアちゃんいいこと言う!」
 お土産に木の実たっぷりのパウンドケーキを焼いてきたマイアが包みを皆に配れば、羽留は笑顔を見せた。

「これ、美味しい」
「本当‥‥っ。どういう風に作るのかしらね‥‥っ」
 はやな(sp9368)からお裾分けして貰った蜜(sp9590)は、ラザニアを食べつつ味の探索。
 上手く作れたら彼に‥‥なんて、ちょっと思って頬を染めたが、はやなの不思議そうな視線に気づき、照れ笑い。
「蜜、嬉しそう。はやな、嬉しい」
「ありがとうっ。はやなさんもこの1年どうだった‥‥っ?」
 あっという間の1年、久し振りに会うと蜜が話を向ける。
「はやな、学校行ってる。覚えることいっぱい、でも、楽しい」
 時折、口をもぐもぐさせて美味しいと漏らすはやなが言うには、普通に高校生活を楽しんでいるようだ。
「蜜にはやなも元気そうだな」
 色々食べる2人に気づいたランディ(sz0095)が声をかけてきた。
 ランディからも近況を聞くと、はやながじーっとランディを見る。
「はやな、相変わらず」
「はやなの年齢で将来をしっかり考えるって難しいぞ?」
「将来‥‥お嫁さんが夢。頑張って肉じゃが作る」
 ランディに答えたはやなの視線の先には、エルネストとメイリア(sa1823)がいる。
 確か、大降誕祭で川の字親子の話が出たようなことをエルネストが話していたのをランディは思い出す。
「はやなならなれるだろ。蜜だって‥‥」
「ランディさん‥‥っ!?」
「僕もそこそこ情報網はあるからな」
 蜜に笑うランディ。
「皆、笑顔。はやな、嬉しい」
 悪魔や吸血鬼によって痛い思いや悲しい思いをする人は、もういない。
 シンプルな、幸せ。

「しかし、メールで見てたけど、エルネストさんの変貌は驚いた」
 凛(sp3316)は、いつかは任務でアベック(死語)役を務めた桜(sp9823)へしみじみと語った。
 結構皆変わったと思うが、エルネストが一番かも、と凛は苦笑。
 元々、日系のホテルでフロント業務を行うホテルマンだったから、彼の職業は元々まともなのだが、その変貌振りに堅気になったと言い、エルネストから苦笑された。
「翼(sb3007)さんもマネハール(sa2429)と結婚して男らしくなったような気がするし、ママになった報告もあったりで‥‥」
「1年はあっという間だが、短くはないんだろうな」
 周囲を見回す凛に対し、平和が何よりと思う桜が頬を緩ませる。
「そういえば、桜さんは今どうしてるの?」
「大学生だな」
 友人と共に大学に同期で入ったが、周囲は皆年下である為、同期なのに敬語を使われる現状がおかしい、と桜は笑みと共に漏らす。
「大学? 専攻は? あたしも体育大で学生やってるんだ」
 凛が同じ大学生かと顔を輝かせれば、桜と大学の情報交換をし出す。
 ドラマチックなイベントがある訳ではない、平穏な日々でも元気が何より。
「相変わらずで、何か申し訳ないけど」
「俺もそっちはからっきしだから、大丈夫だ」
 凛と桜は2人して肩を竦め、お互いの大学生活の充実を願い合った。

「そういえば、エルネスト‥‥この集まりは今回だけなのか?」
 アシェンがエルネストへ声をかける。
 集まる機会が今後減っていくなら、年に1度、この日に集まってはと提案を考えたアシェンへエルネストは意外なことを言った。
「今年は私が主催したが、ゆくゆくは公的なものになると思う。今回も、聖戦機関から支援を受けている」
「マリア(sz0003)さんも、年に1度は皆さんの元気な顔を見たいって言ってましたしねー」
 エルネストの妻であるメイリアは当然、このパーティーが支援を受けたものであることを知っており、その想いを正確に理解していた。
「杞憂だったな」
 アシェンはそう笑い、今後公的なものになるであろうこのパーティーに思いを馳せた。


