【AA02】狂喜アスモランド

担当マスター:黒鳥
開始17/03/27 22:00 タイプグランド オプションお任せオプション
状況 SLvD 参加/募集50/0 人
料金 分類事件
舞台国- 難易度難しい

◆周辺地図
   

オープニング
●黒幕は突然に
 太平洋上に、黄金に輝く摩訶不思議な島が出現し。
 エンリコ・アルベルティ(sz0002)の制止むなしく。先走った各国の合同調査団、その連絡が途絶えてから数日が経過した頃。
 ルークス市国の大聖堂地下、そこの一画にある作戦会議室では。
「「‥‥」」
 こたびの再招集に応じ、集結したSINNの皆を相手に。
「各国の首脳陣とか、いろいろ気になるだろうけど。エンリコさんを調整役に向かわせたから、大丈夫‥‥作戦が終わるまで余計な手出しはさせないわ」
 ひとまず。マリア・アンジェリーニ(sz0003)が聖戦機関の長として、徹底した情報統制を行なったことを伝えたのち。
 半日ほど前に、黄金島へと出発したSINNの偵察隊。必ずや‥‥何かしらの情報を得てくれるであろう、彼らからの定時報告を待ちつつ。
「それはそれとして、やっぱり黒幕はディアボルスかしら? それとも別の勢力が?」
 例の島を出現させた犯人もとい、黒幕の正体についても――いくつかの意見を交わしている真っ最中であり。
「皆さん、お茶をお持ちしましたわ」
 そうした議論が進み。
 小休憩にと、アリア・アンジェリーニ(sz0004)が奥の給湯室から。紅茶セットの一式を運び入れたところで。
「こちら‥‥先行偵察隊、ルークス市国‥‥聞こえますか?」
「「!!」」
 お待ちかねのSINN偵察隊から、衛星を介した音声通信が入り。
「あの、その‥‥えっと。島の主に会いましたので、通信を代わります、どうぞ――」
 なぜか、疲れた感じなのはさておき。
 彼らの報告とともに。
「ちゃおおおおおおおーっす! カワイ子ちゃんども元気にしてたかー? 俺、俺だよ、俺ちゃんの帰還だぜー!!」
 島への到着直後に接触‥‥絡まれたという、黒幕の声が賑やかしく。
 マリアの特殊通信機を介し、会議室全体へ響き渡った。

●俺ちゃんズ再来
 そんなわけで。
 マリアたちが耳にした黒幕の声、その主は――。
「「もしや、アスモデウス!?」」
 数名のSINNが思わず、宿敵の名前を口にし。
「おうよ! 皆のアイドルというか、俺ちゃんディアボルス!! まごうことなき、アスモちゃん本人よー!!!」
 即座に反応した声もまた、力強く肯定した通り。
 かつて、【狂月の軍勢】を率い。さらには『あす★らば』のリーダー格として‥‥全世界に愛を振りまき続けた大物ディアボルス。
「マモンのピンクハゲに、クレミア(モロク)たんはもちろん。俺ちゃん配下のディアボルスも一緒だぜー!」
 狂喜王の異名を持つ、魔王アスモデウス(sz0014)に間違いはない模様で。
「魔界とやらに帰ったんじゃ‥‥?」
「どうやって、こっちへ?」
 当然だが。悪魔勢とも戦う覚悟はしていたものの。
 伝説になったはずの‥‥あす★らば再来に。SINNの皆がザワつくなか。
「そうそう。先に来た人間たちの集団とか、SINNのお仲間は人質として預かっとくから!」
 通信機の向こう側にて。アスモデウスは思い出したかのごとく、合同調査団とSINN偵察隊の現状を述べ。
「無事に帰してほしいなら。おまえらちゃんも引きこもってないで、俺ちゃんの島へ来いよ!」
 彼らを人質に。
 SINNの皆を黄金島――改め、狂喜の島『アスモランド』へ招待するのだった。

●アスモINワンダーランド
 何にせよ、【狂月の軍勢】トップからの挑戦状を受け取ったことで。
「彼らの目的は不明だけど。いくしかないようね」
 ここは人質を救出するため。速やかに現地入りするしかないと、マリアを始めとしたSINNの皆が決意を新たに。
 転移装置の使用、その通達ならびに。アスモランドへ赴くための準備を整え。
「まずは最寄りの教会に転移して‥‥近くの港から船を出せば。およそ数時間で島へ着くはずよ」
 死地(?)へと向かう彼女ら、そして。
「マリア、それに皆さんも。お気をつけて――」
 人質の無事を願いつつ。アリアが出発を見送ったあと。
 ‥‥。
 転移してきたSINNを乗せ、海上を進む高速艇の船内では――またもや。
「でなー、あっち側でも。俺ちゃんらは仲よくやってたわけよー」
 SINNが到着するまで、我慢できなくなったのか。それともサプライズなのか、アスモデウスからの通信が届いており。
「一応、記録に残しておいたほうがいいわよね‥‥はぁ」
 どこまでが真実かは、やはり不明だが。
 マリアが頭を押さえたまま、俺ちゃんの情報をまとめると。
 いわく――【狂月の軍勢】が去った次元の穴、その先にある魔界。アスモデウスの領内にて。
「僕らと一緒に、アスモデウス様を崇めましょう!」
 地上を去るさい、付いてきたハーフブリード。
 レンレンこと水月 恋が、あす★らばの名を広め。
「んだば、よろしく頼んます」
 新しく配下に加わったディアボルスたち、それらの躾(しつけ)を。
「良く聞きなさい、あんた達! 逆らったら燃やして、灰にしちゃうからね!」
 幹部魔将のモロクが、ツンツンしながらも担当し。
「エヘエヘエヘ。んぅー、金貨だ〜いすき。この輝きがたまんないねぇ」
 同じく、幹部魔将のマモンも。
 積み上げた金貨の山を、いやらしい表情で眺めつつ。組織の資金管理を担当することで。
「「「‥‥!」」」
 彼らなりに魔界生活をエンジョイ、どうにか楽しくやっていたものの。
「おーい。なんかすっげー這い寄ってくるウネウネしたキモい魔神から、面白いこと聞いてきたぞー! あす★らば全員集合ー!」
 深淵への散歩から戻ったという、アスモデウスの一声をもって。その日常は一変。
「なんか言ってること難しすぎてワケワカメだったけど、よーするに暦だの星だのの関係とかで、これから三か月後くらい、魔界のなんとか島が地上へ浮上するってさ! ま、いま地上に飛び出しても、並のディアボルスだと即アボーンで消滅しちまうらしいけど、俺様クラスなら大丈夫っしょ!」
 集まったモロクたちを前に、アスモデウスは耳寄り情報を伝え。
「その情報を売りに出したら、いくらの値がつくんでしょうかねぇ。エヘエヘ」
「誰が買うのよ、そんな危ない話‥‥」
 それを聞いた幹部魔将の二体が、なにやら言い合うなか。
「いい機会だし、久しぶりに地上行こうぜ! シャバの空気吸いたい」
「え、ちょっと待ってよ‥‥消滅なんてやだし、行くなら一人で」
 モロクは露骨に避けるが、アスモデウスは「ついてこい、なんとかしろ」の一点ばり。
 結局、マモンが「短時間、島内に限れば、キニスを安定化させディアボルスでもいられる空間を作れるかも」ということを言い出したので、【狂月の軍勢】は再び。人間世界へ赴くことが決まり。
「そうと決まったら早速、マモンとクレミアは島へ赴いてからの〜遊園地の建設な。俺ちゃんオーナーのアスモランドで人間たちが楽しく遊ぶとか、最高じゃね?」
 という、絶対的リーダーの命令を受け。
「遊園地ですか、人間相手の荒稼ぎができそうでいいですねぇ。どうせなら人目を引くよう、金ピカにしちゃいましょう」
 我欲に満ちたマモンが、すぐに建設用の資材をかき集め。
「たぶん、SINNの連中もきますよね? いえ、別に、あいつらと遊びたいわけじゃないですけど――」
 SINNへ対する思いを、内に秘めたモロクが言葉を濁しながらも。指定された島へと赴き、黙々とアスモランド建設を開始する。
 と、しばらくのち。
「ほんじゃま、ちょっくら地上へ行ってくっから。レンレンは掃除洗濯、おやつの買い出しとかやっとくよーに!」
「はい! アスモデウス様、いってらっしゃいませ!」
 全軍をもって、アスモデウスらの建設したアスモランドは神々しく光り輝くと同時に。
 お留守番の恋に見送られつつ、魔界から浮上していき――。
「ほんと、にわかに信じがたいわ‥‥ふぅ」
 以上の通信内容を律儀にも、記録に残したマリアたちSINNが。ニュースなどでも知っての通り。
 太平洋上に姿を現した、ということらしい。

●アスモからの挑戦状
 やがて。SINN搭乗の高速艇は――。
 一方的な通信を流したまま(発言を遮ると怒るので)、目的のアスモランドへと到着し。
「「!!!」」
 島への上陸を始めたSINN、その皆を出迎えるべく。
「へーい、ようこそ! おまえらちゃん歓迎するぜ〜」
 おニューのフリルドレスに身を包んだ魔王、アスモデウスを筆頭に。
「ふん‥‥元気だったようね」
「お久しぶりですねぇ、エヘエヘヘ」
 同じく、服を新調したっぽい幹部魔将の二体。マモンとモロクが現れ。
 さらには。擬態中の人魔らしい【狂月の軍勢】の配下ディアボルスたちが、奥のホテルから。人間と同様の姿を現すと。
「で、アレだろ? 俺ちゃんと勝負して、人質を返せ、とか言いたいんだろ? わかってるわかってるって! だがしかァし! そう簡単に俺様ちゃんと戦えるなんて思うなよ! 資格ってヤツが必要なんだよ、VIPと戦うにはさー」
 可愛らしい笑みを浮かべたアスモデウスは、なんだか一方的な挑発をおこない。
「はいはい、アスモデウス様はとりあえず遊びたいんですね、従いますとも」
 仕方なさそうに同意したモロクに対し。
「僕も遊んでおきたいですねぇ、金貨もいいけど、札束の香りも‥‥エヘヘ」
 マモンが犯罪的な笑顔でもって、強く同意するなか。
「わかったわ、一緒に遊びましょう。戦うにしても遊ぶにしても。私たちはSINNとして、やるべきことをやる‥‥それだけだから」
 これがベストな返答と、人質全員を無事に帰すため。決意を固めたマリアの言葉に。
「マリアの言う通り、悪魔たちと本気で遊ぶしかないな」
 SINNの皆は頷き。
「その意気やよし! じゃ、資格について説明するぜー」
 なぜか、SINNよりも大きく頷いたアスモデウスは、なにやらファンシーな手帳を、ひょいっとマリアに投げつけ、マリアは見事キャッチ。
「なにこれ‥‥スタンプ帳?」
「おう! アスモランドの各施設を制覇すれば、とってもキュートなアスモスタンプをポチッと進呈するからよ。全施設を制覇したら‥‥俺ちゃん自らお相手ってわけ! 人質を全部無事に助けたかったら、俺ちゃん、いや、俺ちゃんズに勝つしかないぜ!」
 いつの間に呼び寄せたのか、アスモデウスが己の分身体。それらが何人か集まっており。
「僕のカジノは良心設計だからねぇ。景品のアスモスタンプ求めて、お金い〜っぱい使ってくださいねぇ〜ん」
「「「スタッフ一同、心よりお待ちしてま〜す」」」
 マモンも自らの分身体、それらピンクハゲの群れと一緒に。声を揃えての要求をし。
「あ、クレミアはガイド役な。SINNのみんなとしっかりデートとかでおもてなししとけよ?」
 アスモデウスの急な無茶ぶりに、クレミアことモロクは「なんで!?」と抗議するも。
「ホラ、お客様は神様じゃん? あ、神の使いか? だいたい遊園地で遊びたいっつってたじゃん、行ってこいって」
 大将がそう言うもんだから、モロクも「仕方ないわね‥‥」とは言いつつ、わりとキラキラした目でジェットコースターを見ており。
 そして。人間に擬態したりしなかったりするディアボルスたちが、各施設のスタッフとして散らばり。
(皆、最終目標は同じだけど‥‥どうしよう?)
 SINNも各自、どうするかを悩んだあとで。
 とりあえず人質を救うべく、アスモランドの攻略へ取り掛かった。

■アスモランド(遊園地アトラクション施設)の各説明
・絶叫マシーン
箱状の乗り物に搭乗したのち。ゆっくりと高所へ移動、最高部高度から一気に下がったり上がったり曲がりくねったりする‥‥いわゆる絶叫系ジェットコースター。
一般的なものと、悪魔的な加速を味わえる魔法的ハードコースターがあり、それぞれ乗ることでスタンプをGETできる。ただし、泣いたり叫んだらダメ。

・観覧車
最大で100mの高みにまで昇れる観覧車。最高度からは、アスモランド全体が一望できる。
乗ったあとにカップルでキスすることでスタンプをGETできる。

・悪魔屋敷
いわゆるおばけ施設。日本式がもとになっている。
悪魔に扮するのは文字通りの悪魔たちだが。アスモデウスからの命令により、今回は脅かしてくるのみ。
コースは『通常』『ピンク』から選べ、それぞれを無事にゴールすることでスタンプをGETできる。
ピンクコースには、スクブス・アザゼル・リリクブス等、ちょっとお色気な人魔がちょっぴりイヤンな脅かしを仕掛けてくるらしい。が、スクアルブスがウホッな悪戯を仕掛けることもあるそうで。

・円形闘技場
ルークス市国のコロッセオを思わせる円形型の闘技場施設。
挑戦者(複数可)が入場すると、反対側から乗り物型のゴーレム(器鬼)が大量に放たれるので、破壊すれば勝利。挑戦を繰り返し、在庫を一掃させればアスモスタンプGET。
※出現する器鬼:バイクラム(バイク型)、ヴィークラム(自動車型)、スピーラム(プロペララジコン型)、タンクラム(戦車型)

・アスモタワー
アスモランドの中央部にそびえる、まるで高層ビルのような建物。
アスモスタンプを全部集めることで入場を許され、エレベーターから一気に、アスモデウス本人と分身体のいる最上階の大フロアへいくことができる。
最上階では、アスモデウスたちが備え付きの監視モニターから島全体の様子を見て、SINNがくるまでの暇を潰している模様。
最高部高度:100m

■アスモランド(商業施設)の各説明
・ホテル
アスモランドの商業宿泊施設。
ウルトラスイートルームで休憩すればアスモスタンプGET。ただしべらぼうにふっかけられるらしい。

・カフェレストラン
アスモランドのお食事処。
寿司に天ぷらの盛り合わせ、ピザにパスタといった各国の名物料理はもちろん。お酒も飲めるとのこと。
大食いにチャレンジし全部食べきればアスモスタンプをGETできる。なお、チャレンジ品目はメニューから自由に選べ、品目により量や制限時間が変わる。

・カジノ
マモンの経営する商業娯楽施設。レートはかなり高額。ご親切なことにATM付き。
カジノディーラーなどのスタッフに扮したマモンと分身体たちが、遊びに来たSINNのお金をしぼりとろうと待ち構えている。
ポーカーやブラックジャック、ルーレット、スロットマシン等があり、いちおう百億ドル分のチップと引き換えにスタンプがもらえることになっている。
しかし、マモンとの交渉や、さらなる交渉(物理)次第では条件が変更になる場合も。なお、マリア(最近わりとしっかり者)との交渉で、ルークス市国より多額の「必要経費」を得ることも可能だが、あまりすんなり支払うとマモンにもっとふんだくられる可能性が高い。

◆登場NPC

 アスモデウス(sz0014)・♂・?歳・?・?・?
 マリア・アンジェリーニ(sz0003)・♀・15歳?・エクソシスト・地・聖職者

◆マスターより

皆様、お久しぶりです。黒鳥です。
このたびは。SINNの期間限定復活シナリオ第二弾にお越しくださり、誠にありがとうございます。
本グラシナは便宜上、部分的にPBW2.0のシステムを踏襲しておりますが、感覚としては、従来の全イベと同じつもりで参加して頂いて大丈夫です。
プレイング文字数上限は400字固定となります。その内容ですが、白紙等でない限り、ボツとはなりません。
下記の選択肢をプレイング第1行で【ア】のように記入すると、基本的な行動指針となります(省略は可・複数選択は不可)。
状況により、選択肢以外の行動をとる場合もあります。
また、各マスターが担当したNPC(アレックス・ラウ(sz0033)といったID持ち限定)のSINNも。プレイングで召集すれば、本作戦に参加させることが可能です(条件的に無理・不自然な場合は参加しない場合もあります)。
なお、本シナリオではモンスター知識は得られないので、ご了承ください(結果反映と参加景品はあります)。