「手が出せなくなった‥‥、俺はそれが悲しい」
「僕、心狭いんだ」
 隼人が望美(sz0056)に涙を流していると、夫の大樹がにっこり笑っている。
 酔ったらセクハラするであろう隼人をポステリタで予見でもしたのだろうか。
「で、どのようにして望美を落としたんだよ。今までどの男にも落ちなかったのに!」
「黙ってたけど前から好きで。で、去年の2月に告白して、アプローチ開始したんだ。手強かったよ」
 勇実を肩車して遊んでやる隼人に絡まれた大樹は、さらっと答えた。
「最終的に勇実の兄弟くれんなら考えるって言われて、そういう冗談嫌いだから明日市役所行こうかって」
「応酬が凄いのですー‥‥」
 大樹の話にメイリアがポツリ。
「大樹って無自覚天然なソフトSだし」
「エルも少し見習ったらどうだ? 緩急は大事だぜ?」
「覗いては奥さんにしばかれる隼人に言われてもな」
 冷やかした隼人にエルネストがヘッと答え、2人は結婚報告メールの後の話をああでもないこうでもないと話し出す。
「今妊娠してるから、胸はちょっとなー」
「望美は少し、羞恥心を覚えた方が良くないか?」
「大丈夫だって、隼人さんは何だかんだで愛妻家なんだし」
 望美がランディに笑っていると、隼人がランディを引き寄せる。
「そういや、お前はどうよ。ちゃんと女を学習してんだろうな」
「大学生の僕にそれ言うか!?」
「日本の大学へ聴講、つか新宿に来たら、声かけろよ。俺が」
「ライア(sz0088)が微笑んで今の言動録音してるぞ?」
 ランディに絡んでいた隼人は、ライアが録音していることに気づいた。
 微笑を浮かべるライアは、既にそれをどこかへ送信している。
「奥様に教えた方が世界平和の為かなって」
「ライア、生乳揉んでやる!!」
 隼人が飛び掛るもエルネストと大樹が取り押さえた。
 帰宅後、隼人の地獄が始まる。

「望美ちゃん、こっちこっちー!」
 ニアが望美に手を振ると、隼人の処遇をエルネストに任せ、望美は大樹、勇実と共にこちらへやってきた。
「お久し振り、ニアさん。お子さんは預けてきたの?」
「そうそう、今日は旦那達が見てる」
「いいことだよ。旦那も育児に協力してくれないと、大変だからねー」
 先輩ママになる望美が、ニアにそう笑う。
 その望美もあと数ヶ月もすれば、大樹との子で勇実の妹(女の子と判明したらしい)を産むのだが。
「けど、弟夫婦と同級生は予想外だった」
「ママになるのが判明した人もいるしねぇ」
「それもそうだ。日常って戦いは永遠だって思うよねー」
「だから、楽しいのかもね」
 笑い合うママ2人を不思議そうに勇実が見ているが、大樹が笑って勇実の頭を撫でている。
 プリマヴェーダ(sa6269)は、遠目で望美が選んだ彼を見ていたが。
「望美、お久し振り! 結婚のメール見たわよ、おめでとう」
「ありがと、プリマさん。こっち旦那ね」
 プリマヴェーダが声をかけると、望美は笑って大樹を紹介してくれる。
 自己紹介してくれる大樹と手を繋ぐプリマヴェーダを勇実がじーって見て。
「ピンクのおねーさん?」
「あはは、勇実くんには珍しいかーっ」
 家の写真でプリマヴェーダは何となく認識しているらしい勇実にプリマヴェーダが笑い、抱っこしてみる。
 赤子の時より、ずっと重い。
 復興を兼ね、世界各地で踊り、人々に笑顔をと思っているプリマヴェーダ、時の流れを実感して、にっこり笑った。

「もう1年には同意だよなァ」
 奏一朗(sp8529)は、妻たる凛(sz0079)と共にそうした光景を見ていた。
 イベントは勿論、何気ない日常の日々すら最高に感じた1年は、あっという間に過ぎていったと思う。
「あら、今後何があっても私はこの幸せを確保しますし、横槍を入れる無粋な輩はその思想を持ったことを後悔していただかないと」
「あァ、そうだ。俺達の時間が続く限り、この幸せと日常は続く‥‥邪魔するゴミ共は全て潰す」
 普通に聞くと不穏当過ぎる夫婦の会話だが、平常運行である。
 しかも、先月に愛妻聖誕祭において、妊娠というスペシャルイベントが発生した為、現在この夫婦は掃除(物理)の丁寧さに磨きがかかっているのだ。
「だからよ‥‥そンな日々の始まりと、今日までの日々と、そして凛と出逢えた奇跡に感謝を込めて‥‥キスを贈らせてくれや」
「私からも贈りたいですから、どちらが先にしましょうか」
 そんな風に妻が笑うから、夫はやっぱり最高と先に妻へキスをする。

「あれが、平常運行なんだよね」
「琴さんの親戚という事実が信じられませんね」
 アドリアン(sb5618)が琴(sz0074)の視線の先、彼女の従姉夫婦のラブラブを見てそう呟く。
「ですが、あれから1年‥‥、琴さんも綺麗になられましたね。お世辞ではなく」
「来月から短大生だもん」
 アドリアンが笑みを向けると、琴がそう笑う。
「ロシアはどう? ニュースで大変っていうのは知ってるけど」
「被害はアメリカと同等でしたからね。長い時間がかかるでしょうが、平穏を取り戻す活動の一助が出来ればと思ってますよ」
 答えるアドリアンは、SINNとしての任務の日々がないのは平和だが退屈という苦笑を浮かべながら、答える。
「被害が大きかった国はまだまだだね」
「そういえば、佐東さんは?」
「あそこにいるよ」
 お付き合いは開始したのだろうか、と問う前に琴が志望校に受かったという行宏を呼ぶ。
 こちらへやってきた行宏に合格の祝いを言い、アドリアンは自分と行宏を見、嬉しそうな琴を見る。
(今日はお会い出来て、嬉しかった)
 不思議な少女は、どれだけ綺麗になっても変わらない。
 その事実が、とても嬉しかった。