ア:戦闘に注力
 主に円形闘技場や、アスモデウスとの最終決戦に力を注ぎます。
 なお、他の選択肢を選んでいても、基本的には最終決戦には全員参加できます。
イ:カジノに注力
 マモン管轄のカジノの攻略に注力します。運、技能、交渉力、場合により戦闘力も必要になるかも。
ウ:その他施設に注力
 戦闘の絡みそうにない施設の攻略に注力します。場合によりモロクも同行します。
エ:バカンスに全力
 せっかく作ったアスモランド、全力で楽しんであげないと、アスモたんの機嫌が変わったり、モロクがすねたりするかもしれません。
 ここは任務のためにも、全力で満喫している姿を見せましょう。呼べばマリアやモロクもくるでしょう。
オ:その他
 ア〜エに当てはまらない行動を取ります。

■補足情報
・アスモスタンプ:狂喜王のドヤ顔をスタンプにしたもの。
・カジノにおける金銭使用:ATMから個人的財産を引き出しても構いませんが、どの程度引き出せるかはマスター判断となります。
・配下ディアボルス:中級悪魔(人魔)で構成された【狂月の軍勢】の手下。悪魔屋敷で働いたり、カジノ以外の各施設で働いています。基本的には、接客を満喫しているようです。
・人質:合同調査団やSINN偵察隊といった助けるべき人々。所在不明なので、見つけ出し助け出す算段が整うまでは無茶はできませんが、うかつに捜索してアスモデウスにバレるのもまずそうな気配です。

以上です。何ともハチャメチャな要求ですが、まぁ狂喜王のやることですし。ここは力を合わせて、丁重にお帰り願いましょう。
それでは、皆様のご参加。俺たち私たちが『満足させてやんぜ!』を、お待ちしております。

リプレイ
●島施設へ
 SINNは各々。
 死地(?)へと赴く覚悟をもって、黄金島の任務についたはずだが――どうしてこうなったのか。
「アスモデウスめ、何を考えている?」
 生真面目に、首を傾げた東雲 凪(sb4946)や。
「魔王軍の再来‥‥ですが。今回は何だか、様相が違うみたいです?」
 マイペースながらに状況を理解した種子島 カグヤ(sh3932)もまた。仲間たち皆と同じように。
 今日の行動についてを決め、すぐさま取り掛かろうとするも。
「んじゃさ、アスモランドは開園したから!」
 恐らくは魔王本人と思われる、アスモデウス(sz0014)一体のあとから。
「スタンプ集め、頑張ってな!」
「忘れんなよ? 人質の命運は、おまえらちゃんにかかってるぜ!」
 分身体らしき、アスモの群れが念を押した通り。
 人質救出という最終目標は、そのままに。アスモランドを巡るSINNの一日は幕を開け。
「あー、また面倒事に巻き込みやがって‥‥こいつら、きっちり滅ぼすか。封印しなおしたほうがいいんじゃねぇ?」
 ぶつくさと文句を言うも、ギィ・ラグランジュ(sf9609)が気分を変えつつ。
「もっとも。俺としちゃ、マリアに会える言い訳ができたし、悪い気はしないんだけどよ」
 しかしながら、マリア・アンジェリーニ(sz0003)への想いは変わらず。
 聖戦機関長となった彼女に、ニッと屈託のない笑顔を贈ったのち。
「ギィさん‥‥変わらないわね」
 少しばかり緊張が和らいだのか、マリアもほほえみ。柔らかな笑顔を贈り返す、そんな傍ら。
「アスモちゃん、お帰りなのよー!」
 レイメイ・ウィンスレット(so0759)は、アスモデウスに対して。
 あくまでも、遠くに帰ってしまった友だち。その狂喜王が開いた遊園地に、旦那たち家族を伴って遊びへ来たという認識なのか‥‥親しげに話し掛け。
「おう、俺ちゃんディアボルスだけど。そんなの関係ないよな! てなわけで、ただいまちゃ〜〜ん!」
 そういう状態の彼女へ。アスモデウスも元気よく、フレンドリーに応えたところ。
「いやはや。レイメイの度胸もさることながら‥‥悪魔たちも、また凄いもん作ったよなぁ」
 それらの様子、やり取りを。
 レイメイの旦那さんこと、アシル・スノーウェイ(so8117)は後ろから。ふたつの感動でもって見守り。
「お久しぶりちゃーん。でも‥‥あれだろ? アスモちゃんってさ、構ってほしいだけだろ? 正直に言っちゃえよ」
 程なくし。アーサー・ラヴレス(sa4830)も挨拶を兼ね、こたびの核心に触れてみたものの。
「のんのんのん。俺ちゃんってば、アイドルだぜ!」
「口に出さなくても、構ってもらえるのが特権じゃん!」
 アスモデウスの集団は可愛らしく、ピッと立てた人差し指を左右に揺らしながらの訂正を求め。
「まー、そういうことにしとくよ。アーさん物分かり良いから」
 とりあえず、アーサーが頷き。
 お互いに納得し合うのを、呆然と眺めてか。
(これが事件‥‥? ま、まぁ間違いなく‥‥悪魔絡みの事件では、あるけど‥‥なんだろう、この、気が抜けていく感じ‥‥)
 ちょっとだけ、三輪山 珠里(sb3536)は帰りたくなったのを感じたが。
(だけど‥‥人質、いるしなぁ‥‥)
 もちろん、その感情には従わず。
 幹部魔将モロクが見ているのと同じ、絶叫マシーンのほうに目を向けるなか。
「悪魔らしくない悪魔だとは聞いていたけど。アスモさんって、ほんとにそうなんだね」
 遠目の立ち位置から、ミリーナ・フェリーニ(sa0081)も。
 どれが本物だか、分からなくなった魔王アスモデウスのピンク集団を見据え。
「それに変な任務だけど、ある意味‥‥良い機会かも。ここんところ育児が大変で、ナタリー君ともイチャイチャできなかったからね♪」
 お留守番中の我が子、姉と双子たち三人の顔を思い浮かべるとともに。
 ともに本作戦へ参加した夫、ナタリー・スコールズ(sz0045)のもとに駆け寄ると。
「うん。僕たちの子どもが、やんちゃしてないか気になるけど。せっかくだし‥‥今日は夫婦水入らずで楽しもう!」
 そんな妻の思いに応えるべく、彼は片手をスッと差し出し――。
「‥‥ふんふん」
 やがて、アスモデウスは。ミリーナらのようなSINNの夫婦たちや。
「いいんスかね、こんな調子のまま楽しんでも‥‥」
 何かしら、落ち着かない様子の志島 陽平(sa0038)に。
「うむむ‥‥きっとここで過ごすことも、大事なことなのですよ!」
 ヒメコ・フェリーチェ(sq1409)といった恋人たちが。
 仲間らに先んじて、ソワソワし出したのを眺め。
「いいじゃん、初々しくて! そーゆうのも期待してっから、よろしくー! クレミアもしっかりもてなせよー!」
 これは面白くなると確信したのか、一時的解散からの島巡りを改めて促したのち。
 賑やかしい分身体らを伴い、アスモタワーへの移動を始めたようで。
「アスモデウスは気楽に言ってくれたけど。実際のところ、地上に来るのだって決して楽じゃなかっただろうね‥‥それでも俺たちと遊ぶために戻ってきた」
 その魔王集団を、何人かと見送った神代 翼(sb3007)はしみじみと。彼ら【狂月の軍勢】に対する思いを述べつつ。
「だったら、こっちも全力で受けて立つ。いくよ、まねく――」
 SINNの仲間として。久しぶりの再会を喜び合った戸愛路 まねく(sz0055)へ声を掛けるも。
「はーい、翼さん。今いきま――きゃん!?」
 ナチュラルドジっコぶりは健在らしく。何もない場所にて、彼女は盛大かつ大胆に転び。
「まねく!?」
 そこへ翼たちが駆け寄り、手を差し伸べるという一連の光景を横目に。
「はぁ‥‥ほんと、あんた達って変わらないのね」
 場に残されたクレミアことモロクは、そう呟くと。どことなく嬉しげに歩き始め。
 そうしたガイド役に続いたり、続かなかったりと‥‥SINNの皆もようやく。本格的なアスモランド巡り、もとい攻略作戦を開始した。

●円形闘技場:控え室
 とまぁ、島巡りの道中。その初め辺りに。
「おっ、レイヴェンス――」
 どうにかこうにか、ゴスタ・ユオン(sp9246)は親しい仲間の姿を目にすることができたものの。
 目の前の彼、レイヴェンス・エーベルト(sq2046)は。
「ふふっ、久しぶりのデートねっ!」
 恋人の千種 蜜(sp9590)と、遊園地デートに興じるらしく。
「なんか、照れるっていうか‥‥蜜。えっとだな、手‥‥繋いでいいか?」
「もちろんっ、いっぱい楽しみましょっ!」
 照れ隠しにと頭をかき、同意を求めたレイヴェンスに。蜜は満面の笑顔をもって応え。
「むっ、アーク――」
 恋人二人の邪魔はマズかろうと、視線を逸らしたゴスタは続けて。
 別の友人姿を目にし、ひと声を掛けようとするも。
「兄のような冒険家を目指し、スウソと一緒に世界中を旅してきたが‥‥こりゃ、風変りな冒険になりそうだなー」
 アスモランドを舞台にした様相に。
 面喰い中の彼、アーク・カイザー(sq0753)もまた。
「わーい、アークさんと久しぶりのデート! はしゃいじゃって良いのかな、とは思うけれど‥‥何ごとも全力だよね!」
 元気いっぱいの恋人、上随 スウソ(sq1318)との。遊園地デートへ向かうところの模様で。
「まあ、最後まで油断はできないが。スウソとデートらしいデートも出来てなかったし、今日はトコトン楽しませて貰おう」
「うんうん! すねられちゃっても困るし、全力で遊んじゃおう!」
 互いに頷き合い、歩き出したアークとスウソの恋人二人を。
(うぐぐ、ビートたちも来てたようだし。そっち行ってみっか)
 またもゴスタは温かく見送り。
 上級アルゲントを成就すると同時に、達人級の優良知覚でもって探し出したビート・バイン(sf5101)のもとへダッシュ。
「俺は後輩パラディンの未来。その加勢として、バトリングに参加だ! ゴスタも応援してくれよな!!」
 頃合いを見て、声を掛けたところ。
 チーム『バトってポン』のメンバーとして、ビートは円形闘技場へ赴くと述べ。
「おいっすー! もういっちょ、おいっすー!!」
 独自の掛け声を用い。気合を入れる後輩――碇矢 未来(sp5129)やらの。チームメンバーと合流。
「んー。なら応援しつつ、俺も参加かな」
 何やかやあったが、彼らに同行したゴスタも。円形闘技場へ出場することに決めた。
 そののち。
 目的の円形闘技場、そこにいくつかある控え室のひとつでは。
「まったく‥‥あのような悪魔共に人質として扱われるとは、聖戦機関も腑抜(ふぬ)けになりましたか?」
 SINN偵察隊の失態を思ってか、アドリアン・メルクーシン(sb5618)が苛立ちの感情をあらわに。
「戦車内で寝るのも飽きましたし。私もいい歳ですから、現役引退を考えていたのですが‥‥これでは隠居生活を楽しむこともできませんね」
 愛用の拳銃二丁を取り出したまま、愚痴り。
「まぁ性格上。幸せな老後を過ごせるとは、微塵も思っていませんけれども」
 愛銃の手入れと並行する形で、あとの言葉を続けるも。
「人質となった方々。その所在も気になりますが‥‥今はまず、相手の要求に従いつつ様子を見る形になるでしょうか」
 ここは落ち着くべきと、オルフェオ・エゼキエーレ(si1323)が情報整理を行なった通り。
 人質優先の現状は、当然ながら揺らぐことなく。
(そうだな‥‥それに正直、あの悪魔共からは。悪意らしきものが感じられない)
 部屋の隅にて。黒い蝿やドラゴンゾンビやらを模した‥‥家族同然のパペットたちをいじる、ジュラルディン・ブルフォード(sn9010)も頷き。
 彼の言葉に対し、同意を示すが。
(だとしても。私は悪魔と仲良しこよし出来るほど、お人好しでは無い‥‥例外はあるが)
 過去からくる悪魔嫌いは今もなお、彼女の心深くに根付いているようで。
「ただし、相手は狂喜王。魔王の一柱であることを忘れずに」
 そうした思いに続くかのごとく、オルフェオが注意を呼び掛けると。
「無論、人質救出が最重要目的。ことが成った暁には‥‥この身を盾にし、誰も欠けることなく連れ帰ります」
 苦笑のあと、アドリアンは己の抱く思いを真っ直ぐに伝え。
 二人とともに闘技場内部の通路を抜け――挑戦者側の入場口へ。
 ‥‥。
 そんななか、バトってポンチームの控え室でも。
「ウフフフ、久しぶりすぎて腕が鳴るわ〜。出し惜しみせず、存分に戦うわよ〜!!」
 物静かな雰囲気から一転。
 すぐにでも暴れ出しそうな、荒井 流歌(sp5604)の隣側で。
「流歌ねえ、楽しそうだねー! あたしもだよー!」
 多種多様の重装備を担いだ未来が同じく、戦闘準備は万全との笑みを浮かべ。
「毎度、ご苦労様です。義弟のウルちゃんや流歌さんら親友二人も参加するというので、私もノコノコと参りました」
 さらには。茂呂亜亭 萌(so4078)も‥‥自チームの応援に訪問中のゴスタらへ。
 一通りの挨拶を済ませたものの。
「んで。なんで私まで闘技場の控え室にいるのか、聞いてもよろしいですかねぇ?」
 闘技場参加に不服があるのか、チームメンバー相手に不満をもらし。
「なぜ今にも、血の雨やら酸の雨やらが降りそうな闘技場を舞台に。器鬼勢とのリアルバトルをしなきゃならんのやら‥‥私ら、機甲猟兵か何かですかい」
 萌はとりあえず、言いたいことを口するが。
「えー、不在の皆さん。その名代として、ここにいるんじゃないかと」
 手を挙げ、理由に答えた村正 刀(sf6896)の言葉。
 それにはもう、納得するしかなく。
「では‥‥育児のため、参加できないシスター・アシェンの名代として。シスター・刀、推して参ります」
 続けざまに刀も、口上を述べ。戦いへの気合を入れると。
「「!!」」
 チームメンバーとともに彼女らもまた、挑戦者側の入場口へ赴き。
「ミリーナ? 僕たち‥‥観覧車とか、そういうのにいくんじゃなかったの!?」
「えへへ。戦士としては、時々くらい危険な目に遭わないと健康に悪いしね! というわけで、夫婦一緒に戦闘ハッスルするよ!」
 到着の直後に、ナタリーとミリーナ夫妻が何やら騒いでいたが。仲よきかなで良いとして。
「主よ。私達を守り、お導き下さい‥‥」
 彼らが戦いへ身を投じるのであればと、顔を出していたラティエラ・テンタシオン(sb6570)は集まった皆へ。
 ラビエルの天使の環、その愛と癒しの力を伴った効果上昇の仙級サナティ――つまりは。適切なタイミングにて発揮される回復魔法を付与し。
「ラティエラ、時間だ――いこう」
「ああ、ショウ。今いくよ」
 現在婚約中の恋人、ショウ・マルチェッロ(sz0058)からの合図がもと。
 闘技場攻略を仲間に託した彼女も、人質捜索と救出のため。アスモランドのいずこかへと歩き出した。