「ティファニー(sa1133)は、ブレないな」
「だって呑まないとダメじゃない! 折角なんだし、呑まなきゃ損よ!」
 エルネストの半眼の先には、酒を呑みまくるティファニーの姿がある。
 呑むと意気込んだ彼女、聖戦機関の支援での開催と知ってますます容赦ない。
 ささっとイタリアワインをゲットしてから、呑めるお酒はチェック済み、ターゲットロックオン。
 単独で酒を楽しむのではなく、皆に声をかけ、近況は確認し合っているけれど。
「久し振りの人も多いしね。相変わらずの人もいて、俺ちょっと涙腺が」
「最後の棒読みが気になるな」
 翼の言葉にエルネストがツッコミする。
 勿論、淑女と彼女にアイアンクローをかました目の前の男の年齢的なものを遠回しに言ってるからだが。
「いいじゃないの! 平和になって任務がなくなって‥‥久し振りに会うのだから。所謂同窓会よね」
「1年ってあっという間だよな」
 久し振り、と顔を覗かせたのは、ギィ(sf9609)だ。
「カリスの野郎と鍔競ったり、魔王が斃されたり‥‥色々あったけどな」
「不思議よね。あれからまだ1年しか経ってないのに、随分昔のことのような気がするもの」
「それだけ平和になったって意味だと思いますー」
 ギィとティファニーの会話にメイリアが加わる。
 悪魔や吸血鬼が原因で誰かが傷つくことがなくなるのは、とても嬉しいこと。
 勿論、世界全ての不幸が消える訳ではないけど、それは人の力で乗り越えられるとメイリアは信じている。
「世界各地、悪魔調査兼ねて見て回ってるけどよ、まだ爪痕はあるし、復興が長くかかりそうな所もあるが、いずれ平穏になると思うぜ?」
 マリアに振られて傷心旅行、と殊更明るく言うギィは、飲めや歌えのこのパーティーのバックアップにマリアも噛んでいることを聞いた。
 こんな風にたまに顔を合わせるのもいいと思っていたが、マリアがそう配慮してくれるなら、食べたり飲んだりして楽しもう、と思う。
 次は、いつ会えるかなんて分からないし。
 そう話す傍らで、新婚さんよろしくマネハールがティファニーとメイリアの3人で新婚生活について話している。
 結婚して社交的になった彼女は新婚さんやママさんに声をかけ、色々情報収集していたのだ。
「カイトは‥‥私の、両親に会う時、すごーく‥‥緊張して、ました‥‥」
「エルは、かっこ良かったですー」
 マネハールが自分の両親へ挨拶する翼の話をすると、メイリアはエルネストがメイリアの両親へ挨拶にしに来た時のことを話す。
 長く挨拶に来なかった不誠実さを詫びると共に自分と家族になりたい、一生のパートナーとして選んでほしいと思っていると両親へ頭を下げた、と。
 その後、亡き双子の姉ユイリアへ花束を持って挨拶をしてくれたとメイリアは頬を染めて話す。
「愛されてるわねぇ。私は妹がね‥‥」
 ティファニーが日本の首相官邸で開かれたパーティーで夫と妹が交わした言葉を後になって知ったそうだ。
 タッパに詰められた料理以上に、どれだけ自分が2人から想われているかを改めて知ったと話す。
「私はこの1年とても幸せで、きっとこれからもずーっと幸せですから、皆そうであってほしいのですよー」
「エルネストさんの姿を見てれば、メイリアがどれだけ幸せだったか分かるよ」
 メールを見た時どちら様と思ったと話す翼は、元の姿で隣にいるエルネストと微笑むメイリアの幸せが伝わってくると笑う。
「大切な人が側にいる幸せは、大事だよね。夫としてマーネルを、父親としてマーネルのお腹の子を守らなくちゃって思ってるし」
「あら、そうなの? おめでとう。やだ、先を越されたのかしら?」
 ティファニーが冗談めかして笑うと、翼は照れたように笑う。
 当の彼女は翼の為の料理を取ってきて、いそいそと準備をしている。
「カイト、はい、アーン‥‥♪」
 彼らの最大の変化と変わらない姿を見、皆笑う。
 これもまた、幸せだよね。


「あれから、もう1年経ったんやねぇ」
 浅葱(sd2624)は見知った顔に挨拶と近況交換をしながら、感慨深げに呟く。
 SINNとしての任務がこの1年で下ったことはないが、下ったとしても本業に力を入れてるから、応じることは出来なかっただろう。
「浅葱さん、お久し振り! メールありがとう!」
 浅葱の姿を見つけたライアが、嬉しそうに駆けてきた。
「ええって。私は、いつかライアさんを待ってる人にライアさんの歌を届けたいって思ったから、そうしたんだし」
 ライアがしたことは、一生償うべきもの。
 それは勿論分かっているが、ライアの歌を今も待っている人がいるということも浅葱は音楽業界に身を置くから、知っている。
 だから、諦めない。
「折角やし、ライヴせぇへん? 久し振りにライアさんの歌、聞きたいなぁと」
「仲間に加えてもらっていいかしら」
 浅葱の言葉を聞きつけたのは、プリマヴェーダだ。
 彼女もライアとステージに出たいと思っていた。
「待って、それなら───」
 ライアが会場に視線を巡らせると、アスランを見つけて声を掛けに行く。
 応じた様子のアスランを見て、何人かが声を掛けると、アスランがライヴを口にし、リリアンが加わり、それならばと隼人とエルネストが加わってくる。
「なら、あたしはサイコーの絵を描かせてもらおうかな」
「私も描きますよー!」
 鷹宮夫妻、氷上夫妻と声を掛けていた羽留もライヴに気づいて絵の準備を始めれば、メイリアもその隣で絵の支度。
 最高の絵をと2人が笑みを交わしている間に簡単な打ち合わせを終えた即席バンドがライヴを始めた。

巡り、巡る時の中で
寄せては返す波のように

 ライアの歌声が語るように始まり、歌声に合わせてプリマヴェーダが舞う。
 アスランのハーモニカから優しく始まるメロディは、リリアンのピアノ、隼人とエルネストのギターと合わさり、浅葱のテルミンが調和する。
 即席とは思えない世界と彼らのバックコーラスが歌姫を盛り立てていく。

出会いと別れは繰り返される
無数の道が交差する
瞬きのようなこの時間

 誰かが歌い始め、ひとり、またひとりと歌い出す。

忘れないで、想いを繋ごう

 最後は、参加者全員の歌声となっていた。
 そう、誰も忘れない。忘れたりしない。
 この想いも、この絆も───これに名をつけるなら、これこそ『奇跡』と言うのかもしれない。


 彼らは、大聖堂前広場へとやってきた。
 全ての終わりにして全ての始まりを見届けた大聖堂を皆で見たかったから。
「夜が、明ける‥‥」
 そんな呟きが漏れ、皆で夜の終わりを感じる。

 太陽が、ルークス市国を照らしていく。

 思えば、パドヴァでも戦いの終わりに朝陽を見た。
 それを知る者達もそうではない者達も、この朝陽が格別のものに感じられるのは共通しているだろう。
 守れるように、強くなれるように‥‥それは、世界が平和になっても続いていく誓い。
「皆で、写真撮ろうじゃん!」
 記念写真スペースでも多くの写真を撮ったリンが、集合写真を撮ろうと提案した。
「はやな、賛成。皆、一緒。皆、笑顔」
「そうだな。いつかどっかでまた会う日を約束ってことで」
 はやなが賛成を示せば、ギィはその日までじゃあなと別れても再会の約束をするのはいいと笑みを見せる。
「カメラあるから、タイマーで皆入れるようにしよう」
「カイト、おとこはこのくらいよーいしゅーとーじゃないと、だめなのよ」
 叶望の提案を聞いた翼の聖獣アクアフェアリーのマリナがそう発言した。
「最近、イベント関係でやけに大人しいから油断してたよ」
「おとなのおんなはやぼしないのよ」
 それを聞いた翼は後で茹でマリナ決行を決意したのは、言うまでもない。
「皆の幸せな姿こそ大切よね」
「野菜を盛られた俺の立場は」
「ラスボス様に負けたわたくしの立場は」
「それもまた戦場(意味深)だよ」
 涙湖の微笑にセルゲイとクラリーチェが異を唱えるが、ジェロームがよく分からない論理を説く。
 叶望のカメラが、時間と共に記念写真を撮る。
 昇り行く朝陽に未来を見るから、今日を生きていこうと思うのだ。
「これから1年、その先もずっと幸せになろう」
「エルとなら」
 主催者が妻とキスをこっそり交わすが、見逃してくれる程皆甘くはない。
 爆ぜろコールがルークス市国に響き、衛兵が煩いと叱りに飛んできて、皆で笑う。
 これも、ひとつの思い出になるだろう。

 『あなた』達の力は、ひとつひとつは小さなものだろう。
 けれど、束ねれば大きな力‥‥それが、『あなた』達が今まで得た強さ。
 その力で未来を歩いていけば、きっとその手で幸せを掴める。

 『未来』は、まだ‥‥何も決まっていない。
 『あなた』には───『あなた』達には、『全ての可能性』がある。
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