●カジノ:イカサマの予感?
 ともあれ。開幕したアスモランドの各場所から。
 ピンク色の花火が打ち上がったり、ファンシーぽい風船がSINNの頭上を飛び交うなか。
「悪魔主催の賭場ねぇ、どんなサマ使うのか。ある意味楽しみだな」
 カミーユ・ランベール(sf0920)ら数名のSINNは、すでに。
 ピンクハゲの幹部魔将、マモンが管轄するカジノ施設へ足を踏み入れており。
「相変わらず、強欲な悪魔だよなぁ」
「ええ、しぼりとられないようにしないと‥‥」
 島全体と同じ、金ぴかの内装に。
 ギィと‥‥その彼に誘われ、同行を決めたマリアが警戒を強くする反面。
「くっくっく、ルークス教の助祭として。交渉人仕事を続けるのも悪くないですが、やはり時々は祭りがないと☆」
 腹黒な表情を浮かべたままの、須経 蘭華(sb0118)を始め。
「んっ! ちょっと待ってよ、やるのはカジノ攻略だったわよね!」
 表情こそ、仏頂面のままだが。マユリ・バルギース(sp0231)は『マエダ』『ナカノ』『ゴトウ』と名付けたパペットたち三体の前にて。
「なんで‥‥あたしは、こんな服装してるのよぉ!」
 仙級パペットコントロールの自律稼働により、彼らがどこぞから持ってきたというバニーガールの衣装姿を披露しつつも。
 衣装に着替え終えている以上、まんざらでもないのか‥‥。
「ん、このっこのーっ! あんた達も兎耳つけろっ!」
 文句を言いながら、マエダらをドツキ。楽しげに過ごしている模様で。
「エヘヘ。準備しておいたバニーちゃんが、役立ったみたいだねぇ〜僕ちゃんうれしぃ〜」
「「エヘヘへ」」
 置いてたら、SINNの誰かが着てくれるであろうとの淡い願望。
 それを運よく叶えたハゲの群れが、カジノホールの一画へ集まるとともに。バニーガール姿を眼福、眼福とガン見しているのを目にしてか。
「‥‥なぁ、アメリア。せっかくだし、今日は悪魔式のギャンブルを勉強させてもらおうぜ」
 足を止めたカミーユは同行中の妻、アメリア・ロックハート(sh1732)へ声を掛け。
「ああ、やっぱりそうなりますよね‥‥わかりました。百聞は一見に如かずとも言いますし、勉強させて頂きましょうか‥‥」
 そんな、気分がノッてきた様子の夫へ。
 しばしの考えを経て、彼女が応えたところ。
「そうだ、ついでにどっちが多く勝てるか勝負しよう。負けた方は勝った方の言う事を一つきくってことでいいよな?」
 遊び心に火が点いたらしく、カミーユは口元に軽い笑みを浮かべたのち。さらなる提案をサラっと述べ。
「えっ‥‥勝負ですか? えぇ、いいですけど‥‥」
 対し。アメリアは何だか、いやーな予感がしたものの。
 夫の楽しそうな様子に、あと押しされ。結局は二度目の提案にも応えることにした。
 夫婦勝負の果てに、どちらがナニを要求するのかはさておき。
「そろそろ、始めちゃいましょうかね〜エヘエヘ」
 マユリのバニー姿を充分に堪能したのか。所定の位置へ戻ったマモンと分身体らが、カジノディーラーとしての仕事を始め。
(ちょっといいコネ持ってるんだけど、こういう事に使ったら法王様とかに怒られるかもなぁ)
 チップへの交換時。
 自身の専用コード入りCROSSをチラ見し、使うべきか否かで悩む‥‥ギィのあとから。
「援助金を得るのも、何に使うのかも、ギィさんの自由だけど。ほどほどにね?」
 察したのか、マリアが専用CROSSの使用権についてを優しく述べ。
「本当、しっかりしてきたよなぁ‥‥よし! マリアがスッちまった時はしょうがねぇ。神の教えに基づき、助けるぜ?」
 そうした彼女の成長を喜びつつ、ギィがコネの使い道を決めるとともに。
「俺はお前のATM‥‥じゃなくて、騎士だから、な!」
「え、ええ‥‥もしもの時は。その、お願いするわね」
 ご利用は計画的に、との良い笑顔を。マリアへ向けるなか。
「ん、あたしはとりあえず。機械系のギャンブルマシンに取り付いて、ルーチンのアヤとか確率変動の仕組みを暴くわ」
 小型軽量化モデルの特殊トランクPCを、スロットの前に置いたマユリが。
 電算・ネットサーフの知識&技術をもって、ある意味でのカジノ攻略へ取り掛かり。
「マエダ、ナカノは周囲の警戒よろしくね。ゴトウは‥‥皆との緊急連絡を取る時に必要だから、一緒にいてもらうわよ」
 お供のパペット三体――イントルーダーのマエダ、ダンボール王のナカノ。
 それと、遠隔通信のゴトウにも指示を与えたものの。
「んっんー、やっぱり暴くのは難しいかも。インターネット上で管理しているわけないし‥‥直接いじろうにも、こじ開けたら壊れそうだし」
 マモンのスロットが、独立したシステムで動いていたためか。彼女は早くも、ウーンと頭を抱えたようで。
「私のほうは交渉力を生かして、レートなどを下げてもらい。カジノでのスタンプを取りやすくなるようにしますよ、必要経費にも限度ありますし」
 その姿やら行為を、隠す意味合いも含め。
 蘭華もまた、このタイミングにて。何かしらの動きを見せ。
(あのマモンさんが相手だと、おそらく本格的な戦闘や裏などは無いでしょう。油断は大敵ですが‥‥)
 これまでの経験をもとに、マモンたちのほうへ足を向けると。
(この勝負、相手のイカサマに気付いた時‥‥こちらで対処できるか。それとこっちのイカサマを、ばれないようにできるのかがポイントだろうな)
 彼女の考え方とは逆に。
 自分らを含め、イカサマが行なわれるのを前提に。カミーユも動き。
(そう考えると‥‥こちらから動きにくいスロットとルーレットはパス。ポーカーもしくはブラックジャックがねらい目か‥‥ここは後者だな)
 洗練された思考をもって、ブラックジャックを選択したところ。
「私もブラックジャックにしましょう。何事もフェアプレーでなければいけませんよね、イカサマは許しません――」
 その様子を目にし、アメリアも堂々とした態度で。夫の彼と同じものを選び。
「「‥‥」」
 マモンの隙を見て、カミーユが上級ゲミニーを成就。
 卓へつく前に。双子の兄弟よろしく、同一の分身体を作り出した。

●どこへ向かおうか
 てなわけで、カジノ施設のほうも――。
 何かしらの盛り上がり、その兆候をみせる頃。
「「‥‥!」」
 闘技場以外の遊園地施設、そのいくつかへ目を向けたSINNたちのほうでは。
「ふはははははははっ。怪盗紳士モローアッチ、華麗に参上!! 師匠の勅命により、彼の地から馳せ参じましたぞ!」
 ウルちゃんこと、ウルセーヌ・モローアッチ(sp5281)がバカ騒ぎ‥‥もとい。
 久々の解放感に浮かれ、心躍らせている姿を横目に。
「ミーも師匠からの勅命を受けて来まシタ。というわけデ‥‥アータンさん、一緒に園内を巡りまショウ」
 彼の友人、ジェーン・ミフネ(sk6098)も心弾ませたまま。同じく観光作戦を実行中のアータン・モータン(sz0065)へ同行を呼び掛け。
「うむ、構わないぞ! アタシ‥‥いや、私も誰かを誘おうと思っていたのだ!」
「では‥‥まず、ウルトラスイートルームに部屋をとり。バカンスを満喫すると同時に、人質の居場所を探すのデス」
 快くOKをもらったジェーンがまた、うれしそうに。
 ひとまずの行き先を告げたあと。
「この年齢になって‥‥遊園地で? はしゃがないといけないとか? まじで?」
 いまだに困惑し続ける27歳、セルゲイ・クルーツィス(sc4350)のもとへ。
「いくわよ、せーちゃん。挑戦するからにはスタンプを制覇するわよ!」
 幼馴染みの琴宮 涙湖(sb1982)が駆け寄り。
「まずは悪魔屋敷ね。せっかくだし、ピンクコースを選びましょ!」
 反論を許さず、問答無用で行き先を告げ。
「おい、ちょいマテや涙湖‥‥なんでピンクコースなんかを選ぶ。なんで!?」
「決まってるじゃない、面白そうだから!」
 さらに困惑しちゃったせーちゃんことセルゲイを。すごくいい笑顔の涙湖が、やはり問答無用で引っ張っていったのを筆頭に。
「はー、こんな平和的な悪魔戦とか初めてだよー‥‥」
 一応の引退は考えているも、パラディンの一人として参加した酒匂 博信(sh4156)。
「いや、人質もいるんだし。気を抜かず、すぐに済まそうかー」
 その彼が、お気楽な感じながら。近くの仲間たちへ真面目な意見を述べるも。
「へぇ。ピンクコースなぁ‥‥楽しめそうじゃねーか、酒匂? な?」
 悪魔屋敷へ向かう仲間たちとか、博信の姿を交互にチラ見した夜霧 楔(sh4403)は彼に対し。傷入りの表情こそ稀薄だが。
 内なる感情は豊かに、悪魔屋敷への同行を促し。
「おっしゃ、返事はどーでもいい。行くぜ!!」
 容赦&遠慮がないのは、人となりを気に入っているゆえか――楔も問答無用と。
「そーいうのはちょっと‥‥楔君!? あの、僕の話聞いてくれる!??」
 イヤがる博信を、悪魔屋敷(ピンクコース)へ連行していき。
(で、デート‥‥いや、悪魔屋敷の攻略をするの‥‥)
(デート‥‥いや、観覧車の攻略するの!)
 少しばかり、テンションは違うが。栄相 サイワ(sa0543)と栄相 セイワ(sa0577)の姉妹も、まずはどこへ向かうか決めたようで。
「しかし、魔王の目的も不明で。何かしらの罠があるかも知れないとなると、油断するわけにはいかんな」
 一方。その彼女らを見守りつつ、眉間にしわを寄せる凪へ。
「アスモデウスの目的? そりゃ俺達ダシにして、自分が楽しむ事に決まってんだろ?」
 彼の弟――東雲 燎(se4102)は。己が狂喜王を見て、感じた通りを述べ。
「兄貴も難しく考え過ぎねぇで、こっちも奴らをダシに楽しんでやるぐらいの事考えたらどうだ? ‥‥もちろんやった事の落とし前は、つけてもらうけどな」
「‥‥むぅ」
 身内だからと続けた弟の苦言に。凪は難しいぞ‥‥との表情を浮かべるも。
「凪兄、手を繋いで行こう!」
 迎えに来た愛妻、セイワの前では。その難しい表情をゆるめ。
 観覧車のほうへ歩いていく、そんななか。
「お、お久し振りです、サジットさん‥‥ご一緒、してくれませんか?」
 サイワも恋心を抱く相手、サジット・アーナンド(sz0040)へ。お誘いの言葉を掛け。
「いいですよ。お出かけする約束もしましたし、息抜きに楽しみましょう」
 以前交わした約束も生きていたのか、すんなり。
 彼からの同意が得られると。
「本物の悪魔がでるのか、まぁ‥‥襲われない限りは大ウケしそうだな」
 保護者としての燎を加えた三人も、談話を楽しむとともに悪魔屋敷のほうへ歩き始めた。
 それに伴い。
「じゃ、ジェットコースターいくから。付いてきなさいよ」
 モロクも。楽しそうな彼女らに触発されたらしく、絶叫マシーンへの移動を呼び掛け。
「あれね、とりあえず。全力で満喫することを考えておけばいいのよね」
 集まったSINN仲間を前に。クローディア・エヴァーツ(sa0076)が大きく頷き。
「いくのよ、アビス! 目指せー絶叫マシン!」
 婚約中の恋人さん、アビス・フォルイン(sa0959)の衣服。その襟元をギュムッと掴んでの先行を始め――。
「スタンプのためにも、ディアのためにも、頑張るとするよ」
 実のところ、絶叫系が大の苦手だが。
 好きな子を悲しませたくないという漢気のもと、アビスが連れられながらの気合を入れ。
「しかし、悪魔が従業員の遊園地、なんて、滅多にお目にかかれないものだね」
 改めて思う、こたびの現状に。ただただ苦笑いする、そうしたさなか。
(ボクも結婚して‥‥だいぶ落ち着いたけど、やはり美しいモノには目がないんだ)
 単独参加の人妻、十文字 翔子(sf7297)はというと。少し遠目から。
 皆と歩き出したモロクの後ろ姿を見つめるとともに。
(それに遊園地! アスモたん、モロクたんと来たら‥‥良い機会だし。コスプレしてもらって写真を撮りまくる! これに尽きるんじゃないかな!!)
 湧き出る欲望を全開に。市販のデジタルカメラを取り出し、ハアハアと息を荒げており。
(うっ、すっごくヤな予感がする‥‥)
 やがては、熱い視線に気付いたのか。いく度となく足を止め、後ろを振り返るモロクのもとへ。
(あ、大丈夫! ボクもプロのカメラマンだから! 芸術性の高い作品にするから! 撮った写真データは上司のアスモさんに渡すから!)
 翔子も駆け寄ると、コスプレの撮影計画は隠したまま。
 ともに、最初の目的施設へ向かい。
「‥‥久々に、皆の顔、見られたのは‥‥嬉しい、けど‥‥うーん」
 また、SINNを伴ったモロク列の最後尾には。
 アスモデウス勢との関わり合いに、まだ抵抗があるものの。続くことに決めた珠里の姿があり。
「タマちゃんは、獣医さん目指して大学かー! 頑張ってるんだねー!」
「うん‥‥壱子さん。今日は、学業の合間に‥‥」
 絶叫マシーンへの道中、声を掛けてきた柴神 壱子(sa5546)に対してはもちろん。心を許したようで、タマちゃんこと珠里は自らの近況報告を伝え。
「よーし、とんでもないことになってるけど、これも人質救出のため! 全力で遊ぶ‥‥もとい、スタンプ集めないとねっ!」
 と――そんな、親しい友人との日常談話を経て。さらに気合が入った様子の壱子も。
 もらっておいたアスモランドの案内パンフレットに、ぐりぐりと印を付けたのち。
「アルくん、いくよー! デート大作戦にGOGO!」
「応、まずはアトラクションを楽しんで。小腹をすかせないと、だな!」
 アルくんこと、恋人のアレックス・ラウ(sz0033)を引き連れ。楽しさ全開でもって駆け出した。

●早くもスタンプGET
 こうして。
「戸惑いはしましたが。つまり‥‥楽しめばいいんですね!」
 対魔王武器なども用意したが。若干、天然方向に吹っ切ったスィニエーク・マリートヴァ(sj4641)もまた。
「そう、満喫するのも任務のうち‥‥」
 旦那様の鷹羽 叶望(sd3665)。彼とのデートへ向かうと。
「あ、これ作って来たんで‥‥お土産。みなさんでどうぞ」
「こんなにたくさん‥‥ありがとうございます。アスモデウス様も喜びます」
 悪魔屋敷の裏口にて。擬態中の人魔であろう遊園地スタッフを見付けた叶望は。
 彼らに、手作り菓子の入った紙袋を手渡したあとすぐ。
「せっかくだ、中を覗いていこう」
 悪魔屋敷の正面口へ回りつつ、スィニエークとの遊園地デートを再開。ともに通常コースへチャレンジし。
「いろいろ思うところはありますが。今回ばかりは好都合! 突然告られたときは驚きましたが、政宗さんとのゴールインが近いのですから!」
 同様に、先ほど思考を切り替えたカグヤも。
「いいですね。俺たちのもリア充大爆発なデートにしましょう」
 結婚近しの恋人、陸奥 政宗(sa0958)と連れ立っての遊園地デートを始め。
(私も‥‥もうあとがありませんし、がんばりますよ! 仕事と私生活両立して見せます! 魔を断つ剣として!)
 というカグヤの‥‥心の叫びがもと。
 彼女らも皆に負けじと、観覧車の方面へ歩き出したところ。
「ふふ、皆でお出掛けは久しぶりですね」
 観覧車近くの散歩道では。生後半年くらいの子を抱いたアーティーン・スノーウェイ(sn2115)が。
「そうねー、学生業がいそがしかったのよー。もっとも卒業の前に学生結婚しちゃったけど☆」
「まぁ、なんだ。アーティーンは子供もつれてるし、無理のない程度に楽しんでいこう」
 レイメイ・アシルの妻夫(めお)を伴いつつ、ニコニコ笑顔で歩き。
「こうやって、のんびり園内を歩いているだけでもたのしいですね。シシリーさん」
 さらに、アーティーンが。
 我が子アシェリーを変な悪魔に狙われないか‥‥心配そうな夫、シシリー・ドレイク(sz0067)へ声を掛けると。
「ああ、悪魔絡みのじゃなきゃもっと楽しめたんだが‥‥今のところ問題はないようだな」
 周囲警戒を終えた彼は、大切なアーティーンら家族のもとへ駆け寄ったのち。
「きっと大丈夫よー、アスモちゃんに結婚したのよーってお知らせしたら。自分のことみたいに喜んでくれたし」
 ゆっくり歩きながらも、レイメイたちとの何気ない談話を楽しみ。
 人質のことは、それとして。アスモランドの散策を続けた。
 そして、アスモランド商業施設のひとつ。
 豪華絢爛といった様相の、ホテルへ赴いたSINNたちのほうでも。
(ふっ、スウソと一緒の部屋は取らせてもらった。でも‥‥スペシャルスイートはムリ!!)
 一日二日で終わる、らんちき騒ぎじゃないと見てか。アークたちが早くも、一般客用の部屋を借りたようで。
 そのまま恋人二人が観覧車のほうへ向かったあと。
「そりゃ。キプロスのホテル王‥‥その孫娘としては、ホテルのサービスとか気になるよね♪」
 入れ替わりに、ホテルのロビーへ現れたナタク・ルシフェラーゼ(sa2677)は。なんと‥‥ウルトラスイートルームのべらぼうな宿泊料をポンと出し。
「あとは。料金とサービスのバランスとか、避難経路の有無とか‥‥ここが悪魔達の施設であることも考慮しつつ、冷静に評価させてもらうよ」
 イイとこのお嬢様であると明かした彼女が、ニッコリと笑みを浮かべながら。ホテル内のチェック作業へ取り掛かるなか。
「これで、スタンプ1個GETですネ」
 続きまして。二人目のお嬢様、ジェーンもウルトラスイートルームの宿泊料金をポンと出し。
「むむむ、ナタクもだが。ジェーンも大丈夫なのか!?」
「ノープロブレム。人質奪還の必要経費としてルークス市国に請求しますし‥‥断られても、ミーの実家は財閥なので、国家予算単位でなければなんとかなるのデスヨ」
 それが超高額のため、同行中のアータンが心配するも。
 すぐに。ジェーンは応え、余ったお金と何とやらは使いようとも述べた。
 ‥‥。
 それから程なくし。スイート料金とサービスのバランスが悪いとの苦情に加え、アスモスタンプ1個目GETの第一報がアスモタワーへ届き。
「値下げしたら、試練にならねーから。サービスの向上をだなー」
「へー、やるじゃん!」
「これウマイなー」
 一報を聞いたアスモデウスたちが。
 ほんの少し前に届けられた叶望の菓子、それをモグモグしながら。複数の感想やら、何やらを述べ合う頃。
「ミゲル。せっかくだし、カフェレストランでもどうだい?」
 帰還者としても名が知れたスケベおじさんこと、ミゲル・アギナルド(sz0049)。
 その彼を見付けた、ファミリア・サミオン(sb0511)が食事へ誘い。
「いいのかい? おじさんとしては嬉しいけど」
「もちろんさね。よく言うだろ、美味しい酒とご飯は好きな人と、ね?」
 久々に、ミゲルとのやり取りを楽しみつつ。連れ立ってカフェレストランへ訪れると、そこには――。
「ぐっ、まさか悪魔に歓待されて楽しまねばならんとは、魔を絶つ刃たるパラディンの私がなんたることだ‥‥」
 テーブル席についたバイオレット・エアレイダー(sa7966)が何やら、悔しげに呟き。
(しかし今は人質解放のため、リーベと一緒に。このバカげたイベントをこなさなくては‥‥まぁ人質らも、実はその辺で楽しんでいる気がしないでもないが)
 葛藤を繰り返すうちに、どうにか納得できた彼女が相席にて。
「人質を救出するためだし‥‥いっぱい食べるぞー」
 後輩パラディンのリーベ・レッヒェルン(sz0087)も臨戦態勢が整ったのか、メニュー表を繰り返しめくっており。
「闘技場で戦うにも武装が足らず、他の施設で楽しむのも性に合わん。とすれば、このフードファイトを制覇するしかない!!」
 先輩の意地として、バイオレットも勢いよく。
 食の戦いと称し、手にしたメニュー表をめくる‥‥そうした前の席でも。
「おねーちゃん。あれだ‥‥お酌、お願いするわ」
 いろいろと、お疲れなのであろうアントーニオ・インザーギ(sa5938)が。ウェイトレスのお姉さん(擬態中のスクブス)へ声を掛け。
「おひとつどうぞ♪」
「まぁ、おねーちゃんも悪魔なんだろうけど。それはそれで乙ってなもんさ」
 別料金を発生させながらも、バカンスを楽しんでいる模様で。
「おねーちゃん、いいなー」
 そんな向かい側の席についた直後。すぐに反応したミゲルを前に。
「そういや‥‥蕎麦ってのが美味しいと、知り合いから聞いたからね。あたしはそれに挑戦してみるよ」
 懐かしいものを感じたファミリアは、ほほえむと同時に日本蕎麦を注文し。
「「!!」」
 時を同じくして。バイオレットらのテーブル席からも、寿司&パフェの各注文を求める声が交差した。

●円形闘技場:チーム戦
 第一チーム:アドリアン、オルフェオ、ジュラルディン――三名。
 第二チーム(バトってポン):ビート、刀、萌、未来、流歌――五名。
 第三チーム:ミリーナ、ナタリー、アーサー、ゴスタ――四名。
 以上の出場者が、闘技場備え付けの電光掲示板に表示され。
「「――グォォォン!」」
 SINN入場口の反対側から、バイクラム(バイク型)に、ヴィークラム(自動車型)といった器鬼群が飛び出してくるを戦闘開始の合図と認識してか。
「力を合わせよう」
 第一チームの一人として。白魔の拳銃をかざしたジュラルディンが、指揮能力の行使がもと。
 巨木軍令の錬金装束、それの効果を発揮し。
「私には、まだ。奇跡の力がある‥‥」
 愛銃二丁を手に。無駄撃ち無し、かつ――ワンショット・ワンキルの心構えで挑むアドリアンや。
(今さらですが。今回のような悪魔再来もありえるのに、SINN削減してしまって本当に大丈夫なんでしょうか)
 ふと、少し遠い目をしたオルフェオら。チームメンバーへ。
 集団行動のさいに働く、有益な力を与えたのち。
「いけ、お前たち‥‥」
 ジュラルディンが続けざまに、拳銃を構えたまま――。
「‥‥」
 中級のスカイパペット、スイフトパペット、グラディウスパペットに加え。フリーズパペットの強化魔法を付与した昆虫パペット『ゴルベーザ』。
「‥‥」
 中級のスカイパペット、グラディウスパペットの強化魔法を付与したドラゴンパペット『リュディア』。
「‥‥」
 中級のスイフトパペット、グラディウスパペットの強化魔法。その付与に加え。
 腐土奈落のサーベルを与えた魔剣士パペット『ジョージ』。計三体の家族パペットを自身の前に配置し。
「以前の、燃え盛る炎のような怒りはなくとも‥‥これは、悪を滅し、自らを浄化する炎。我が魂よ震えよ、蒼き炎となって燃え上がれ」
 あとから。器鬼群からの反撃に構うことなく、突撃を始めたアドリアン‥‥その常在戦場な彼に続き。
「今考えるべきは、在庫一掃でしたね」
 効果上昇のインテーゲル・グラディウスといった上級魔法、ふたつの成就でもって。
 足場・機動力の確保、そして‥‥威力の底上げを終えたオルフェオが次に。効果時間上昇の中級ヴォーロ、その成就によって加速。
「「ォォン!」」
 対峙する器鬼らとの距離を、一気に詰めるなか。
(‥‥そうか、ありがとう)
 円形闘技場の外、植林された樹木の近くでは。
 ラティエラが効果時間上昇の仙級サンウリエル、それの成就により得たフォリウムの力を用い。人質に関する会話など、居場所への手がかりを探しつつ。
「ショウ、シャムも待たせたね」
 少し離れた位置で、警戒中のショウと。
 上級ピスケスをもって共感状態を実行中の相棒、聖獣シムルの『シャム』ら‥‥家族がもとへ戻り。
「ラティエラのほうも、収穫はなしか」
「ああ、次へいこう」
 恋人らと楽しく遊んでいるように見せながらも、彼女たちは探索の幅を広げ。
 皆が望むところの人質確保へ向け、ともに尽力を続けた。
 数分後。
「「ぷしゅー‥‥」」
 第一チームの奮戦により破壊されたバイクラム、ヴィークラム数体の体躯が消え去り。
「細かい話は別として、脱出ルートを確認しておきましょうか」
 一時的休憩のため、アドリアンらが下がったあとすぐ。
「要は在庫一掃すりゃいいんでしょ!?」
 彼らとの入れ替わりに、第二チーム――。
 不本意ながら、何度か目の覚悟を決めた萌。そういう彼女を始めとしたバトってポンの各メンバーが入場し。
「国民的人気お笑い番組のレギュラーになったばっかで、死んでたまるかっての!!」
 心からの叫びを伴い、中級のサンラファエルを成就した萌が‥‥さらに。
 上級のゲミニー成就を経て、己の分身を作り出すと。
「超絶美形パラディン、ビート・バイン参上!! さあ、俺が来たからには、もう安心! 萌も安心――」
 チームメンバーへの気配りもとい、観戦しているであろうアスモのため。ビートはドヤ顔からの決めポーズを取り。
「俺達はいつだって、お早うからお休みまでクライマックスだぜ!!」
 決め台詞を発するとともに。HeroTimeのバックルから、ヒーローに相応しき音楽を響かせたところで。
「うぉー! やっぱ、SINNはおもしれー子ちゃんばっかだな!」
 予想通り。闘技場方面の監視モニターを用い、観戦を楽しんでいたアスモデウスらや。
「おー! ビートかっこいー!!」
 見ている場所は違えど、ゴスタは似たような大歓声を上げ。
(アスモや友人への配慮も忘れない、気配り紳士の俺、マジ最高!!)
 という感じで、自分に酔いしれているビートとか。
「俺も天使を宿し、ゲミニーで分身作ったら。片方はそのまま上空で、もう片方は地上でホバリング移動を――」
 仙級のサンミカエルから、上級ゲミニーを成就しての戦闘準備を整えた刀たち。
 バトってポンの第二チームがもとに。
「「グォングォン!」」
 人数が多いことを考慮されてか。バイクラムやヴィークラムに加えて。
「「バラバラバラ!」」
 スピーラム(プロペララジコン型)といった器鬼群が投入され。それらが一斉に動き始めたのを合図とし。
「「おらおら――!!」」
 上級グラディウスを成就したビートと、未来のパラディン二人が。
 P90のSMGと、閃のアサルトライフル射撃をもって。ひとまず器鬼群のけん制に努め。
「機動力が高そうなのばかりだし。地面を凍結させたら、タイヤ型のは一瞬だけでもスリップしてくれるのかしらね?」
 仲間との位置関係を確認しながら、流歌もバイクラムなどを相手にするのを前提に。
 範囲魔法での応戦を計画し、その機会を待つなか。
「んじゃ。私1号と私2号は宙に浮いたまま、フルメンを撃ちまくりますかねぇ」
 二人の萌が起動させたホスティアの腕輪により。複数の器鬼が引き寄せられ、そこに彼女らの仙級フルメンが炸裂すると。
「俺らはタイヤ型の一部を誘導したのち、イグニスと日本刀とで応戦します」
 二人の刀もまた。器鬼数体を引き寄せつつ、仙級イグニスをぶちこみ。
 八百万断の日本刀、その斬鉄効果を伴った一撃でもって。接近してきたバイクラム一体の体躯を斬り裂いたようで。
「やっぱり一瞬じゃ‥‥スリップ狙いは難しいわね」
「‥‥グォーン!」
 また、流歌の仙級ニクスを受け。一瞬だけ凍った地面もろともヴィークラム一体が凍結し、その動きを鈍らせるも、完全なスリップ状態にはならず。
「喰らえ! 今日の超必殺技‥‥十周年記念スペシャル!!」
 そこへ。ビートが急接近すると同時に、不滅の三日月宗近を地面に突き立て――上級エルプティの爆発的な力を解放。
 解放位置はヴィークラムの真下で、ドカーンと炸裂した一撃は器鬼の体躯を突き破り。
「流歌ねえ、ガードは任せて!」
 残るスピーラム群からの反撃は。飛べない流歌に代わって、未来が徹底的にガッチリと受け止め。
「流歌さん、あとは頼みます」
 あとに続く形で。萌二人がサンラファエル、その力のひとつであるアエルを用いて。
 行動阻害の乱気流を起こし。
「ウフフ、とどめは私ね」
 スピーラム群の動きが鈍ったところへ。笑顔の流歌がニクスを放ち続け。
「「しゅー‥‥」」
 彼女らに撃墜されたラジコン器鬼らは各体、その役目を終えた。
 まだまだ続きまして、第三チームの戦いへ。
「最近、腕がなまり気味なんでなあ。久しぶりに全開で行くぜ、ヒャッハーー!」
 と、述べつつ。
 浄牙のロードバイクに跨ったアーサー、そんな彼や。
「今日は、手持ちの火器をしこたま持ってきたよ! いい勝負しようね!」
 重量過多のフル装備で登場したミリーナ、そうした彼女らの要望へ応えるかのように。
「「グォォン!!!」」
 今回の器鬼群は。バイクラムの投入数が多め。
「「ォォォン!!」」 ヴィークラムの投入数も、やや多めで設定されているが。それはそうとして。
「ちょいと寂しいけど、アーさんたちがいるなら何とか!」
 ヒャッハ――な、アーサーと同じく。
 NRのロードバイクに跨ったゴスタもまた。気持ちを切り替えながらも、己の心を高ぶらせ。
「ぉぉぉぉッ!」
 アルゲント併用の上級アニムイグネから、さらなる獣化を体現させるとともに。
 カラパスの成就により、皮膚硬化の力も得た彼は。高品質ハンマーを携え――前方のバイクラム群へ突撃していき。
「ヒャ――!!」
 続けざまに。効果上昇の上級グラディウス、その成就を終えたアーサーも。強化ショートランスを構えたままの突撃行動を開始すると。
「ナタリー君には、皆への癒しをお願いするね」
 彼ら二人の前進を見届けたのち。ミリーナは少しの間、後ろを振り返り。
 妻がいいなら、もういいやと諦めた感じのナタリーへ声を掛け。
「大丈夫。大切な夫へは指一本的に触れさせないし、僕たちの子どものためにも無事帰るよ!」
「僕も、大切なミリーナと子どものため――」
 愛らしくほほえむと同時に。夫の返事を最後まで待たぬまま、M202LCの携行ロケット弾をぶっ放し。
「ゴメン、お話は帰ってから聞くよ!」
 携行ロケットの全弾四発を、ヴィークラム群へ撃ち込んだあとも。
 彼女は気分を高ぶらせたまま。カンプの拳銃へ持ち替え、バイク乗りたちへの火力支援を継続――。
「「しゅーん‥‥」」
 それにより、ヴィークラム数体が動きを止め。
「アーさん、動きとめた!」
 直後に、ゴスタからの。鋼糸の練成腕輪を用い、バイクラム一体を絡め取ったという合図に反応してか。
「ッハ――!!!」
 叫びで応えたアーサーが、ライディングアタックによる一撃でもって。
 そのバイク器鬼一体を撃破した。

●カジノ:ハゲとの駆け引き
 カジノの続き。
 ブラックジャックへ挑む、SINN夫婦のほうでは。
(分身はイカサマ警戒、俺自身は勝負に集中する作戦でいくぞ)
 ゲミニーの分身を伴い、マモン一体との戦いへ突入したカミーユを横目に。
「さあ。どちらに祝福が舞い降りるのか‥‥勝負といきましょうか」
 アメリアも隣側の卓へつきつつ、別のマモン――。
 その分身体、もしくは本物との金銭勝負を挑み。
「エヘヘ〜負けませんよぉ〜」
 どちらにしても、にやけ続けるハゲへ。
「ふふ‥‥お金をしぼり取られる結果にならないよう、気をつけなきゃいけませんね。でも私、賭け事には少し自信あるんですよ?」
 夫カミーユと同じ、達人級の遊戯技術。それに伴った経験を持つアメリアは‥‥ひとまず。
 様子を窺うべきとの考えがもと、不適な笑みを向け。
(どうしよう。スケベそう、お金に汚そう‥‥程度くらいにしか?)
 達人級の対人鑑識を用いた観察行動へ移るも。
 しょーもないオッサン風のくせに、これでも感情の機微につけこみまくってきた大悪魔。年季が違いすぎるためか。その真意は読み取れず。
(イカサマをしているかどうか、表情から判別できると思ったんですが‥‥)
 仕方なく彼女も、気持ちを切り替えるとともに。約束のブラックジャック勝負へ取り組むなか。
「さて、本題はこっからだ」
 ギィはというと、マリアを連れたまま。一台のスロットマシンへ挑戦しているようで。
「マモンさん。貴方ならわかるでしょうが、収穫の時期を間違えてはいけません」
 一方。レート変更など、いくつかの交渉がため。
 蘭華もマモンの一体を相手に、懐柔への言葉を続けており。
「今は作物に水と肥料を与える時。たっぷりと養分を取らせて、味の良くなったところ‥‥で収穫するのが銭儲けの醍醐味(だいごみ)じゃないですか」
「ふむ。やっぱり、あなたがたの考え方は面白い、とっ〜ても興味深いものがありますねぇ〜」
 比喩を交えての雑談が終わりへ近付くと、頷いたハゲはいつもの笑みを。
 さらに、いやらしくした感じでもって浮かべ。
「なのでどちらが得に繋がるか、今日は勉強してくださいな。無論此方もジャンジャンバリバリさせて貰いますので☆」
 もう、ひと押しで落ちると考えた蘭華が。アスモスタンプGETへの条件緩和を訴えながらも。
「あ、これ黄金色のお菓子ですけど、お茶請けにどうぞ☆」
 お土産入りの菓子箱を手渡したところ。
「わぉ。意味深ですねぇ〜、中身はあとで改めるとして。僕ちゃんの利益にも繋がりそうだし‥‥ちょ〜〜〜〜〜っとくらいなら、いいですよぉ〜ん」
 怪しげな菓子箱を懐へしまったマモンは、ジャンジャンバリバリお金を使ってくれるのならと条件緩和の案をのみ。
(まぁ、普通のお菓子ですが。何とかなるでしょう)
 独自の経営学やら菓子やらで、目的を遂げた蘭華が‥‥ひと息つき。
 ホールの一画へ目を向ける、そんな視線の先では。
「んー、あたしもディアボルス連中と楽しく、金儲け談義がしたいもんだけど‥‥」
 やはり、機械の知識なしでは分解もままならないのか。マユリが早々にスロットマシンの外部操作を諦めた様子で――。
「こんな格好じゃ、話し合いにはならなそうよね。あの悪魔‥‥エロそうだし」
 何やら愚痴ったりしつつも。バニーガール姿を維持したまま、人参らしき緑黄色野菜をポリポリしており。
「お客さまぁん、何を‥‥」
「ん、あたし農産物のネット通販してるのよ。減農薬野菜や無農薬野菜も扱ってるんだけど‥‥試しに食べる?」
 さすがに、その様子が気になったのか。
 マモンの一体が問い掛けると。彼女は懐の辺りから、自分が食べていた野菜と同じものを取り出し。
「んっ? 皆も試してみる? まだあるから、何もつけなくても美味しいわよ」
 それを、皆にも勧めた結果――。
 応じた数名が、カジノホールで野菜をポリポリするという健康的な珍事へ発展した。

●悪魔屋敷:ウホッの嵐
 ひょんなことから。カジノ攻略中のSINN数名へ。
 マユリ持参の緑黄色野菜が振る舞われ。健康的なポリポリ音が、そのホール内に響く頃。
「「――」」
 悪魔屋敷の通常コース。それを選択したスィニエークも、旦那とともに薄暗い廊下を進みつつ。
「すごいです。あれ、どうやって化けてるんでしょう!」
 時おり脅かしに現れる、本物の悪魔を目にし。
 怖がるどころか素直に感心するという、天然ぶりを炸裂させているらしく。
「ん、ああ‥‥それは、あれだ」
 ともに進む、叶望もまた。ディアボルスの姿は見慣れているものの、急に登場したさいには心の底からビビりまくっており。
「その‥‥彼らはプロの悪魔だろうし、何かしらの秘訣があるんだろう」
 だが嫁の手前、そういう姿を見せたくないのか。彼は‥‥めいっぱいの平静を装うと同時に、スィニエークからの問いへ応え。
「不思議ですね! ふふふ、楽しくなってきましたし。どんどん進んじゃいましょう!」
 幸か不幸か、旦那の内心に気付かぬまま。
 嫁は楽しそうに、叶望を連れ歩き。どうにか無事にゴールすると。
「こ、怖いので、手を繋いで貰っても良いですか‥‥?」
 続いて。サイワ一行も通常コースを出発し、同時に彼女がサジットへ。
 恐る恐るといった素振りで、お願いしたところ。
「僕たちの手で良ければ。いつでもお貸ししますよ」
 片手を差し出すとともに彼は。パペットコントロールにより操作中の猫型パペット、『マダナイ』も貸し出すと述べ。
「‥‥きゃっ‥‥!」
 恋心を抱く人と手を繋いだり、その人のパペットを抱かせてもらったり。
 悪魔たちから脅かされ、サジット本人に抱きついたりと――忙しなく動く、そんなサイワの様子を後ろから見守ってか。
(うーん、たとえ悪魔じゃなかろうが。サイワがセクハラされたら本気で攻撃してしまいそうだ)
 燎もハラハラしながら、恋人または兄妹のようにも見える二人のあとへ続くも。
「怖い‥‥怖いから、燎兄、先に行って見て来て‥‥!」
 数メートル歩いては振り返り。どうにかしてと訴える義妹に対し。
「なら、パペットを先行させ。偵察しながらいくか」
 頼もしく、義兄として応えた燎兄は。
 中級のパペットコントロールでもって動かす、骸骨人形型パペットを廊下の奥へ向かわせ。
「「‥‥!?」」
 反対に、悪魔数体を驚かせる結果になったが。彼らも無事ゴールに辿り着き。
「怖かった‥‥でも、二人とマダナイちゃんがいてくれたから」
 ようやくの笑顔を見せたサイワを前に、同行者二人も楽しかったとの笑みを返した。
 で、問題のピンクコース。そこの入り口には。
「ふっ、尊敬する鎌次郎先生に倣い。エロエロなアクシデントをこなせずして、何が怪盗紳士か‥‥」
 通常コースには目もくれず。
 堂々たる態度にて、己の順番を待つウルセーヌの姿があり。
「それに、鎌次郎先生シリーズの装備に身を固めた私には。またとない修行の好機、存分に楽しませて頂きましょう!!」
 ついには彼が、意気揚々と。蜘蛛鎌スーツなど、エロエロなハプニング――。
 そうした遭遇確率が上がるという各装備を纏ったまま。ピンク色の廊下へ進んでいく、その数メートル先では。
(面白そうとは言ったけど、危険な目にあうのは‥‥嫌だし。何か出てきたら、せーちゃんを盾にする、それが幼馴染の正しい使い方★)
 という涙湖の、黒い考えがもと。
「はぁい、お姉さんたちとイイことしない?」
 道中、スッと現れ。誘ってくる‥‥蝙蝠の翼を持ったセクシーな人魔スクブスやら。
 それを華奢にしたかのような、少女姿の人魔リリクブスに加え。
「こっちへいらっしゃいな、サービスするわよん」
 山羊の角を持ったガチムチかつ、オネエ系の人魔。アザゼルへの対抗策としてか。
「だから、涙湖! 何で変なディアボルスが出るたびに、俺を前に押し出す!? おい!!! 盾がわりにすんな!」
 セルゲイは幼馴染の盾として、ぐいぐいと前面へ押され続けており。
「お兄ちゃん、あたしたちと遊ぼー?」
「あ、でも、お色気人魔たちの悪戯とか悪くねーな‥‥」
 しかし、またもや誘ってきたリリクブスらのイヤーンな密着に彼は。ちょっとだけ――その口元を緩めるも。
「もう、せーちゃんてば! デレデレしてる場合じゃないでしょ! 気合入れるわよ!!」
 声を荒げた涙湖から、二発ほど。
 両の頬をひっぱたかれ。
「ハハッ。俺のほうが‥‥お好みかい?」
 よろけた先にいた、首から下が青い、筋肉質のいい男‥‥そういう姿の人魔スクアルブスに受け止められると。
「‥‥ぎゃあああ!?」
 悲鳴を上げると同時に、セルゲイは。
 その人魔からの、言葉にできぬが。ウホッ的な悪戯に遭い――気落ちしながらも、何とか無事に脱出。
「わー! もう、そういう役回りも引退したいんだけどなー!」
 さらには近くでも。ピンクコースを選んだ‥‥いや、連れてこられた博信が。スクアルブス数体からの、ウホウホッな悪戯に遭っている様子で。
「いきなり殴ってくるなんて‥‥乱暴だな、フフッ」
「でも、キライじゃないぜ?」
 必死の彼が思わず、StrikeBeatのナックルを用いた抵抗を見せるも。ウホウホッな悪戯行為は止まることなく――。
「久々なんだ、いろいろとサービスしてくれよな‥‥?」
 また、ウホッ行為の後ろ側にて。この状況を招いた楔が、持参のMyビデオカメラを手に。
 認知に関わる中級プロデジョムなどにより。助けなくても大丈夫のを知っていたのか、博信の勇姿を録画したのち。
「あと、ちょっとぐれーいいじゃねーか‥‥減るもんでもねーんだ‥‥」
 復帰するも、さらなるウホッを警戒する彼の腕へ。
 からかうのも、大好きと言わんばかりに。どこか熱っぽく、彼女は自身の胸やら、お腹やらを押し付け。
「いや、ちょっと待って?! 止めて‥‥お願い! なんで僕、何年経ってもこうなるんだよー!」
 叫んだものの、味方を殴るわけにもいかず。抵抗するのを諦めた博信が、静かになるのを確認してか。
「まあまあ良かったぜ‥‥お礼に、帰ったら、じっくりサービスすっからよォ‥‥」
 満足した楔はニヤリとし、仙級サナティでもって。同行者の精神ケアを行ない。
「「‥‥」」
 幼馴染の二人組に続き、無事(精神的な面で)にゴール。
「あ、ちょっと、それは‥‥アッー!?」
 あとから。ウルセーヌもまた、ゴールを目前に。
 待ちかねたエロエロハプニングに遭遇するも、それはスクアルブス絡みのウホッ過多で。
(失念していたのです。腐女子なお嬢様がたから、私は『怪盗紳士(意味深)』と呼ばれていたことを‥‥)
 いく度となくウホッな悪戯行為にさらされ。消えゆく意識のなか‥‥彼は、反省するとともに。
 ウホッはもちろん、鎌次郎装備の恐ろしさを知り。
(エロエロなハプニングが望むものとは限らないのは、お約束なのでしょうか――チーン♪)
 意識が途絶えたあと。無事のゴールとはならなかったが、ウルセーヌに怪我はなく。
「ウルちゃん、ドンマイ!」
「でも、スタンプは仲間がGETしたし。無問題ってやつな!」
 島監視中のアスモデウス、その数体が述べた通り。
 例のファンシーな手帳内へ。悪魔屋敷制覇の証となるアスモスタンプが押された。

●絶叫マシーン:ヒャッホー
 悪魔屋敷で、ウホッ(以下省略)‥‥の。少し前。
「私、絶叫マシーン大好きなのよねー。好きすぎていつも10回くらい乗っちゃうのよー」
 そう、クローディアが目を輝かせ。恋人さんへ告げた通り。
 彼女らSINNや、モロクは途中で何人かと合流しつつ。絶叫マシーンの施設前に到着したようで。
「はぁ? クレミアのコスプレ写真を撮りたいだって? OK、俺ちゃんのフリルで、ベリーファンシーなやつ送っとく!」
 直後。翔子の根回しにより、遊園地のスタッフから話を聞いていたアスモデウスが自身のと同じ衣装を届けたのか。
「ああ‥‥もう! これでいいんでしょ!?」
 ひと言、『女の子らしく着ろ』――と付け加えられた魔王からのサービスをもって。
 男性ではなく、女子高生の姿に肉体構成し。ピンクのゴスロリ衣装に着替えてきたモロクが、やけくそ気味のポーズを決め。
「大丈夫! 良い写真いっぱい撮るから!」
 はぁはぁする翔子が、そのコスプレ悪魔姿を。
 絶叫マシーンを背景に。パシャッパシャッパシャッとカメラ撮影していくなか。
「ええっと、一般的なのと。ハードなのもあるのねっ‥‥! どちらも楽しそうなのだけれどっ、レイヴェンスさんはどっちがいいかしらっ?」
 初の遊園地デートに声を弾ませ、問うてきた恋人の蜜へ。
「まあこんなもん、速いだけだし余裕だろ? ハードコースでいいぜ」
 レイヴェンスは余裕の表情をもって応え。ともに魔法的ハードコースターへと乗り込むも。
「‥‥!!!」
「ぎゃあああぁぁぁ‥‥!!!!!??」
 その悪魔的な加速力を味わい、スゴク楽しげな恋人の隣側で。たまらず彼は叫びを上げてしまったがゆえ、制覇ならずのアウトに――。
「次、そう‥‥次のにいきましょっ!? 悪魔屋敷も楽しそうねっ!」
 そのハード結果は、ともかく。
 楽しくいこうとのフォローを兼ね、蜜が遊園地デートの続きへ誘い。
「次は‥‥へ、へぇ。あ、悪魔の屋敷か――」
 ホラー系は大の苦手だが‥‥挽回したい、彼女に応えたいとの思いから。レイヴェンスが頷いたのち。
「冒険者として。ミーたちも、ウルトラハードな奴にチャレンジデス」
 勢いのまま、ジェーンもアータンを伴う形でもって。ハードコースターの悪魔的な加速を体験するものの。
「「‥‥ひゃああああぁ!!?」」
 結果は同じで、ともに二人は叫びを上げ。
「諦めず、チャレンジデスヨ。大丈夫‥‥世の中には行方不明者が続出して、帰る頃には誰も乗ってないジェットコースターの伝説もあるのデス」
「ふむ‥‥それに比べたら、安全が保障されているだけ。こっちのがマシというわけだな!」
 フラフラしながらの再挑戦、それを提案するジェーンへ。
 アータンもフラフラしながら応えるも。繰り返した結果は、先ほどと変わらず――。
「「ギャーぁぁぁ!」」
 と、同じくハードコースターを選択した壱子・アレックスの恋人二人が。スタンプ集めは二の次か、叫びながらも楽しげなのはさておいて。
(‥‥絶叫に、耐えろ、俺。好きな子の笑顔を曇らせてたまるか‥‥!)
 男――アビスが、苦手な絶叫マシーンへ。
 決死の覚悟をもって挑む、その隣側で。
「一応、仕事で来てるし、ひとつくらいスタンプゲットしたほうがいいわよねー‥‥で、楽しく叫んだらダメなの?」
 とりあえず、クローディアは一般的コースターのほうを選ぶも。ふと浮かんだ疑問を口にし。
「万歳したり‥‥叫びながら乗るのが、絶叫マシーンのお約束なのよー」
 監視中のアスモデウスにも聞こえるよう、己の自論を訴えたところ。
「コースターに乗ってる姿も撮らせてもらうね。モロクさんの笑顔、ほんと素敵だから」
「はぁ。好きにしたらいいわ‥‥で、アスモデウス様。私も叫ぶのくらい、大目に見てもイイと思うんですけどー」
 翔子のカメラ攻めに耐えながら。ゴスロリのモロクも思うところがあるのか、クローディアの訴えに続き。
「んー。たしかに恐怖からの叫びと、歓喜からの叫びじゃ意味合いが違うしなー」
「制覇したあと。もう一度乗って叫べば、よくね?」
「じゃ、それで! でも、俺ちゃんらを楽しませるの忘れんなよ! 見てんだかんな!」
 やっぱり見ていたアスモデウスは。
 分身体らと審議するとともに、島内に設置中の拡声器でもって応え。叫びが許されるのはコースターの制覇者だけ、と告げた。
 アスモデウスらの、審議のち。
「慣れてるから、かな‥‥SINNとして、よく活動してた時期は‥‥サンラファエルの力を借りて、びゅんびゅん飛んでいたし‥‥」
 コースターの順番を待つ珠里も、その間に。
 己が絶叫マシーンを選んだ理由や。普通のジェットコースターもまた、割と平気な件についてを思い浮かべ。
「ただ、久々だし‥‥その、悪魔パワーなのは‥‥ちょっと、怖い、けど‥‥頑張るよ」
 そうした慣れをもって。彼女が一般的コースターでの泣かない、叫ばないを貫くと。
(俺も、サンラファエルの力を借りたりして。生身で数百キロとか叩きだしてたから‥‥スピードには慣れっこなんだよね)
 まねくとの再会、その挨拶を終え。ともに絶叫マシーンを目指していた翼も、珠里と同じような思いのもと。
「まずは絶叫マシーン! せっかくだからハードモードで!」
「はーど? よくわからないけど、楽しそうですね!」
 同行者の彼女を伴い、悪魔加速の魔法的なハードコースターへ――。
「‥‥えーっと。まねく、大丈夫?」
 だが、平気だったのは翼だけで。
 叫びながら目を回したのか、まねくの意識はなく。
「あの‥‥気絶なら、あたしが‥‥」
 その姿を見た珠里が急ぎ、サナティなどを用いた救護活動へと向かうなか。
「お帰りなさい‥‥楽しそうな叫び声が聞こえましたわ」
 観覧車以外に、ゆっくりめの乗り物がなかったため。
 我が子やレイメイと一緒に待っていたアーティーンが、ハードコースターから戻ってきたシシリーとアシルの家族二人を出迎え。
「そう‥‥だな。こうやって一緒に、遊びへ出掛けたのは久しぶりだ」
 まだ余裕がありそうな兄、アシルの言葉に。
「久しぶりに、シシリーさんのぐったりした顔が見られましたし。これはこれで‥‥楽しいものですわ」
 アーティーンは頷きつつ、夫へほほえみかけると。
「くっ‥‥次だ。観覧車にいこう」
 少しやつれた感じのシシリーも、楽しそうな妻へ訴えるとともに。
 家族の皆で計画した通り、彼女らと観覧車のほうへ向かったようで。
(‥‥うっぷ)
 その頃。一通り搭乗した一般的・悪魔的な各コースターの乗り心地に、アビスは耐え続けながらも限界が近付くのを感じており。
「やった! アビスも絶叫マシーン好きみたいだし、めいっぱい乗りまくるのよー!」
 そのさなか。自論のために、どちらのコースターも一応制覇したクローディアが。これからが本番との――激しい誤解にて。
 すでに、アスモスタンプは押されたものの関係なく。各コースターへの搭乗、それによる繰り返しを希望し。
「「ヒャホオオオオオオ!」」
 万歳ポーズからの叫びを、恍惚の表情を浮かべたモロクとともに。
「‥‥!!!??」
 もちろん。声を上げぬ様子のアビスとも‥‥ともに楽しみ。
「‥‥でぃあ」
「どうしたのアビス? もっと楽しみたいから‥‥って、手をつなぎたいの?」
 何度目かのコースター発進を待つ合間。
 かろうじて声を発した恋人の思いに、クローディアは気付くも。
「無理なのよー、絶叫マシーンはね。万歳しながら乗るのがマナーなんだから! ヒャホオオオオオオ!!!」
 絶叫マシーン狂と化した彼女は照れることなく、その思いを一蹴――。
(あ‥‥もうダメっぽい)
 さらに、万歳からの叫びは続き。ノリノリなコースター遊びは最終的に、アビスが漢気の限界へ達し。
 泣かなかったが吐くという、悲惨ならびに飛散な結末で幕を閉じた。

●観覧車:キスの嵐
 何やら島の各地にて、変な報告が上がり続けるも。スタンプ集め自体は順調で。
 施設制覇もまた続くなか。
「だだだだだだ大丈夫! 怖くない怖くない!」
 そのひとつ、悪魔屋敷へ訪れた翼らが。うっかり選んだピンクコースを進み。
「「わわわあ――んッ!?」」
 途中。スクブスとか、スクブスとか、スクブスとか、リリクブスとかに‥‥イヤーンな悪戯をされるも。
 顔を真っ赤にした彼らは、よろよろ状態のまま。何とか無事にゴールをし。
「‥‥こ、こんなの余裕だろ。って‥‥ぎゃぁぁぁ!!!」
 また、通常コースの廊下からは。悪魔に脅かされたっぽい、レイヴェンスの悲鳴が響き――。
「ホラー系、苦手って知らなかったの。ごめんなさいっ」
「‥‥大丈夫、だ」
 数分後、無事ゴールすると。蜜は彼へ謝り倒し、恋人二人は気分を変えるべく‥‥近くのベンチでお昼ごはんを展開。
「お弁当を持ってきたのだけど、作りすぎちゃったかしらっ‥‥」
 彼女いわく、弁当の中身は。サンドイッチや、おにぎりや唐揚げ、卵焼きといった顔ぶれで。
「これ、蜜が作ったのか‥‥! すげー、ありがとな!」
 好きなサンドイッチから食べ始め、レイヴェンスは恋人に箸の使い方を習いつつ食べ進め。
 ともに、お腹とか幸せを満たす‥‥その付近でも。
「遊園地デートのお約束、観覧車にも乗りたいが。その前に弁当を食べよう」
 写真撮影が好きな嫁と一緒に、島の各地を回っていた叶望が。
 ともにベンチへと腰かけ。菓子やカメラと同じように、持参した手作り弁当を広げたらしく。
「わぁ、私の好きなものがたくさん。え? 痛まないように工夫もしてあるんですか? さすがですね」
 料理得意な旦那様から、スィニエークが弁当についての説明を聞き。素直に感心すると、程なくして夫婦の二人は一緒に写真を撮り。
「まだまだ、スィニエークが楽しそうにしているところを写真におさめたいし。今度は観覧車にいこうか」
 溢れ出る愛情のもと。己の思いや、次へ向かう目的地やらを告げた叶望は。
 その場をあとに、再度の移動を始め――。
「わあ、すごいね、高いね!」
 彼らが目指す、観覧車‥‥その内のひとつでは。少しずつ高くなっていく景色に、スウソは感嘆の声を上げつつ。
「そういえば、アークさんって飛べるんだよね‥‥じゃあ、もっと高い景色とか、見られるのかな?」
 ゆっくりと流れるような時間も楽しみながらも、獣の特徴だけを見て。
 自分は空を飛べないリス、恋人は空を飛べるトリであると語り。
「今度、一番高いところまで連れて行って欲しいなー。ちょっと恥ずかしいけれど、お姫様だっこでなら嬉しいな」
 照れるとともに、空を眺めた彼女。そんな‥‥可愛らしいお願いに対し。
「一緒に世界や島を巡って、改めてわかったよ。スウソ」
 頷いたアークは、こちらを向くように語りかけ。
「俺は恋人として‥‥スウソが好きだ。どんな場所でも、スウソが望むのなら連れて行ってやる」
 そう言い切ったあとすぐ、二人は観覧車の一番高いところにてキスを交わし。
「あ、スタンプのこと忘れてた‥‥」
「へへ、大丈夫だよ、降りてからまたキスすれば! 大好きだよ、アークさん!」
 直後に、スタンプゲットの義務に気付いた彼へ。スウソは素敵な一日をありがとう、と笑顔のまま応え。
「「‥‥!!」」
 降りたあとに、今一度のキスを交わすと。
「景色より、カグヤさんのほうが綺麗です――」
「あら、お上手ですね♪」
 政宗とカグヤの恋人二人も、キャッキャうふふしてきたのか。
 観覧車一周を終えたあとにて。抱き合うと同時に、熱いキッスを交わした。
 と、観覧車のアスモスタンプも無事GETなるも。
「いいじゃん! もっとやれー!」
 監視側のアスモデウスは、観覧車の内外に関わらず。
 さらなるキッスを、SINNのカップルに求め――。
「へっ‥‥キ、ス‥‥ですか、ええと‥‥陽平、どうしましょう?」
 恋人と一緒に、観覧車内での景色を楽しんでいたヒメコも。それを聞いてか、問うとともに‥‥みるみる頬を赤く染め。
「人質救出のため、やるしか‥‥でも。こういうのは誰かに見せるためじゃなくて、ヒメコさんと二人の時に好きな気持ちを確かめる形でしておきたいっス」
 対し、陽平が自分の意見を交え。
 真剣な眼差しでもって答えるものの。
「まあ、人前で行なう誓いの口づけとかあるっスけど‥‥あ、いや、そういうのが駄目とかじゃなくてっスね」
 言葉の途中で彼は、いやいや違うと頭をかき。
「あー、えと。ヒメコさん、今、この瞬間に確かめてもいいスか?」
 コホンとひとつ、咳をしたのち。
 改めてヒメコの目を見つめ‥‥本当に伝えたかった今の気持ちを告げると。
「あ、うう‥‥はいなのです、ヒメコの気持ちは二年と少し前から、ずっと決まっているのです」
 あわあわした彼女は、どうにかこうにか気持ちを落ち着け。まっすぐ見つめ返しながらの返答を述べ。
(ヒメコさんのまつ毛とか、目尻の朱とか‥‥こんな風に見るのって初めてかも?)
 その同意を経て。同じくドキドキ中の陽平は、目を閉じた恋人へ。
 顔を近づけつつ不意に思い、さらにドキドキするも。そのままファーストキスを交わし。
「「‥‥!」」
 数秒後。イタリアと日本で遠恋中の二人はというと、一瞬のような、長い時間だったようなキスを終え。
「へへ‥‥」
「えへへ‥‥」
 お互いに目が合い、嬉しさ混じりの照れ笑いを浮かべた二人は地上にて。もう一度のキスを交わすが。
「先ほどよりかはマシだけど、やっぱり照れるっスね」
 という、陽平の感想に。
「そうでした、ここって他の皆もいるのです‥‥!」
 ヒメコはまたも、顔を真っ赤にし。
「陽平は‥‥まだしばらく、大学お休みですか? だったら、このままニホンに一緒に戻って、遊びに行きたいのです」
 それの照れ隠しを兼ね、おもむろに問い掛けたところ。
「そうっスね、春休みの残りでも、GW(ゴールデンウィーク)にでも!」
 察した彼は頷き、とてもよい笑顔で応えた。
 さらに、別の観覧車内では。
「あーう」
「アシェリーも高いところ、喜んでるみたいですね」
 楽しそうに笑う、我が子を見てか。アーティーンは母親としての優しい表情を浮かべ。
「ねえ、シシリーさん。こうやって三人で楽しめるのも、凄い幸せですね‥‥でも‥‥今日はもうちょっと、わがままになってもいいですか?」
 家族一緒との、幸せな時間を噛みしめつつ。夫のシシリーへ。
 思いの丈を、ぶつけようとしているところであり。
「恋人らしいことも、たまにはしたいと‥‥その、キスとか‥‥甘いことばを言ってほしいとか‥‥ダメですか‥‥?」
 うつむきながら、しかし‥‥嫁が言いたいことを伝え終えると。
「ダメなわけないさ。俺たちは家族だし、夫婦だろ?」
 よい夫らしく、そう答えた彼は。アーティーンの唇へ――そっと口づけをし。
「愛してる、アーティーン」
 短いが、全身全霊を込めた愛の言葉を贈ったようで。
「ここでは、キスしないと‥‥だったな。愛しているぞ、レイメイ」
 同様に、ひとつ後方の観覧車内でも。
 狂喜王の機嫌を損ねるわけにはいかないと、アシルが嫁に声を掛けたものの。
「き、キスは照れるのよー」
 ぷいっとそっぽを向けたレイメイは、観覧車からの景色を眺め。
「実はね、その、赤ちゃんがお腹にきたのよー!」
 アスモランドを見下ろせる最高地点、そこへの到達直後。精一杯の照れ隠しとともに、とっておきの秘密を夫へ打ち明ける‥‥。
「だから、ジェットコースターには乗らなかったのか‥‥まったく」
「テヘペロー♪」
 驚くアシル、可愛らしく誤魔化す嫁。
「でも‥‥ふふ、そうか。ありがとうレイメイ」
 だが、秘密を知った彼の表情もまた。
 いつも通りか、それ以上の嬉しさに溢れており。
「‥‥って、からだ大丈夫なのか? 冷やしたりしたらだめだぞ?!」
「わ、わかってるー。心配いらないのよー」
 観覧車から降りてもなお、彼ら夫婦・家族は賑やかしくも幸せに満ち――。
「へへ、久し振りのデート‥‥いや、戦いだね、凪兄!」
 他のと同じく。最高地点に達した観覧車、そのなかにて。
 セイワも夫の凪を伴い。皆に負けず劣らず、はしゃいでいる様子で。
「ああ‥‥でも、セイワと遊園地に来るのなら。別の時に行きたかったな、今度改めて行くか?」
 そんな妻を前に。少し柔らかな表情を浮かべた彼は、任務中を前提に話を続けるも。
「うん、結婚してから‥‥なかなかデートにいけなかったからなあ」
 心底楽しい、といった表情の彼女は頷いたあと。
「‥‥にしても、高いね! でも、きっと魔法で飛んだほうが高いと思う!」
 景色やら、二人きりの状況を楽しんでおり。
「セイワ‥‥本気で楽しんでいないか? まぁそれはそれとして、あまり揺らすなよ」
「う、うん‥‥えっと、たしか終わったら、キス、するんだよね‥‥?」
 苦言をていした凪に対し。これからのキスが恥ずかしいのか、セイワは頷きながらも顔を赤らめ。
「監視カメラが気になるな‥‥いっそのこと見せつけてやるか?」
 地上への到着後。アスモデウスの目を気にするがゆえな、彼からの提案に。
「や、やっぱり、恥ずかしい‥‥」
 首を横に振った嫁は、さらに顔を赤らめるが。何だかんだで二人も、熱めのキスを交わした。

●ホテル&カフェレストラン:いろんなラブを注入
 それとして、ホテル施設の近く。
 太平洋に面したビーチサイドの一画にて。
「そもそも太平洋上なのに。マリンスポーツ系の競技施設とか、ないのが不思議なんだよね」
 ホテルより借りた水着姿のナタクが、不満をもらし。
「ほら。闘技場はあるんだし、そっち系のアトラクションで‥‥スタンプGETとかあっても良さそうじゃない?」
「そ、そうですねぇ‥‥アスモデウス様に伝えておきます」
 むぅ‥‥と頬を膨らませつつも、飲み物を運んできたホテルスタッフに絡み。
「あはは♪ お願いするね」
 思うところあれ、マリンスポーツ系の一件は彼らに任せることにし。ナタク自身は特に移動することなく、バカンスな一日を楽しむなか。
「カグヤさん‥‥俺!」
 ホテルの一室では。
 キスを終えた政宗が、カグヤとともに恋人らしく語らい。オトナな行為へ挑もうと試みるも。
「政宗さん‥‥そういうのは、まだまだ早いですよ?」
 恋人の彼女から。結婚してからじゃなきゃダメと、やんわり断られ。
「そのかわり、結婚したら覚悟してくださいね♪」
 加えて、結婚式を挙げたあとのことを聞き。
「わかりました。ですがせっかくなので、少し休んでからカフェにいきましょう」
 気を取り直した政宗は、ともに普通の休憩をとったのち。
 いろんな意味での腹ごしらえと、カフェレストランのほうへ向かい。
「「‥‥」」
 いまだアスモスタンプGETの報告がない、島施設の内ひとつ‥‥カフェレストランのテーブル席では。
「ぅ‥‥もう、食べ切れないよー」
 甘いものが好きだが、特に大食いでもなかったリーベが泣く泣く。
 パフェの大食いチャレンジを断念し。
(今、目の前にあるのは‥‥断罪しなければならない悪だ。それを私パラディンが正義の名のもとに食いつくすのだ)
 その相席にて。バイオレットは自身への暗示、それをかけることで――。
 今この時、この瞬間も。運ばれてくる大量の寿司、寿司、寿司を食べ進めており。
「くっ、これでは最終決戦の時に戦えん‥‥!!」
 あと数皿で、寿司の大食いチャレンジ成功となるも。満腹感からか彼女の手が止まり、制限時間ギリギリの勝負へ移行するなか。
「‥‥っとチーズが」
 別のテーブル席でも。注文ピザのチーズを、みょーんとのばしたミゲルおじさんへ。
「さて、ミゲル。こんな時になんだけど、ちょっとばかし真面目な話をするよ」
 ファミリアが何やら、大食いチャレンジよりも大切な話があるらしく。
 それが終わるまでは食が進みそうにないと、蕎麦へのばす箸を止め。
「あんたが居なくなってから、とても寂しかった。復讐者になりそうにさえなったよ」
 大きな流れのなかで彼が姿を消し、そして――モン・サン・ミッシェルで救助されたという一連の経緯についてを語り出し。
「でも、復讐者じゃなくパラディンとして、成長できたと思う。そんな時にミゲルが帰ってきてくれた事、本当に嬉しい」
 我慢していた感情を爆発させると、彼女の目から涙が溢れ。
「ふぁ、ファミリアちゃん‥‥」
 どう声をかけるべきか、悩んでいる様子のミゲルに。
「‥‥あたしは、もう二度と失いたくない。だから、あたしを一生ミゲルの傍に置かせてくれないかい?」
 改めて言葉にできた、そんな‥‥切なる思いを。ファミリアが伝え終わると。
「好いてくれてるのは知ってたけど‥‥本当に、こんなスケベおじさんでいいのかい? あとピザの残りも食べてくれると嬉しいんだけど、はは」
「あ‥‥! もちろんさね」
 彼もまた改めて、ファミリアと向き合い。
 お互いの気持ちを再確認した二人は笑顔で、冗談や誓いを交わしつつ。食事へ戻る前に、情熱的なキスを交わした。
(胃薬も飲んだ‥‥あとは決戦を待つのみ)
 と、ついに寿司チャレンジを成功させたバイオレットが人知れず。満足感ならぬ満腹感の余韻にひたる傍ら。
「悪魔屋敷でも、ギャーギャー楽しんできたし! にひひー、今回のメインに‥‥エントリー!!」
 腹減らしの島施設巡りを終え、カフェレストランのテーブル席についた壱子たちも。
 ここのアスモスタンプGETは確定したが。引き続き、大食いチャレンジへと取り掛かり。
「アルくん、一緒に頑張ろー! 私はスイーツメニューを制覇するよー!」
 恋人に対する、期待の眼差しでもって。彼女がカフェのメニュー表を渡したところ。
「おーっ! 日本のは壱子が作ってくれそうだし、俺は食べ慣れたギリシャ料理にするぜ!」
 それを受け取ったアレックスも元気よく、自身のチャレンジ注文を述べ。
(ふぅ‥‥そこそこ楽しかったし。コスプレも悪くないかもね)
 偶然に。島のガイド役とか、写真撮影の休憩へ訪れた幹部魔将――。
 もう何というか、コスプレ衣装にも着慣れちゃった様子のモロクを目撃してか。
「あ、クレミアたんのラブ注入パンケーキもよろしくね!」
「はぁぁl?」
 にやにや‥‥という笑みを、口元に浮かべた壱子が。カフェの皆にも聞こえるよう追加注文をし。
「はいはい、美味しくなれ、美味しくなーれ!」
 何度か目の開き直りを伴って、モロクの愛が注入されたパンケーキとか。
 各国の各スイーツを、とても美味しそうに頬張っていくなか。
「あとに響きそうだし‥‥腹八分目くらいにしとくか」
 打ち合わせ通り。弟らと合流した凪も、五人が同時に落ち着けるテーブル席にて‥‥兄弟二人で大食いチャレンジへ参加するものの。
 カフェ内で繰り広げられる光景を目にしてか、自己申告にて挑戦を終わり。
「腹も膨れたし、けっこう楽しめたな」
 無理なく食べ進めた燎もまた、兄と同じようにチャレンジを終え。テーブルへ箸を置くと。
「‥‥平和が一番ですね」
 マグカップを手に、サジットが見守る先では。
「お料理も美味しい! これで決戦の元気が出たね!」
「ああ、楽しかった‥‥って、決戦!」
 妹セイワと姉サイワの双子が二人、お茶を楽しんでいたが。
 姉のほうが突然に、ハッとした表情を浮かべ。
「その反応‥‥ってことは。目的、忘れてたみたいだな」
 理由に気付いた燎は素早く、ツッコミを入れるとともに。サイワらしいと苦笑し。
「大食いは苦手なのよね‥‥だから、私の分まで頑張るのよ、せーちゃん!」
 同じ頃。同席についた涙湖からの要望に。
「いやいやいやいや、大食いとか無理! 絶対無理!!」
 セルゲイは全力でもって、首を横に振り続けるも。
(でも、涙湖に逆らうと、あとが怖いし。出来るだけ頑張るか‥‥)
 幼馴染から感じた黒っぽい空気に、やがて彼は怯えるかのごとく頷き。
「おい、ちょっと待て、何で‥‥サラダばっかりを選ぶんだ! 俺が野菜嫌いだって‥‥ムグゥ!」
「もー★ せーちゃんってば、好き嫌いはダメよ?」
 その選択結果、セルゲイはというと。涙湖が勝手に注文した野菜料理を、無理やり口に押し込まれ。
「ごちそーさま!」
 数分のあとすぐ。各種スイーツやらギリシャ料理やらを完食した壱子らへ続く形にて、彼も強制的ながら。
 山盛りの野菜サラダを完食し終えたようで。
「仕事と言えど、これ以上は――」
 またも時同じくし、カグヤが大食いチャレンジを断念したのを見てか。
「あの、良かったら‥‥食べさせてもらえませんか?」
 残りを引き受けると同時に。政宗が自身のルーツでもあるという、インドの各料理。
 それらも含め、これまた恋人らしく提案すると。
「ありがとうございます、では‥‥あーん」
 ぽっと頬を赤く染めた彼女は頷き。
 恋人の彼が食べ切るまで、あーんな行為を続けた。

●円形闘技場:全軍チーム突撃
 島の各施設で得られる、アスモスタンプの制覇が近付き。
 円形闘技場、そこに集められた器鬼の在庫一掃もまた。後半へと近付くなか。
「「キュラキュラキュラ!!」」
 追加投入された強力な器鬼、タンクラム(戦車型)数体の登場により。SINNも全チーム合わせての協力戦へ移行し。
「‥‥防御したのち、優先的に仕掛けます」
 タンクラムの機銃射撃を、オルフェオが上級ディフェンシオの成就によって防いだあとすぐ。
 上級のグラビィタを伴った反撃でもって、戦車型の器鬼らに損傷を与えていくと。
「あたしも続きますよー!」
 未来も、M202LCの携行ロケット弾。それを打ち尽くすとともに、タンクラム主砲からの一撃を中級ディフェンシオにて防ぎ。
「大物が出てきたが。敵戦力もあとわずかなはず」
 白魔の拳銃弾を放ちつつ、皆との連携補助に努めるジュラルディン。
 その彼女の‥‥家族が内一体、魔剣士パペットのジョージが。闇のオーラを纏わせた腐土奈落サーベルを振るって、近くのバイクラム数体を斬り裂き。
「接近戦を仕掛けるよ! エルプティの爆発を決めて、アクケルテのグラビィタ付き転移弾をぶち込むね」
 得物を。CROSSの拳銃と、Soldierのアクケルテへ切り替えたミリーナも負けじと。
 上級エルプティに中級グラビィタを伴った連撃、それでもってヴィークラムの車体に穴を開け。
「俺も負けてられねえ‥‥よっと!」
 ゴスタも飛来するスピーラム、そのプロペラに。分銅鎖の鎖を絡ませ。
「――とどめ!」
 地上付近へ落としたところで、高品質ハンマーからの一撃と離脱戦法を繰り返し――。
「これで、また戦える!」
 また。仙級サナティにて、ゲミニーの魔法メモリーを回復させた刀が。
 今一度、自身の分身を伴い。
「ダブルイグニス! 爆破させました、流歌さん!」
 一体のタンクラム、それの体力を。二人同時成就のイグニスで削り。
「刀さん、わかったわ!」
 あとから、流歌がニクスを放ち。
 急速冷凍の戦法をもって、二人の刀や皆と力を合わせ。タンクラムはもとより‥‥器鬼の破壊活動へ勤しみ続けた結果。
「「ガ、ガガ‥‥」」
 闘技場の電光掲示板に『Sold out』の文字が表示された通り。器鬼の在庫一掃は程なくして完了を迎え。
 ‥‥。
 それなりに被害は出したが、ラティエラの事前サナティや。
「ミリーナ、皆も――お疲れ様!」
 ナタリーの献身的サナティにより。
 器鬼との戦いを終えたSINNが大きな怪我なく、円形闘技場のアスモスタンプを得ると。
「植物たちによると。人質は‥‥ここに集められているらしい」
 同時刻、ホテル施設の前では。ラティエラが島の木々から得ることのできた情報をもとに、家族ともども姿を現したが。
「ラティエラさん、お願いね」
 血命の特殊通信機を用い、連絡を取り合ったマリアの見解によれば。
 人質たちの位置がわかっても、状態がわからない以上の今。手を出すのは避けるべきとのことで。
「‥‥マリア。キミの判断に従おう」
 ここまでか‥‥と了承したラティエラは、聖戦機関長の言葉に頷き。
「というか、私達はこういったところに来た事がなかったな。今度、本物の遊園地に二人で行きたい、かも」
「そういうことなら、終わり次第‥‥遊びに行くか?」
 そう呟くと、ショウは優しくも。申し訳なさそうな表情のまま応え。
「ああ、そうしよう」
 そうした彼の言葉に、今日一番の笑みを浮かべた彼女は予行練習として。
 またも家族を伴い。アスモランドの各地へと、楽しげに歩き出した。
 そして、アスモスタンプは残りひとつ――。
 百億ドル分の条件が、一割ほど緩和されたのち。SINNがジャンジャンバリバリとATM経由で、お金を使い。
「これ、ぜぇ〜んぶ。僕ちゃんたちのお金かぁ〜‥‥うれしぃなぁ〜」
 積まれていくチップの山を見てか、マモンの群れ。そのそれそれが例外なく、うっとり中のカジノ施設内では。
(んー、サマが見破れないな)
 計二回のゲミニー分身を用い、イカサマを監視するも。それがわからず‥‥といった表情で、カミーユがブラックジャックへの投資を続け。
(もしかしたら‥‥イカサマじゃなく。ただ勝負運に強いだけ?)
 隣側の卓でも、アメリアが。最初は勝つが――最終的には、マモンが勝つという接戦を繰り返すうちに。
 ある種の答えに辿り着いたようで。しかしそれがわかっても、と同じくブラックジャックへの投資を続けており。
(すごぉいでしょ〜お金が絡むと。僕ちゃんってば、運がよくなるの〜エヘエヘ)
 そんな、SINN夫婦の様子に気付いてか。マモンらが己の能力について、思考を走らせるものの。
(イカサマじゃないよ〜エヘ)
 言っても、自分が損をするだけ‥‥との思いから声には出さず。
「カミーユさんたちも、頑張ってはいるけど‥‥それとは別に。多額の必要経費が得られるよう、手を回しておく必要がありそうね」
 最終的な保険にと、マリアが特殊通信機を手に。
 カジノホールの片隅にて、今度は。ルークス市国会計士との連絡を取り合うなか。
「‥‥卑怯なハゲどもをぶっ散らばす!」
 結構な金額をスロットマシンへ投資するも‥‥あまり成果が得られなかったため。ギィはインチキに感じたのか、または初めから戦うつもりだったのか。
 肩を怒らせつつ、マモン集団のもとへ向かい。
「覚悟しろよ! 全員、フルスイングでぶっ飛ばしてやっからな!」
 中級スイングフォースの成就をもって、力ずくの交渉を始め。
「「え〜暴力はちょっと〜!?」」
 有無を言わさず、ハゲの数体を吹き飛ばしたところで。
「ギィさん!? ムチャは駄目よ!」
「‥‥マリア!」
 騒ぎに気付いたマリアから、ギィは‥‥なだめられ。
 払うべきチップ、その五分の一を負担するということで決着――スロットで散財したのも、運のうちと納得し。
「お客様に不快な思いをさせたのは〜、コチラ側の落ち度ですからねぇ〜」
 お金をもらえるならと、マモンも彼を責めることはなく。
 結局は。ルークス市国が必要経費として、チップの大半を支払い。
「僅差でも、勝ちは勝ちですよね‥‥?」
「ああ、負けは負けだ。アメリアの勝ちでいいぜ」
 大きく勝つことはなかったが、負けることもなかったアメリアが夫に勝利したのか‥‥お願いを何にするか考えるとともに。
「‥‥とりあえず、スタンプ下さい」
 マモンへは苦笑でもって、ここのアスモスタンプを要求すると。
 カジノでも行動も何とか‥‥散財ギリギリだが、一応の終わりを迎えた。

●決戦へ向かう前に
 経緯はどうであれ、アスモランドの各施設巡り――。
 それに、アスモスタンプ巡りも。夕暮れ時には終わりを迎え。
「うぇーい、やったじゃん!」
「んじゃ、ハゲとクレミアは戻ってこい! 俺ちゃんらと一緒に、神の子ちゃんらを出迎えっぞ!」
 残るは‥‥島全域へ放送中のアスモデウスら。
 魔王と分身体の集団が待つ、アスモタワーを攻略するのみだが。
「決戦には、万全の態勢で臨みたいし。翌日でもいいかしら?」
 という、魔王らへ向けた流歌の提案に対し。
「えー、無理! もう、明日のスケジュールは埋まっちゃってるから!」
 何かしらあるのか、アスモデウスは却下と答え。
「それでも。本気で戦って楽しんで貰えないと、お引取り願えないでしょうねぇ」
 それを聞いた彼女が。仕方がないと頷く、その隣側で。
「アスモさんらが満足して帰ってくれるなら、それが一番だし。もう少しだけ頑張ろー、おー」
 未来もまた頷くと同時に、決戦へ向け。
 何度目かの気合を、おいーっすと入れ直したところ。
「ここの夜景とかどうなのかな‥‥観覧車、夜に乗ったほうがいいか? どうなんだスタッフ。お勧めは?」
 空を見上げた叶望も、魔王らに聞こえるよう返答を求め。
「そーだな。俺ちゃん的には、夕方のもイイと思うぜ?」
 すぐにさま、スタッフの代わりに答えた狂喜王。その言葉に頷き。
「そうか‥‥せっかくだし、スタンプの余りも。もらいにいってくるか」
 嫁と一緒に歩き出した叶望、彼ら一部のSINNは。まだまだ遊び足りておらぬようで。
「のちほど、アスモタワーの前で会いましょう」
 彼ら以外――マリアを含めたSINNたちも、ゆっくり。
 小休憩を取りながら、アスモタワーのほうへ歩き始めると。
「ありがとう、楽しかったよ」
 しばし、足を止めた翼が。今日の礼をモロクへ述べ。
「アスモデウスにも、お礼を言っておいて。それと、久々に会えて嬉しかったとも――もちろんモロクにもね」
 自身の言葉に、少し照れながら。
 同行者らのあとを追い掛けていく、そんな後ろ姿を見送ってか。
「ふん‥‥伝えたいことがあるのなら。直接会って、自分の口から伝えなさいよ」
 少し嬉しげに、モロクも呟き。預かった伝言を届けるべく、アスモデウスのもとへと向かうなか。
「‥‥な、なんか真正面ってのも緊張するな。隣、行っていいか?」
 SINN数名が訪れた観覧車のほうでは。
 向き合うように座ったレイヴェンスが、恋人の蜜へ。ドキドキしながらの許可を求め。
「‥‥あのねっ、レイヴェンスさんっ。今日一日、私はとっても楽しかったのだけれどっ‥‥振り回しちゃってたらごめんなさいっ」
 コクコクっと頷いた彼女が、隣側へ腰を下ろした恋人の顔を見て。おもむろに頭を下げ。
「その‥‥ホラー系が苦手なの知ることができたしっ、ほかに苦手なものがあれば、知りたいのっ」
 お願いすると同時にチラっと、その表情を窺い。
「それでねっ、次はもっと一緒に楽しめたらいいなって思うわっ」
 大好き‥‥との感情を込めた蜜が、次なるデート計画を伝えたところ。
「苦手なのは、あとで話すけど‥‥蜜、こうやって仲よく。遊びに来られて良かった」
 優しい彼女の思いに、レイヴェンスもまた応えるべく。
 溢れ出る感情に逆らわず、言葉と身を委ね――。
「俺‥‥やっぱり、蜜のこと好きだって、すげー思う。だから‥‥」
「‥‥んっ」
 そっと恋人の唇へキスをすると、その行為を終えた蜜の顔は。嬉しさやら恥ずかしさやらが極まってか、真っ赤に染まり。
「「‥‥!」」
 幸せな時間が流れる、彼らの後方。
「お腹もいっぱいになったし、最後はロマンチックに観覧車! えへへー!」
 壱子たちが乗り込んだ観覧車内でも、恋人らの楽しき声が響き。
「まさか、悪魔の遊園地で遊ぶことになるなんて、だな!」
 島の景色をチラ見したアレックスの言葉に。
「ねー、アスモランドってのはアレだけど。こういうのも久しぶりだし、楽しかったねー」
 恋人の彼女も満開となる、笑顔の花を咲かせたまま応え。
「ねえねえ、キスは‥‥その、アルくんからして欲しいなあー」
 さらに、相棒の柴犬パペット『ゴンスケ』を抱きしめ。
 そわそわする壱子、その愛らしい彼女からの要望に対し。
「ん、応! 愛してるぜ、壱子――」
 即答をもって応えた彼は、ゴンスケともども恋人を抱き寄せると。そのまま小さな唇へキスをし。
「「へへ‥‥」」
 どこか照れながらも、恋人二人は地上へ。
(悪魔にも何かを与える‥‥)
 と、少し遅れて。スィニエークが夫と一緒に景色を眺めつつ、今日一日の楽しかったことを振り返り。
 アスモデウスとは別の魔王、その大きな存在と戦った時のことを思い浮かべるとともに。
(そんな日がくるなんて、ふふ)
 ちょっとの間、感慨にひたる‥‥その嫁が顔を。じっと見つめたのち。
「――スィニエーク」
「あの、ええと、その‥‥」
 叶望が顔を近付けると、彼女は思いっ切りあたふたしながらも。観念したのか目を閉じ。
「「‥‥んっ」」
 夕暮れ色に染まる観覧車のなかで、キスを交わした夫婦二人もまた。
 先駆となったSINNの家族ら、それと同様の幸せを噛みしめた。
 ‥‥。
 その頃。SINNが楽しむべく、ふらりと訪れた絶叫マシーンにおいても。
(本来なら悲鳴を上げてこその、なんぼのものじゃん‥‥)
 手で口を押さえたゴスタが一人。
 挑戦に関係なく大声を上げたいが、上げぬようにとの覚悟・行為をもって。
(‥‥うぉぉぉぉ!!?)
 表情以上に、一般的・悪魔的コースターの両方を楽しみ。
「まあ! か弱い私の心臓が麻痺しちゃったら大変! せーちゃん、私の分含めて二周分、頑張って乗ってきてね!」
 彼の勇姿を見てか。
 いや、初っ端から決めていたのか、涙湖は例のごとく。幼馴染を問答無用で各コースターへ送り。
(なんとなく予想ついてた! 俺だけ乗ってこいって言われるの‥‥ぉぉぉぉ!!?)
 そう思いながらも従い、半泣き状態のセルゲイが。コースターの加速に振り回される過程で。
(よくわかんないけど、スタンプ制覇の目標を言い出したのは涙湖なのに、俺ばっかり頑張っているような気がする‥‥!!!)
 大切なことに気付くものの。
「平和ねぇ‥‥」
 絶叫マシーン下のベンチでは、涙湖がジュースを飲みながら。
 幼馴染の勇姿を眺めつつも、ほっこりしており。
「‥‥うっうっ」
 そんなこんなで。二周を終え、半泣きのまま戻ってきたセルゲイだが――。
「泣いたらダメよ! せーちゃん、もう二周★」
 彼女は大目に見ることなく、またも黒い笑顔で各コースターへと送り。
 今度こそ、ふたつとも制覇させた。

●決戦:アスモデウス
 最後に少しだけ、寄り道をしたが。
 アスモデウスとの最終決戦、それに臨む時が訪れ。
「さぁ、いきましょう」
 狂喜王へ対するSINNの思いはさまざまなれど、マリアは聖戦機関の長として――。
「楽しくもあったが。さんざん付き合わされたんだ、それをぶつけてやる!」
 前線で戦うつもりと述べる、凪や。
「あたしは皆をフォローしつつ戦うね。まだまだ若い子には負けないんだよ♪」
 露払いを担当するという、ナタク。
「パペットを操り、私も仕込み杖を武器に露払いをいたしましょう。ええ、悪魔屋敷での憂さ晴らしも兼ねてますともっ!!」
 それと。全身キスマークのウルセーヌ‥‥といった余力を残し、やる気まんまんのSINNたちを纏め上げ。
 コンプリートしたアスモスタンプを提示しつつ、ともにアスモタワーへ突入。
「主よ、我が祈りを聴き入れ給え――」
 難なく入場できたタワーのエレベーター前。そこでは、アビスが絶叫マシーンでの失態を払しょくしたい‥‥との願いを込めて。
 中級ベネディクタによる祝福を、前衛役の仲間たちへ与え。
「あとはメギドの炎で、悪魔を浄化したりしマス」
 同じく、前衛役の各武器へ。ジェーンが上級マギアの魔的・浄化能力を付与したあと。
「ヒメコさんに、背中を預けるっス」
「はい! 陽平はヒメコが守るのですよ」
 黄紫水晶と針水晶のラブリング、それらを指に。陽平とヒメコの恋人二人が、獣人姿を伴い‥‥上級アルゲントを成就したのに続き。
「変身!! ユストゥーラの炎で悪魔どもを焼き払ってやる!」
 ハヤブサの獣人姿となったアークも、中級ユストゥーラを成就――。
「蜜、ゴスタ。俺たちも行こう」
 あとから。真白き拳銃を手にしたレイヴェンスら、クレスニク仲間の数名もエレベーター内へ乗り込むと。
「「!!」」
 身体が重くなったかのような感覚から一気に。
 タワーの最高部高度もとい、最上階の大フロアへ達したエレベーターは。SINNをアスモデウスらのもとへ送り届け。
「楽しませてもらった礼だ。今度は俺達がお前を楽しませてやるよ!」
 兄たちへの戦闘指揮を執ろうと身構えた燎、その傍ら。
「アスモさん、楽しんでくれるかな?」
 姉と援護に努めるため、セイワがそわそわしたところで。
「おまえらちゃん、お疲れちゃーん!!」
 祝辞からのパーティー用クラッカーでもって、それをパーンと鳴らしたアスモデウスの群れを始め。
「エヘエヘ。お帰りなさいませ、おじょうさまがたぁ〜ん」
「あー、おかえりなさいませ。だんなさまがた」
 口調をそのままに、執事姿となったマモン。棒読みながら、メイド服姿を強制された様子のモロクら。幹部魔将の二体がSINNを出迎え。
「‥‥え?」
 上級グラディウスの力を付与した、prayのダガーを手に固まるファミリアと同じく。SINNの大半が目を丸くしたのに構わず。
「ホラ、おまえらちゃんも席につけよ。ぱーちーしようぜ!」
 アスモデウスらはSINNを、パーティー会場と化した大フロアのなかへと招き入れるとともに。
「おまえらちゃん、俺ちゃんらのいない間に。恋人とか結婚とか、お腹に赤ちゃんできたりーとか、うれしーことがいろいろあったんだろー?」
「この催しはなー、俺ちゃんらからのお祝いだぜ!」
 監視カメラを用い、SINNを一日観察したことで判明。何かしようと考えた末。
 その範囲内で祝うため。辛気臭い最終決戦の予定から、急きょサプライズ的なパーティーへ切り替えたのだと述べた。
 と、最終決戦の空気はどこへやら。
「アスモちゃーん、ありがとなのよー!」
「あったりまえじゃん。俺ちゃんらマブダチだろー!」
 突然のお祝いに嬉しくなったのか、レイメイがアスモデウスらのもとへ駆け寄り。
 いぇーぃと手を叩くなか。
「えぇっと、俺達。結婚を予定してます」
 勢いに乗って、政宗も。恋人にOKをもらっていた挙式計画を早くも明かし。
「この度は、ありがとうございます」
 アスモデウスへの感謝、それを伝えたカグヤが。
「改めて、ふつつか者の剣ですが宜しくお願いします。あなた♪」
 続けざまに、恋人の彼へ笑顔を向けるという幸せに満ちた姿。
 そして。その様子を自分のことがごとく、嬉しそうに眺める‥‥狂喜王の姿を目にしてか。
(そういえば。こちらの世界を、シャバって呼んでましたね)
 なま温かく見守ることにしたオルフェオ、彼を筆頭に。
「戦わなくても、いいのです‥‥?」
「それで済むなら、いいんだけどね?」
 ヒメコやアビスといった恋人・家族持ちのSINN、その多くは。心より祝ってくれたアスモデウスと戦う気が削がれるも。
「そういや、人質な。今日は楽しめたし‥‥解放してやんよ!」
「じゃ、その前に戦おうぜ! せっかく準備して来たんだもんな!」
「もっとも、俺ちゃんとやり合うのは、戦いたいSINNだけでいいぜ。残りはパーティーを楽しめよ?」
 突如として言い放った、アスモデウスらの言葉を聞き。
「「‥‥!!!」」
 マモンらがパーティ用のケーキなど。
 それらの配膳や切り分けを、SINNを相手に忙しなく続けるなかで。
「そうこないとですねぇ♪ 私も指揮を執りつつ、この催しを楽しませていただきますよ♪」
 ほほえんだ蘭華が配置へつき。
「僕は‥‥アスモさんの写真を撮ることに専念するよ!」
「「ばっちこーい!」」
 翔子が撮影カメラを向けると。アスモデウスらは一斉に少女ぽっい少年姿へ擬態し、さらには各自に可愛らしいポーズを決め。
「雑魚は死んでろ」
 しかしながら、そんなアイドル根性には興味ないと。楔が仙級ニクスを――。
「おふざけはここまでです。島ごと沈め、悪魔共」
 同様に、アドリアンが残りの拳銃弾を放ち。
「いくよ♪ せーの!」
 擬態中の魔王集団がワーッと逃げてきたところを。
 スリップリキッドで転ばせたナタクが、聖タダイの斧槍で叩くことで多方向へ散らばらせ。
「来るとしたら、アスモさんが次に来るのはいつかなー?」
 そうしたことを考えながらも、未来が。
 上級のレディンテグロで自身の再生力を、グラディウスで日本刀の威力を強化したのち。アスモデウスの群れへ斬り掛かったのに続いてか。
「俺も、三日月宗近で対決だ!」
 上級ビスティボルンをもって、バイタリティを向上させたビートも。まずは魔王一体へ狙いを定めつつ、一気に詰め寄り。
「いくぜ――必殺!!」
「ぬぁー!!」
 続いて、上級エルプティを込めた爆発的な一撃を繰り出すことで。またもヒーロー物のごとく派手に決めると。
 それから、数十分後。
「あれ‥‥アスモデウスの身体が薄く??」
 戦いを見守っていたマリアが言う通り、アスモデウス集団の身体がスゥーっと希薄になり始め。
「んー、帰る時間みたいだな‥‥」
 そう述べた魔王いわく。本来であればアスモランドが魔界へ帰還するのは、もう少しあとのはずであったが。
 狂喜王つまりは、俺ちゃんの存在力が強すぎたゆえ。その影響によって帰還が早まったとのことで。
「まだ遊び足りないけど、おまえらちゃんと楽しくやれて‥‥俺ちゃん嬉しかったぜ!」
 いつの間にやら、本体のみとなったアスモデウスはSINNを前にし。仁王立ちにのまま今日の感想を告げ。
「そうそう、記念品あったんだ。翔子のカワイ子ちゃんに協力してもらって隠し撮りしたクレミアたんの写真とか、ハゲが作りすぎたグッズとかな!」
 後ろ側のモロクが「はぁ!?」と言う表情を浮かべるのにお構いなく、記念品を発表。
「いろんな意味で凄かったおまえらちゃんには、最高のを用意してるかんな!」
 最後にアスモデウスが、ニヤリと笑うと。
 彼ら悪魔の姿は、さらに稀薄となり。
「じゃー、また来るかもだけど、あと一時間もしないうちに島と一緒に俺ちゃんら帰っから! ちゃんと人質回収してから帰れよ!」
「「!!」」
 おぼろげな姿で、意味深な言葉を残した魔王は。
 慌てて人質のもとへ向かう、SINNの姿をタワーから見送り。
「今度は遊べる施設も、拡大しとくかんな!」
 一時間後には宣言通り、再来する気まんまんでもって。アスモランドとともに魔界へ帰還――。
 ‥‥。
 SINNの皆もまた、ルークス市国へ戻る高速艇内にて。それを見送り。
「各国へ報告、人質のケア、必要経費の計算、それと結婚式‥‥やることが山積みね」
 聖戦機関長のマリアは、肩の荷が少し下りたのか。
 ふうっと息を吐くも、これからの仕事が多く残っており‥‥苦笑いを浮かべたが。
「‥‥うん。笑顔、笑顔!」
 これも良い経験になったと頷き、報告書を纏めるため。SINNたちのもとへ向かった。

MVP
ビート・バイン (sf5101
♂ 人間 パラディン 火
アメリア・ロックハート (sh1732
♀ 人間 エンジェリング 水
セルゲイ・クルーツィス (sc4350
♂ 人間 エンジェリング 風
アビス・フォルイン (sa0959
♂ 人間 エクソシスト 水
レイメイ・ウィンスレット (so0759
♀ 人間 エンジェリング 地

参加者一覧
志島 陽平(sa0038)K地 クローディア・エヴァーツ(sa0076)E水 ミリーナ・フェリーニ(sa0081)P火 栄相 サイワ(sa0543)E地
栄相 セイワ(sa0577)A風 陸奥 政宗(sa0958)P火 アビス・フォルイン(sa0959)E水 ナタク・ルシフェラーゼ(sa2677)P風
アーサー・ラヴレス(sa4830)P火 柴神 壱子(sa5546)H風 アントーニオ・インザーギ(sa5938)H風 バイオレット・エアレイダー(sa7966)P火
須経 蘭華(sb0118)E地 ファミリア・サミオン(sb0511)P風 琴宮 涙湖(sb1982)A火 神代 翼(sb3007)A風
三輪山 珠里(sb3536)A風 東雲 凪(sb4946)P風 アドリアン・メルクーシン(sb5618)P火 ラティエラ・テンタシオン(sb6570)A地
セルゲイ・クルーツィス(sc4350)A風 鷹羽 叶望(sd3665)E地 東雲 燎(se4102)H火 カミーユ・ランベール(sf0920)A地
ビート・バイン(sf5101)P火 村正 刀(sf6896)A火 十文字 翔子(sf7297)A風 ギィ・ラグランジュ(sf9609)P地
アメリア・ロックハート(sh1732)A水 種子島 カグヤ(sh3932)P風 酒匂 博信(sh4156)P地 夜霧 楔(sh4403)A水
オルフェオ・エゼキエーレ(si1323)P地 スィニエーク・マリートヴァ(sj4641)P風 ジェーン・ミフネ(sk6098)E風 アーティーン・スノーウェイ(sn2115)A風
ジュラルディン・ブルフォード(sn9010)H風 レイメイ・ウィンスレット(so0759)A地 茂呂亜亭 萌(so4078)A風 アシル・スノーウェイ(so8117)P地
マユリ・バルギース(sp0231)H火 碇矢 未来(sp5129)P火 ウルセーヌ・モローアッチ(sp5281)H地 荒井 流歌(sp5604)A水
ゴスタ・ユオン(sp9246)K火 千種 蜜(sp9590)K地 アーク・カイザー(sq0753)K火 上随 スウソ(sq1318)K風
ヒメコ・フェリーチェ(sq1409)K風 レイヴェンス・エーベルト(sq2046)K風
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